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転生猫は、第二の生を謳歌したい。  作者: 禄星命


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第五十一話

 小鳥遊兄と合流し、逃げるようにその場を立ち去る。車内では沈黙あるのみだったが、彼らは私室に戻ると、ようやく「疲れたな」「本当にね」と表情を緩ませた。


 一方でレイはよほど暇だったのか、ドアを開けられて早々小鳥遊弟に飛び付いた。


「ん? 何だおまえ、遊んで欲しいのか?」

「ニャン!」

「ははっ、分かった分かった。まったく、しょーがないやつだなあ」


 歳が近い分、接しやすいのだろうか。小鳥遊弟もいつになく笑顔になっており、テーブルを囲うことなど忘れている。複雑な親心に眉をひそめていると、小鳥遊兄が隣に腰を落とす。


「それにしても驚いたよ。まさか、君の方から歩み寄ってくれるなんてね」

《なりふり構っていられないからな》

「……うん。それでも、頼ってくれて嬉しいよ」



 彼らに全てを打ち明けたのは、今日の早朝。僅か5時間前のことだった。明け方、リビングのテーブルに書き置きを残し、記憶を頼りに3匹で出発。フェンスや人目をかい潜り、中庭で兄弟が通りがかるのを待っていたのだ。


 小鳥遊兄が俺達を発見してからは、トントン拍子に事が進んだ。紙に経緯を書き、鳴き声で相槌を打つ。初めこそ戸惑いを露わにしていた彼だったが、伝え終わる頃には策を講ずるまでに呑み込んでいた。



 小鳥遊兄は、外の景色を眺めたまま会話を続ける。


「ところで、新城さんの様子はどうだったんだい?」

《言葉を交わすことも、目を合わせることも叶わなかった。だが、もう一押しで覚醒する。……根拠こそないが、そういった手応えがあった》

「良かった。……実は今日、院内で彼女とすれ違っていてね。万が一を心配していたんだ」

「……何だと? 詳しく聞かせ――」

「パパ、パパ! エマが大変ニャ!」


 しかし深堀りは叶わず。話は強制的に、息を切らしたレイに塗り替えられる。


「落ち着け。何があった?」

「ぐすっ……。遊んでたら、エマが倒れちゃって……! そのまま起き上がらなくなっちゃったニャ……!」

「何だと!?」


 緊迫感に背中を押され、直ちに現場に駆けつける。しゃがみ込む小鳥遊弟が避けると、そこにはぐったりと横たわるエマの姿があった。


「――エマ!」


 呼吸はある。意識もある。大事ではないことに安堵しながらも、仰向けになったエマに呼び掛ける。


「しっかりしろ、どこか打ったか!?」

「ナ……ン、ニャ……」

「っ――すまんレイ、通訳頼めるか?」

「分かったニャ!」


 畳に背を預け、うわ言を言い続けるエマ。そんな彼女に耳を傾けながら、レイは声色を変えて代弁する。


「“行かなきゃ。あの人が待ってる”。“一緒に見つけるって、約束したから”」

「あの人? 約束? それは誰だ、どこに行けば会える?」

「“愛してるって言わなきゃ”。“思い出を話さなきゃ”」


 比較的流暢な彼女の心情。……だったのだが、その後は何かを発しようと口を開き、力尽きたように頭を横にする。


「ン、ニ……」

「……パパ、エマが少し休みたいって言ってるニャ」

「……すまなかった。だが、怪我が無くて何よりだ」


 手近なタオルを枕に眠る彼女は、いよいよ人間くさい。一方で小鳥遊兄弟は、棒立ちのまま疎外感を露わにする。


「こいつら、何て言ってるんだろうな?」

「それは――そこにいる彼女が教えてくれそうだよ」

「えっ?」


 突如現れた気配に、弟共々出入り口を振り返る。音もなく開いたドアの傍ら。そこには、涼やかな顔で着物を纏う二階堂(スティエラ)の姿があった。


「ふふっ、頑張って。もう少しで、全てのピースが揃うよ」

「とうか!? いつからそこに……」


 驚く弟の表情に、恋慕の色は無く。レイを自身の陰に入れ、身体を強張らせていた。そんな彼を一瞥した兄は、目を伏せ苦言を呈する。


「……やはり、ついてきたんだね」

「うん。ヨスガの出す答え、直接見届けたいから」

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