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第十三話 カワエルの応援、ダンジョンボスを砕く着ぐるみ

「まずは、あの障壁をどうにかしないとな」

「むう、さっきのより強力なスキルとなるとマナを収束するのに時間を有します」


 俺が今使えるスキルの中に、カワエルのような高威力のものだと……必殺スキルしかない。


「うし! んじゃま、一発最大威力のスキルをぶち込むか」

「ですが、相手もそうさせまいと動いてきます」


 ゴーレムの足元を見ると、先ほどの小さな鉱石の魔物が大量に出てきていた。

 

「ではまず、カワエルちゃんがお二人を強化します!!」

「強化だって?」

「《天使の応援歌》!! いけいけゴー!! ゴー!! がんばれ! がんばれー!!」


 カワエルが応援すると、体が光に包まれ、不思議と体の底から力が湧いてくる。


「まさか強化魔法も使えるとはな!」

「そして! カワエルちゃんはマナをこねこねー!」


 さっきの《光剣の裁き》よりも高威力のスキルを発動せんと、カワエルは周囲のマナを収束させていく。


「だったら、俺達は」

「小さいのを倒しつつ、ボスに接近!!」


 こちらへ向かってくる鉱石の魔物軍団へと俺とアーレンさんは突撃していく。


「《鎧装》!!」


 駆け抜けながらアーレンさんは鎧を変える。


「【青き槍の鎧】!!!」


 赤い鎧から青い鎧に。赤い鎧は、拳などで戦うものだったのに対し、青い鎧は槍で戦うようだ。

 ちなみに赤い鎧の名前は【赤き拳の鎧】だ。

 シンプルだが、俺は好きだ。

 それに、鎧毎に武器も属性も変わるなんてますますかっこいい。赤い鎧は炎の鳥のような見た目をしていたが、青い鎧は水の竜と言ったところか。

 

「湊! そいつは氷属性が付与されているんだったな!」

「はい!」

「なら、俺が奴らに水を浴びさせる!」

「なるほど! そこを俺が凍らせるってことですね!」

「そういうことだ! 《激流槍》!!!」


 アーレンさんは、槍に地面に突き刺す。

 すると、そこから大量の水が波となって鉱石の魔物達に襲い掛かる。


「《着人連斬》!!!」


 ゲームだった時は《着人斬》も《着人連斬》も無属性攻撃だった。属性が付与された武器で使っても無属性のまま。

 だが、こっちの世界の場合は。


「おし! 盛大に凍った!!」


 属性がのる。これはかなり便利になった。

 つまり今までのスキルを使う時も属性が付与された武器を使えば色々強化できそうだ。

 

「《水竜一閃》!!!」


 盛大に凍った鉱石の魔物達にアーレンさんは槍を振るい水の斬撃で一気に薙ぎ払った。


「子分どもはいなくなった! 次は!」

「カワエル! いけそうか!」

「いつでもいけます!!」


 ゴーレムも俺達が細かいのと戦っている間に、膨大な魔力を収束させていたようだ。

 

「お二人とも! そのまま突っ込んでください!! ゴーレムの攻撃ごと障壁を貫いてみせます!!」

「そいつは頼もしいな!!」

「頼んだぞ! カワエル!!」

「カワエルちゃんにお任せです!!」

 

 俺とアーレンさんは、臆することなくゴーレムへと突っ込んでいく。

 その進行を邪魔するかのように、また鉱石の魔物が現れ突撃してくる。もはや無限に出てくるんじゃないか? 


「邪魔だ!」

「このまま突っ込む!」


 だが、俺達は止まらない。

 カワエルのことを信じて、突っ込んでくる鉱石の魔物達を倒しながら前へと進む。


「さあ、カワエルちゃんの最大火力で貫いてみせますよ!!」


 飛んでいるカワエルの翼が普段よりも大きくなる。

 そして、突き出した両手の前に何重にも重なった光輪が出現する。


「《カワエルちゃん砲》!!! 発射ッ!!!」


 え? カワエルちゃん……砲? え? 自分の名前のスキル?

 しかし、発動できているということは、そういうスキル名ってことなんだよな。

 そして、カワエルよりも遅れて発射された色鮮やかな光線。

 

「いっけー!!!」


 ぶつかり合った光線。

 最初はせめぎ合っていたが、カワエルの光線がゴーレムのを貫いた。

 それと同時に、障壁を砕き、ゴーレムの胴体を貫通。


「一気に畳みかけるぞ! 湊!」

「はい!!」


 バランスを崩したところへ、俺は右、アーレンさんは左から跳躍。


「《水竜天昇撃》!!!」


 槍を構え水で形成された竜を纏って突撃していくアーレンさん。

 

「《絶空にゃおんスラッシュ》!!!」


 それに合わせるように、俺も巨大な爪を剥き出しにし突撃する。

 カワエルの攻撃で脆くなったところへ二人の高火力攻撃が同時にぶつかった。それによりゴーレムは、バラバラに砕け散ってしまう。

 

「やりましたー!!」

「よっしゃ!!!」

「これで、ダンジョンをクリア、したのか?」


 崩れ落ちたゴーレムは、外の魔物と同じように四散する。

 そして、巨大な魔石だけがその場に残った。

 素材はなしか……。


「わー、大きな魔石ですね」


 ゴーレムの魔石をぺしぺしと叩くカワエル。

 確かに巨大だ。軽く二メートルはあるな。

 

「こいつは、今まで見たどの魔石よりも大きいな」


 鎧を解除したアーレンさんも物珍しそうに見詰める。


「やっぱり大きんだな……とりあえずこれは俺が運びますね」


 そう言って俺は魔石を持って収納空間に放り込む。


「おー、便利だな。俺達がこのダンジョンボスの魔石を運ぶ時は自力だったからなぁ」

「ちなみに、どれくらいの大きさだったんですか?」

「さっきのより半分ぐらい小さかったな。ゴーレムだって、あんなに大きくなかった」


 やっぱりさっきのは特別な奴だったってことか。


「さて……どうやらボスを倒したことで道が開けたみたいだな」

「ということがゴールですか?」


 俺の頭に乗っかりながらカワエルが呟く。


「どのダンジョンも共通で、ボスを倒した先にある部屋には財宝と外へ出るための転移陣がある」

「いよいよですね」

「ああ。どんな宝があるか、楽しみだ」

「では、いざ行かん! 湊くん前進です!!」


 いや、自分で歩かないのか、ここまで来て。

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