第10話~いざ行かん!学園都市シェーベリー!~
シェーベリー戦闘大学校の入学試験の日が2日後に迫り、俺は試験会場がある学園都市シェーベリーに向かう馬車に揺られていた。
荷物はたくさん持っていくと煩わしいが、かと言って何か不足があるのも嫌なので荷物はそれなりに多かったが、学科関連のものはほとんど持って行かなかった。
せいぜいあるのは自分が勉強で使用したノートのようなもの。ノートという形の筆記用紙は存在していなかったので、俺が勉強に使用した用紙を製本してもらったものだが。
しかしこのノートは分厚い。何かの辞典のようだ。自分で書いておきながらよくもまあこれだけ勉強したなと思った。ファンデンの12年だけでおそらく東亜の一生分は軽く超えた勉強量だと確信できる。
ただこうやって馬車に乗っているだけだと眠くなってくる。少しだけノートをパラパラとめくってみたものの、この文字の羅列が余計に眠気を誘った。俺は無理は良くないなと勝手に結論づけて眠ることにした。今は馬車に俺一人。誰も咎める者は居ない。
日が落ち始めた頃に宿に入る。俺の実家があるリール・ア・リーフ周辺からシェーベリーまでは丸一日掛かるため安全のためにも間に宿を挟む必要があった。
今回泊まる宿はそこそこ立派な宿で、どうやら上流階級の人間が利用している宿のようだ。俺たちは広い個室へと通され、個室の中にある個室が俺専用の部屋らしい。主従丸ごと一部屋に入ることができ、プライバシーがしっかり守られる宿のようだ。
それは良いのだが話を聞くと食事も自分一人だけこの個室、主従たちは外側の個室で別れて食べるらしい。別に寂しいわけではないのだが、外でワイワイしているところで自分一人で食事というのも中々身の置き所が無い。それが寂しいということかもしれないが。
そのため俺は執事に一緒に食事をしたいと伝える。セバスティアンは老齢の為今回はついて来ておらず別の若い執事だった。最初は少し渋っていたがここは強引に押し切った。
「私が成長し、君たちと戦場を駆け巡る歳になった時は君たちと寝食を共にすることが来るだろう。それなのに今、あのような壁を隔てておく必要は無い。今宵は安全上の理由で君たちも飲めず、私もまだ酒を飲める歳ではないが、私が酒を飲める歳になった時、酒を酌み交わそうぞ。乾杯!」
俺は食事の前に少しだけ挨拶をした。これからの事を。意外にもこの言葉を聞いて護衛の騎士は感激したものも結構居て、中には涙を見せる者も居た。
最後に今主従として付いて来ている者たちと酒を酌み交わしたいということも話した。このグレイティス王国では16から酒を飲んでも良いらしい。一応あと4年後だ。
ところでファンデンとしての俺は一体どれくらい飲めるのだろうか。東亜としての俺は大して強くはなかったが、そこもあの神は強化しているのだろうかと少し気になった。
ファンデンとしての人生では儀礼的に一口だけ飲むという程度ならあったが、さすがに多量に飲んだことは無い。まあしかし飲み会のような雰囲気は好きなので酒が飲める日が非常に楽しみだった。
騎士たちと食事を共にし、眠りにつき、また翌日に馬車に揺られてシェーベリーへの道を進む。シェーベリーもグレイティス王国の主要な町の1つなのでしっかりと道が舗装され、警備もしっかりとされており、道中は大きなトラブルも無く俺たちは学園都市シェーベリーにたどり着いたのだった。




