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第12話~ロートリース騎士団長・ゼオン・アーヴィナー~

 ゼオンとの手合わせの日、俺は久々に心躍っていた。彼と出会ってからもう10年近く経つが、未だに手合わせしたことが無く、騎士たちから聞く彼は桁外れに強いという話と、共に魔物討伐に出た時に見る彼の動き、そして彼自身の鍛練ぐらいでしか知りえなかった。

 だが家中の騎士も父も手放しで認めたゼオンが遂に手合わせをしてくれる。遂に彼に一人前と認められたような気がしたからだ。


 俺は今回、片手剣と盾の装備で挑む。ゼオンは長剣を扱う為間合いでは最初から勝負にはならない。大剣という手もあるが、隙が大きすぎておそらく彼を捉えることはできない。

 それならば間合いは短くとも防御用の装備を持って迎え撃った方がよいと思った。それでも不利であることは変わらないだろうが。


 俺とゼオンの立ち合いはもう家中に知られているようで、家中の騎士のほとんどは見に来ており、なんと父まで見に来ている。

 朝言われたが、今日はわざわざ仕事を早く終わるように調整して見に来たようだ。少し恥ずかしい気がするがうれしかった。


「ではファンデン様、始めましょうか。」

「ああ。手加減は無用だ。行くぞ!」


 武器と防具を着けて立ち合う。俺は低い体勢を取ってなるべく盾の防御範囲内に身体を納めながらゼオンの周りをゆっくりと回り始める。ゼオンはこちらに合わせてその場から動かずに回り、いつでも俺の攻撃に対応できるよう待ち構えている。


 しばらくぐるりと回ってはみたがさすがに隙が見当たらない。少しずつフェイントを織り交ぜて牽制を入れてみたが全く引っかかる気配がないし、彼が焦れる気配もない。

 静かな立ち上がりに観戦している父たちは黙って見守っている。


 さてどうしたものかと思ったところで、ゼオンが初めて足を前に踏み出して俺の左半身への横薙ぎのモーションを起こした。もう既に間合いに入っている。俺は後ろに逃げた。だがこれは完全にフェイントだった。情けないことにこちらが先にフェイントに引っかかってしまった。

 ゼオンは全く逆の方向から剣を振る。右半身は盾を持っていない方だ。拙い!咄嗟に俺は盾で右半身を防ぐ。なんとか間に合ったが、そのまま彼の長剣に身体を浮かされた。

 だがゼオンの攻撃は止まらない。ゼオンは剣を振り切らず、その位置から左手一本で突きを放ってきた。俺は咄嗟に剣を身体の右側に薙ぎ払って、ゼオンの突きの軌道を無理矢理逸らした。片手の突きだったのでまだ威力が低く比較的容易に逸らすことができた。


 俺は突きで若干前に身体が突っ込んでいるゼオンに向かって突っ込む。小回りならこちらの方が利く。俺は横薙ぎに剣を振ろうとしたが、ゼオンの右肘が飛んできた。鎧を着こんだ腕を縦に振って、右ひじを叩きつけてきた。

 俺は盾で彼の右肘を防ぐ。片手の突きはこちらが突っ込んできた際に迎撃するために使える腕を残していたのだ。この肘の攻撃で弾き返されて再び元の間合いにまで戻された。

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