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第15話~整理整頓してる時何か見つけると作業が止まりがち~

 卒業式が終われば当然卒業した学校に生徒として通う機会はないので中等部の入学式までは学校に行くことは無い。俺はリール・ア・リーフからシェーベリーに移る為、シェーベリーへと持っていくものをピックアップしていた。


 家具などは寮に備え付けられているようなのでよほどお気に入りのものでもなければ持っていく必要はない。俺は別に特別無くて困るというものは無いので大物家具は全く持って行かない。もし必要があれば向こうで買えばいい。

 それなので持っていくものは服や本といったものが中心になる。それでも中々の量にはなるので、結局荷車を後ろに付けて行くことにはなるだろうが。


 いつも使うものは大体ベッドの周囲に置いて寝転びながら使えるようにしていたので引き出しを開けることもあまり無かったため色々思わぬものが出てきた。それに気を取られて作業が止まる。

 日記が出てきた。これはいつの頃のだ?表紙を開いてみるとこれはリール山の戦いを調べていた頃のものだった。


 少し内容を読んでみると「あぁ、そんなことあったな。」「あれは傑作だったな。」等とついついページを進めていってしまう。キリの良い所まで読んでやっと本来の作業に戻る。

 両親に言われて嫌々つけていた日記。東亜として生きていた時は三日坊主で終わっていた日記ではあるが、こう読み返してみると何があったかを思い出せるのでつけていてよかったかもしれない。

 必要になるかは分からないが、もしかしたら必要になるかもしれず、そして買い求められないものは多少かさばっても持って行きたい性分の俺は結局日記は持って行くことにした。


 今日は持っていくもののピックアップに時間を貰っているが、当然丸一日貰っているわけでは無く、この後にはいつもの勉強が入っている。その為あまりチンタラはしていられない。

 それに部屋の外からは何度かセバスティアンの声が聞こえる。彼は俺の性格を知り尽くしているようでおそらくどこかでだらけ始める俺に定期的に声を掛けて時間に間に合うよう急かしている。

 このようなやり取りももう二度とないのだろうなと思うと今まで煩わしいと思っていたやり取りも少し名残惜しくもある。まあ煩わしいのは変わりないんだが。


 セバスティアンの急かしもあって何とか勉強の時間までには持っていくものの選別とちょっとした部屋の片づけが終わった。基本的に家具は持って行かないのであまり部屋の景色は変わらないが、所々今まで置いていたものが無くなっていたりする。


「ファンデン様お急ぎくだされ。戦術の先生はもう部屋でお待ちですぞ。」

「へいへい。」


 俺が部屋を出ると早速セバスティアンが急かす。俺はいつものようにやる気無く返事をする。だが最後に「ジイ、ありがとうな。」そう言って勉強部屋に向かう。後ろから感激したような声が聞こえた。結構大げさな爺さんだ。まあいつもは「ありがとう。」なんて言ってなかったからかもしれないが、それでも結構感謝はしていた。だが少し照れ臭いので俺は振り向いて


「ジイ、老い先短いんだからノースデンたちにはプリプリ怒るなよ。」

「またそのようなことを……。感動して損しましたぞ!」


 俺は腹の底から大きく笑ってから勉強部屋へと再び向かう。そして背を向けたまま手を振って歩いて行った。

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