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第10話Part.7~俺もお前に言いたいことがたくさんある~

「へへへ。断ってもよかったんだぜぇ?」

「アハハハ……お手柔らかにお願いします。」

「約束できねぇなあ。」


 俺とバルフォアは皆が円を成して見守る中心に居た。バルフォアはニヤついた顔で俺を見下しながら言う。もう奴の脳内では俺をどのようにいたぶるのかをシミュレートしているのだろう。

 バルフォアの得物は長剣。バルトルメスも長剣を主に扱っていたので、フルーレ家では長剣での戦闘が脈々と受け継がれているようだ。

 対する俺も長剣をチョイス。彼の得物は分かっていなかったが、どちらにせよバルトルメスの得物だった長剣で奴を叩きのめしてやりたいと思っていたからだ。


「フルーレ家相手に長剣で勝てると思ってんのか?ナメんじゃねえぞ。今取り換えるなら見なかったことにしてやる。」

「いやあアハハ。フルーレ家の方と剣を交えるならせっかくですし長剣でご教授賜りたいと思いましてね。」


 さっきまでニヤつきながら俺を見ていたバルフォアから笑みが絶えて、ドスの利いた声で俺を脅しにかかる。完全に奴の気に障ったようだが俺は取り換えない。

 一手教授。つまり彼の剣技が見たいだけならば別に他の剣でもいいのだ。小回りの利く片手剣と盾でも間合いが伸びる大剣やポールウェポンでもその対応が知れるのだから、別に長剣に拘る必要はないため、奴から得物を変えろと言われれば別に変えても問題はない。

 だが俺は口でそう言いながらも、奴に剣の授業を受ける気など毛頭ない。敢えて見え透いたことを言って奴を挑発する。奴も修練を積んでいる筈なので、これは明らかな挑発だと悟るだろう。

 俺だって好き放題言われて下げたくもない頭を下げさせられた。このツケはきっちりと払わせてやる。俺は奴の喧嘩を買った。


「っざけんなあぁぁぁぁっ!」


 分かりやすいほど挑発に乗ったバルフォアは開始のコールも無いのに飛び込んできた。先生は「ちょっ、まだ……。」と止めようとしたが、頭に血が上っているバルフォアには聞こえない。俺も前に出て奴の剣を受ける。剣に力が乗り切る前に受けて押し込む。鍔迫り合いのような形に持ち込んだ。


「随分とお怒りですな?」

「アァッ!?」


 俺は鍔迫り合いの最中にバルフォアにだけ聞こえる声で奴を小馬鹿にした口調で物を言う。当然聞こえているので怒声を飛ばしながら剣に力が篭る。だが押し切れない。


「私と少し目が合っただけで相当お怒りでしたなぁ。それに何でしたか?【自分がフルーレ家で何か文句あるのか?】でしたか。そうおっしゃるということは何か疚しい部分でもあるので?」

「なっ。て、て、て、テメエ!」

「図星のようですな。……俺もお前ぇに言いたいことがあのリール山ほどあるんだ。覚悟しとけよこのクソ七光り野郎。」


 俺は慇懃無礼な態度をやめて、バルフォアをはじき返した。奴は少し体勢を崩したがすぐに立て直す。この辺りはしっかりと修練を積んできているようだ。だがそれは俺とて同じだ。

 立て直しはしたが隙だらけになったバルフォアの長剣の剣身の腹を打って弾き飛ばそうとしたが、俺が打った箇所からぽっきりと木剣が折れる。折って多少勢いは失ったが、そのままバルフォアの横腹に木剣の一撃を見舞う。

 「ゴッ。」という鈍い声と共に悶絶するバルフォア。だが膝をつかないのはせめてもの意地なのだろう。


 それならば無理にでも膝を屈してもらう。俺は木剣でバルフォアの腕、脚の順に打ち据える。たまらず膝を屈したバルフォアに対し俺はすぐに後ろに回り込む。

 痛みで身体をロクに動かせず膝立ちになっているバルフォアの首に木剣を振り下ろした。とは言っても寸止め。木剣とはいえ首を打てば奴の身体もただでは済まない。さすがにそこまでする気は無く、俺は奴の首を取れたという事実だけで十分だった。


「俺の、勝ちですね?」

「え、えぇ……。」


 俺とバルフォアの鍔迫り合いでやんややんや言っていたヴェルグループのメンバーも黙りこくってしまった。そうなるようにワザと過剰な攻撃をしたのだから当然といえば当然だ。

 俺のあの挑発に関しても露見はしないだろう。俺の声が聞こえたのはバルフォアただ一人であるし、負けはともかくとしても、あそこまでこっぴどく負けた上に闘いの最中に挑発を受けて冷静で居られなかったなどと言い訳がましいことを言えば、尚武の気質ありのフルーレ家。バルフォアの立場が更に悪くなるだけだ。


 だが後の事を考えていなかった。奴がフルーレ家を継いだ時の事だ。奴は俺の罵りを受けたわけなのだからその恨みを後になって晴らされるかもしれない。

 そこに至ったのは2日目の試験が終わった後の事。またやってしまった。プッツンすると後先を考えずに衝動的なことをして後悔する。しかもなまじ力を得てしまったため更に悪い方向になるのではないかと俺は頭を抱えることになった。

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