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第10話Part.6~弱き貴族、虚勢を張る~

 筆記試験の翌日、俺たち受験生はシェーベリー戦闘大学校中等部の運動場に居た。今日は実技試験だ。武術と魔術の試験。こちらは筆記試験よりは自信がある。

 特に武術に関してはあのディエゴを倒したということが更なる自信を深めている。魔術に関してもそんじょそこらの者に負けない自信はある。とはいえ比べる対象がモリーンしか居なかったため、一体自分は同年代の中でどれくらいの位置なのかは掴み切れていないが。


「ケッ。まーたテメエか。」


 バルフォアはまた同じ組らしい。全くうれしくもないマッチングだ。近くに居るということはコイツと武術の実技の細かいグループ分けまで一緒になってしまったようだ。

 昨日の試験終了後に1枚の羊皮紙を渡された。その羊皮紙には昨日の教室の名前だったメイティスと同じ聖騎士のヴェルの名が書かれていた。

 ヴェルは武術の実技からと聞かされていたが、セリオスの貰った羊皮紙にはメイティスと書かれており、それも武術の実技からとのことだった。そのことから実技試験は2種類だが人数が多い為細かくグループ分けしたということなのだろう。

 そして俺とバルフォアは同じヴェルのグループになったのだろう。おまけにあの腰巾着も一緒だ。また面倒そうだ。


 ヴェルを担当するのは女性の先生。クリアでよく通る声の持ち主で、それほど大声を出しているわけでは無さそうなのにすっと耳に入る。

 先生の説明によると、武術の実技試験は二人一組の対戦形式。当然しっかりと防具を身につけて、剣は木剣で致命傷は避ける配慮はしているが、ほぼ実戦形式の試験だ。そして受ける順番は志願したものから受けて行けるようだ。

 俺は先生の話を聞いて良案を思いついた。だがそれを果たすには


「はい!先生、俺とコイツが1番手でいいですか?」


 バルフォアが俺を対戦相手に試験を受けたいと志願した。思った通りだ。先生にそう言われればきっとコイツは俺を叩きのめすために俺と戦おうとする。それも1番ならもう逃げようもない。もうヴェルグループのメンバーは皆こっちを見ているのだ。この衆人環視の中で断るのは難しいし、ましてや俺はあの時土下座の謝罪を拒否しているのだ。メンツに懸けて逃げられるわけがないとバルフォアも分かっている。


 俺はバルフォアの言葉に驚いた顔と声を出す。「へぇッ?!」我ながら情けない声だ。これならバルフォアの腰巾着にも負けてないと思う。

 先生は俺の様子を見て聞いて、心配そうな顔をしながら尋ねる。いきなりの無茶振りなのかと考えたのだと思う。まあ実際それはそうなんだが。


 俺は少し悩んだ素振りを見せた後に「分かりました!バルフォア・フルーレ殿下直々のご指名とあれば断るわけにはいきません。」と勇ましく答えた。

 だがさっきまでの俺の情けない様、そして俺がご丁寧に相手の名前を言ったため、バルフォアの顔を知らぬ者でもあの破剣公・バルトルメスの直系の一族が相手であるという事実が誰にでも分かった。

 それは周囲の様子からも明らかで、あの破剣公の直系の相手に指名された気の毒な少年、勝てないまでも逃げなかったことでメンツを保とうとしているのだろうと口々に囁く声が聞こえた。


 しかしこの闘いは俺の望むところであり、バルフォアの指名に怯えるどころかほくそ笑んでいるということを見抜けた者はきっと誰も居ない。

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