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第十二話 最後尾の着ぐるみ、鉱石の巨人

「くっ! こいつらなかなか素早いぞ!」

「そのうえ、通路も狭い……!」

「うわーん! 戦いにくいですよー!」


 ダンジョン内にある隠し通路にて、突如現れた鉱石の魔物。

 鉱石から手足が生えているうえに不気味な一つ目。

 サイズがそのままなだけではなく、かなり素早いし硬い。

 

 普段ならそれほど苦戦はしないと思うのだが……場所が悪すぎる。

 一本道で、幅もさほど広くない。足場も凸凹していて、油断していると足元を掬われかねない。

 

「あだっ!?」

「だ、大丈夫か? カワエル」

「うぅ……頭打っちゃいましたぁ」


 カワエルも得意な空中からの遠距離攻撃ができないでいる。アーレンさんも、得意な効果力のスキルを発動しようとするも、的が小さく素早いので狙いが定まらない。

 しかも、俺達をも巻き込む危険性があるので、迂闊に発動できないでいる。

 俺も、そのことを配慮して剣などの長い武器は使わず【シールドン】を装備して戦っているが。


「カワエル!」

「ぴぃ!? あ、ありがとうございます湊くん」


 頭を打ち怯んでいるカワエルへ赤と緑が一斉に襲い掛かって来たので、俺が前に立ち防ぐ。

 

「アーレンさん! このままじゃジリ貧です!」

「ああ、俺もそう思っていたところだ!」

「こんなところじゃまともに戦えませんよー!」

 

 相手は元が鉱石ということもあって攻撃を食らうとかなり痛いし、攻撃もなかなか通らない。

 いや、このメンバーなら当たれば確実に倒せる。

 だから、この場合の選択肢は……。


「先に進みましょう!」

「それしかないな!!」


 戻れば今より狭い道になる。なら、奥にここより広い場所があるという可能性に賭けるしかない。


「カワエル!」

「了解です!」


 俺に掴まれと言う視線を送ると、腹にがっちりとしがみつく。


「行くぞ!」


 アーレンさんが先行し、襲い掛かってくる鉱石の魔物達を弾いていく。鎧を纏っている分、俺達よりは防御力はある。

 とはいえ、最後尾の俺もなかなかやばい。

 

「うおっ!?」

「だ、大丈夫ですか? 湊くん」


 襲い掛かってくる鉱石の魔物。元は魔法石だ。

 しかも属性つきの。

 それゆえに、各属性毎に火を纏ったり、風を纏ったりして襲い掛かってくる。今はステータスのバランスがいい【猫ソルジャーNK2】のおかげで背中にガンガン受けているが、それなりに耐えられている。

 

「ちっ! ぞろぞろと!」


 鉱石の魔物達と結構距離が空いたが、まだ追いかけてくる。足場が赤、青、緑、黄と様々な色が集まって入り、こんな状況じゃなければ綺麗だと素直に思うだろう。

 が、今は広い場所を求めて突き進むしかない。


「あー! しかも、あの魔物壁から生えてきていますよ!」


 元々ある鉱石だけじゃない。

 壁からも出現するようだ。

 いや、もしくは壁に埋まっている鉱石から?


「うら!」

「完全に出てくる前に叩いちゃえばいいだけです!」

「見てください! 向こうに!!」


 先に広がる光景は、明らかにあの休憩場と同じかそれ以上の広さはある空間。

 俺達は、そこへなんとか辿り着き、一斉に通って来た通路へと向き合う。


「考えていることは一緒みたいだな」

「もちろんです! カワエルちゃんはやる気満々ですから!」

「それじゃ、一気にやりましょう!」


 一方通行。

 そこを通ってくる大量の魔物達。

 俺達がやることは。


「《赤光拳》!!!」

「《シャイニーカノン》!!」

「《着ぐるみ破》!!」


 一斉に遠距離のスキルを通路へと放つ。

 スキル同士が混ざり合い、追いかけてきていた鉱石の魔物達を……殲滅した。


「ふう……厄介な魔物達だったな」

「狭いところはやっぱり苦手です……」

「まあいい経験になったってことで。それよりも」


 一難去ってまた一難ってところか。

 踵を返すと、そこには十メートルは優に超える巨人が奥の壁に寄りかかっていた。

 その巨人も、さまざまな鉱石が体にあり、キラリと目が光り動き出した。

 

「アーレンさん。このダンジョンのボスは」

「ああ。あいつみたいな巨人だった。だが……大きさが違い過ぎる」


 ということは、やはり裏ボス的な存在ってことか。

 俺達とかなり距離があるのに、その巨大さが嫌でもわかる。【フリーダム・ファンタジー・オンライン】にもこんなボスが居たっけな。

 あの時は、十人以上でなんとか倒したが、今は三人。


「でも」

「ああ。さっきよりは場所も広いし、的もでかい」


 バシバシっと左手に拳を打ち付けながら前に出るアーレンさん。

 

「ここだったら、カワエルちゃんも自由に飛べます! さあ、あんなでかいだけの敵なんてあっという間に倒しちゃいましょう!」


 カワエルも、さっきの狭い通路で鬱憤が溜まっていたのか、元気に翼を羽ばたかせている。


「それじゃあ、さっさとダンジョンを攻略しちゃいましょうか!」


 俺も右の武器を【冷凍カツオ剣】にし、アーレンさんに並ぶ。

 

「それ、武器なのか?」

「はい、まさしく武器です。氷属性が付与されてます」

「お、おう」


 相手は所謂ゴーレムだ。

 だが、先ほどの魔物のことを考えるとおそらく。


「来るぞ!」


 ゴーレムは、まだ距離があるも右腕を振りかぶる。

 それと同じくして右肩にある赤い魔法石が光り出した。

 

「わっ!? 拳から炎を出しましたよ!!」

「やっぱりか!」


 俺は、すぐさま二人の前に立ち【シールドン】を構えて、炎の拳を防ぐ。

 

「遠距離攻撃ができるゴーレムか! 厄介だな!」

「だったらやられる前に!」


 カワエルはマナを収束させる。


「《光剣の裁き》!!!」


 突如としてゴーレムの頭上に巨大な光輪が現れ、そこから剣が降り注ぐ。

 

「でかっ!?」


 これにはアーレンさんもびっくりだ。いや、俺も驚いているが。話には聞いていたが、予想以上に凄いスキルだな。

 だが、あれならゴーレムも。


「ありゃ?」

「防いでる?」

「見ろ! 障壁みたいなのがゴーレムを覆ってるぞ!!」


 容易にゴーレムを倒すかと思っていたが、巨大な剣は障壁によって防がれてしまった。

 あれほどの高位スキルを用意に防ぐとは……。

 

「一筋縄じゃいかないようだな」

「むー! 悔しいですー!!」

 

 あの障壁……それにさっき襲ってきた魔物の目……ダンジョンに入った時に感じた嫌な気配……。


「二人とも。力を合わせて倒そう!」

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