第8話Part.6~ボクは甘党、甘々が大好きです~
メインディッシュが終われば次はデザート。運ばれてきたのは焼いたパイ生地の上に色とりどりのフルーツを乗せた焼き菓子だった。グレイティス王国伝統の焼き菓子の一種で俺の家でもよく出されているデザートだが、ここで出されたものはふんだんにフルーツを盛りつけた豪華なものだった。
俺が元居た現代日本ならそう驚くことではないが、この世界となれば話は別。輸送網がまだまだ貧弱な世界で明らかに産地の違うフルーツが乗せられている。
皆はそこに気づいたかどうかは分からないが、見たことも無い組み合わせであることは分かっているようで、「こんなの初めて見た。」という風な反応が見える。
そこから恐らく親に話すだろうし、結果フィオーニ家の名を売れるという訳だろう。
俺は出された菓子を食す。ただ様々なフルーツを乗せただけではない。しっかりと菓子職人が考え抜いたバランスなのだろう。味も素晴らしいもので『うまっ。』と思わず声を上げそうになった。
俺は甘いものに目がない。現代日本に居た頃もお酒を飲むよりは甘いものを食べたり飲んだりしている方だった。お酒を飲んでも甘いチューハイだったりと甘いもの好きだった。
そういえば俺の現代での最期の晩餐はご飯も食べずにコンビニのチーズケーキと缶チューハイ6本だったか。まったくロクでもない最期だと思う。
他の子の様子を横目で見ると皆一様に美味そうな顔をしていた。特にマリアはとろける様な顔をしていて、かなり好みに合ったものだったようだ。
多分俺の顔も相当弛んでいたのだろう、俺の右隣に座っているアメリアが声を掛けてきた。
「おいしいね。ファンデンくん。」
「あぁ。こんなのは初めてだ。」
「うんうん。」
(あ、多分顔が弛んでる。)と思った俺は普段の顔に戻したつもりでアメリアに答えたが、弛んだ顔を見られたのだろう。クスクスと笑いながら肯定の返事をする。笑った顔はともかくゆるゆるの顔を見られるのは少し恥ずかしい。まあ見られたものは仕方ないが。
最後に飲み物と小さなお菓子が来る。飲み物は黒い液体で飲むと苦い。まあ早い話がコーヒーだ。ここではカーフィーと呼ばれているが。当然甘党の俺はブラックコーヒーは苦手だ。
現代日本で暮らしていた頃、ミルクと砂糖をたっぷりと入れて甘いカフェオレだかカフェラテみたいにして飲んでいた。
30歳の身体でですらこれだったのだ、今10歳の身体である俺は当然甘く甘くしたカーフィーを飲む。
あまり甘くし過ぎると一緒に出された甘い小菓子の味が分からなくなってしまう。それなのでカーフィーを飲んでしばらくしてから小菓子に手を伸ばす。この小さな小菓子も甘くておいしい。
最高級の肉から甘いお菓子、一度はやってみたいと思い続けていたが未だに実現できていなかった食事が今日、ペティの家で叶った!そういう意味でも大満足の打ち上げパーティーだった。
カーフィーと小菓子を食べながら少々雑談をした後、夜も遅くなってきたので俺たちは帰ることにした。今日主催してくれたペティに改めてお礼を言い、馬車で待っていたセバスティアンと共に家に帰った。




