AAproject(エーエープロジェクト)
真昼間から少し下がった時間帯、警視庁内部で轍乃翼が、建物13階の休憩スペースで紅茶を一息嗜んでいる。
その周辺の席には、この機関では珍しい存在である霧島二郎刑事と、元々警察として在籍していたドロテア シャインが対談を行う。
「……霧島さんにドロテアさん、珍しいですね。明日は槍か剣かノコギリでも降ってくるのでしょうか?」
いきなり朗らかな笑顔で意地悪を言い放つ。顔にかけている赤縁の眼鏡が怪しく光った。
それに対して霧島が後頭部をボリボリ掻きながら困った表情で手に持っているコーヒーをひとまずテーブルに置く。
「相変わらずだねキミは。へへ、残念ながら意地悪を聴く暇はないんだ。ドロテアくんから頼む」
「ええ。昨日の一鉄達が巻き込まれた飛行船アズール内部にある魔法学園との騒動について、話し合いたい」
ドロテアがまっすぐな視線で翼を見る。まるでこれから何か起きる事を訴えかけるようなほど直線だ。
「……断る。それは所長の一鉄さんと話し合うべきでは。それに、霧島刑事も面識はあるでしょうに」
「一鉄くんは、今回のプロジェクトには不参加になったんだ」
「プロジェクト、ですか」
プロジェクトの説明。
飛行船アズールの魔法学園を解体させようとするもので、今回の総称を「AAproject」と呼ぶ。略していない呼び方の口外を禁ずる。
この大都市を校長の者が乗っ取ろうという動きがある事を学園内部の者が申告し、音声録音などの証拠もあると証明されたため、このプロジェクトが立ち上げられたのである。
なお、大都市第2区域警視庁本部からプロジェクトに参加となったのは轍乃翼と朝日奈南美となった。
「ちょっと、朝日奈は能力が不足している。私は彼女の参加に異議を申し立てる」
翼の反対意見にドロテアが首を横に振る。
「これはもっと上の機関の命令だ。断ればお前のクビも無い」
「ふん。やむを得ないですね。朝日奈が何しても知りませんから」
「大丈夫だよ。一鉄くんがいなければ、余計な事はしないはずだからね」
霧島がコーヒーを飲み干すとスマホがマナーモードで震える。
「はい。霧島です……はい、丁度了承を得たので、二人をそちらに、はい」
「じゃそういうわけだ。明後日定時付近に朝日奈と共に元魔女裁判所前集合だ」
「分かりました」
若干険悪なムードのまま、対談は終わりを迎えた。




