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転生猫は、第二の生を謳歌したい。  作者: 禄星命


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第二十六話

 手を振る小鳥遊兄に、二階堂たちはレイも引き連れ駆け出してしまった。残されたのは、初対面の者同士。二階堂兄は花園鑑賞を再開するが、琴音は笑顔を作りながらも気まずそうに湯呑みに手を伸ばす。


「琴音」

「はっ、はい! ……って、ヨスガかびっくりした……」

「折角だ。アレとも懇意な間柄を目指してみたらどうだ?」

「えっ、でも――」

「若いうちからの人脈作りは大切だ。それに、出逢いからして運命を感じないか?」

「……わ、わかった」


 深呼吸した琴音は、おもむろに立ち上がり、二階堂兄の座る椅子へと移動する。そして彼と目が合うと、勢いよくスマホを押し出した。


「あ、あの……! よかったら、LinnE(リンネ)交換してくれませんか!」

「――。これはこれは、先を越されてしまったね。僕のほうこそ、連絡先を交換してもらえるかい?」


◇◇◇


 その後暫くして、二階堂たちは満足げな表情で戻ってきた。弟の敵意は引っ込み、その場にいる全員にフランクに話しかける。とかげの様子や魅力をひとしきり聞いた頃には、琴音も自然に笑うようになっていた。


 茶菓子で腹を満たし、やがて漂うは解散の雰囲気。とはいえ今は陽も傾き、カラスまでもが帰宅を促す時間。


『真相を問うならば今しかない』


 誰かが鶴の一声をあげる前に、琴音の腕に軽く手を乗せる。


「琴音。耳を貸してくれ」

「ん? どうしたのヨスガ。ふんふん――えっ!? それって大丈夫なの?」

「声が大きい。何としても今日知りたいんだ。……頼む」

「わ、分かった」


 二階堂と小鳥遊兄が雑談をしている合間を見計らい、琴音は彼のもとに歩み寄る。


「ねえ、凜太郎くん。少しお話しない?」

「……来い」


 存外()()が良い。弟は早足で壺の陰に向かうと、琴音の口火を待った。


「……その。ひとつ聞きたいことがあって」

「猫モのことか?」

「うん。えっと……凜太郎くん、もしかして司会の人に何か渡した?」

「!」


 小声とはいえ、いきなり核心を突くのは流石としか言えない。感心していると、弟は肩をワナワナと震わす。


「……それ聞いてどうすんだ。不正があったってみんなに――とうかに言いふらすつもりか?」

「ち、違うよ! ただ、どうしてそんなことしたのかなって。もし藤香さんが関係してるなら、何か私にもお手伝いした」

「は? 会ったばかりのヤツに言うわけないだろばーか」


 笑顔は嫌悪に変わる。最後に刺すような目で琴音を睨みつけると、さっさと踵を返していった。


「……ごめんヨスガ。失敗しちゃった」

「いや、作戦は成功した」

「えっ?」

「奴が黒だと分かった上に、俺達の存在を一層強く刻むことができた。好感度を多少犠牲にしてでも得たかったものだから、安心しろ」


 突然現れた兄は未知数だが、こちらに対して敵意は見られない。しかし「俺達も席に戻るぞ」と壺から離れようとすると、琴音は神妙な面持ちでしゃがみ込む。


「帰る前に、一個聞いてもいい?」

「何だ?」

「なんであの子に協力したいの?」

「ああ、それはだな。――仮説を検証するためだ」

「……仮説?」

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