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30 賢者

 柔和そうな雰囲気を醸し出す眼鏡の男。

 男は私達の前に進み出てきて言った。


「即帝領。既に攻略されきっているという声も多い中、

 昨今、まだ開かれていない扉が即帝領で見つかりました。

 しかし、その扉には鍵がかかっていた。

 ですから鍵がここ数年の間必死に探されていたのです」

「それが見つかったと?」


 リエリーさんが指回しをしながら問うと、

 男は眼鏡の鼻あてを上げてずれを直すとゆっくりと頷いた。


「長らく東方に住んでいたという女性が、サウスホーヘンに移り住み。

 そしてそこで貧困の末に手放したという即帝関連物品の数々。

 その中の一つに即帝領の鍵が含まれていたのです」

「それで鍵は件の扉に合致したのですか?」


 リエリーさんが首を傾げる。

 確かに扉と鍵が一致しなければどうしようもない。

 既に盗掘されて荒らされた後の扉の鍵だった、というのでは意味がない。


「えぇ……防衛隊を伴ってサウスホーヘンのギルドマスターが解錠を確認。

 それから再び扉を施錠し、その鍵を闘技大会の優勝賞品としたのです」

「なるほど……それがイアさんの欲しがっていたという……」


 私がぱんと両手を叩いてそう言うと、「おや、イアとお知り合いですか?」と男が言った。


「はい。サウスホーヘンの闘技大会にてお相手をさせて頂きました」

「これはこれは……まさか出場者に会えるとは……。

 それで、余り心配はしていませんがイアはどうなりましたか?」

「見事イアさんが優勝なさっていましたよ」


 私がそう教えると、男はにやりと笑って言った。


「そうですか。良かった。別行動を取ったから心配していたのですよ。

 私、賢者ユリアスと聖騎士ナミア、そして聖女ソラの3人はひと足早く

 即帝領に向かうためにここセーフガルドへと立ち寄っていたというわけです」


 聞けば、私がサウスホーヘンへ向かうのと入れ替わるようにセーフガルドへ来たという。


 ――鑑定一部失敗しました。

 【人間族。男性】

 ○級炎魔法、上級氷魔法、中級風魔法、中級回復魔法、元素感知A、元素操作A、上級冒険者B、上級賢者A、上級鑑定妨害A、他多数……。


「すみません。私は常にギルド会館内にて鑑定を範囲展開しているもので……」

「なるほど、貴方でしたか。いえ構いませんよ。

 どうせ鑑定妨害に合い満足なスキル情報は見れないでしょう?」


 ユリアスはそう自信満々に言い放ったが、私は男のかなり多くのスキル情報を知っている。

 もっと多くのスキルを保持しているのだろうか? さすがは上級賢者Aだ。


「とにかく、件の贋作製作者の捜索依頼は、

 Aランク冒険者パーティの我々が、ギルドと共に即帝領の新規領域の探索を引き受けているからこそ発せられた依頼です。

 本物そっくりの贋作が持ち込まれたとあっては、

 鍵を持ち込んだ女性が事前に即帝領を探索していなかったとは限りませんからね」


 言いながら、賢者ユリアスはホウコさんから調査報告書を受け取る。

 そして暫くして「それでは失礼」と言ってお辞儀をすると去っていった。


 私は即帝領の新規領域の探索に羨望の眼差しを向ける。

 そして上級冒険者パーティだという勇者イアさん達がどれほどの実力を持っているのかが気になっていた。

 恐らくは私のような中級冒険者では、まるで歯が立たないような困難を突破してきたパーティなのだろう。私ももっと研鑽を積まなければならない。

ここまで読んで頂き有難うございます!


「面白い」「続きが気になる」と感じていただけたなら、『ブックマーク』と広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして頂けますと、とても嬉しいです。


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