裏切りの襲来者
飛行船アズールのデッキ部分、船を動かす乗組員達が一人の包帯で目隠ししている銀髪魔女を取り囲んでいた。乗組員の間を真由利が通り、部外者の魔女の前に出る。
「何者だ。アズールの魔女ではないようだが」
「変なやつに命令されて襲撃してるだけだ! お前らに用はない!」
「そうはいかない。わたしの船だから襲撃されては困る」
「じゃあしね!」
真由利に大して銀髪の魔女が電撃魔法で先制攻撃、手前まで行って真由利が手で弾く。魔法は船の外まで飛び爆発を起こす。
「ただの魔女ではないようだ。詳細、見させてもらうぞ」
「お前…謎解かない魔法の使い手か」
「どうかな」
その瞳にあらゆる詳細が映る。
名前はカナイ。異世界の女神の子であり魔王と呼ばれる者を倒した事があるほどの能力者。ある経緯でこの世界にやってきて、魔力は半減している模様。なお、精神の中にはもうひと、
「視るんじゃねえ!」
カナイの魔力で分析を妨害、怒りのまま今度は火炎弾の魔法で攻撃するも、再び弾かれる。
「わかったわかった。話は聴いてやろう。誰に命令された?」
「……知らないのか? ここの校長だよ!」
「は? そんなはずない」
「じゃあその自慢の謎解かない魔法で視ればいい」
「それも、そうだ。だが校長はいつも魔法の結界を張っていて視れないのだ」
まるで音を立てて崩れるような真由利の心が見えるようだった。焦りが表情にも出ている。
ここで遅れてドロピアがやってくるが、乗組員達で見えず箒に乗って浮遊し、ようやく状況を掴み始めた。
「じゃあこういうことだ! お前は、裏切られたんだよ!」
「うう!」
「こんな弱ったやつ倒しても何もならないが、命令だからな」
ひざまずいた真由利に対して人差し指を向ける。指先に光の魔力が集まり、光線を放とうと構えている。それに対して、攻撃も防御も姿勢を見せようとしなかった。
そして今、光線を放つ————
真由利が顔を上げると、ドロピアの背中がそこにあった。光線が肩をかすめ大怪我をして多く流れていた。
「私は裏切り、ませんからね。艦長」
顔だけ真由利の方を振り向いては、気絶してその場に倒れ込む姿が紅い瞳に映り込む。
「お前。許さねえぞ! わたしの大事な生徒を!」
「やべ復活しやがった。だが面白い。かかってこい!」
飛行船のデッキでの戦いは、火蓋を切ったばかり。




