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第7話Part.12~破剣公バルトルメス~

「か、閣下……。どうしてこちらに。」

「話は後だ。行くぞ。ヴァン!回復魔術をかけてやれ。」

「ハッ!」


ヴァンと呼ばれた女性がホルトに近寄り手をかざす。そして【ラ・ヨーグレン】と唱えるとホルトの疲労が取れていく。ケガの治療魔術よりも疲労回復の魔術の方が難しく相当な術者でなければ使えないが、さすがに王族フルーレ家の大公バルトルメスに侍る魔術師である、高度な魔術を使いこなせるようだ。


「あ、ありがとうございます。」

「いえ。」


再び自身の大剣を持って戦えるようになりヴァンに感謝の言葉を言うが、当のヴァンは指示を受けたことなのでといった様子でサラリと答えた。

改めてバルトルメスに感謝の言葉を言うと彼は彼で「礼なら戦いで返せ。」と言う。ホルトは剣を背負って「ハッ。」と返事を返し再び戦いの渦中に身を置く。


復帰したホルトは再びラグヮジャやオークを倒していくが何故かすぐ隣でバルトルメス本人が戦っていた。武辺の人とは聞いていたが近衛兵に任せるのではなく自分で最前線に出てくる上兵卒に交じって剣を振るう。

大規模戦闘に参加するのは初めてだがそれがどう考えても異様であることはホルトにも分かる。


「閣下、貴方まで先頭に立たずとも……。」


ホルトは少し控えめにバルトルメスに先頭に立っては危険だと言ってみた。しかしバルトルメスはというと「俺が前に出ることで皆が奮戦するのだ。」と全く意図が伝わっていない。仕方がないので


「い、いえ……危険なのでは?」

「危険?お前や信頼する騎士たちが隣に居る。危険なものか。」


自身の危機に関しても全く恐れは抱いていないようだ。だが油断も侮りの様子は全くなく、一歩一歩確実に攻めていく。結局ホルトもバルトルメスの側近たちと同じく説得は無理だと悟り、せめて彼の信頼に応えようと魔族軍団を叩き斬り続ける。


バルトルメスはというと剣や鉄の槍ごとオークを叩き斬っていく。バルトルメスの膂力と武器は並の武器では打ち合いをすることすら許さない。

ホルトも同じことはできるのだが、バルトルメスの武器は相当な業物ではあろうが通常の長剣に類するものだ。ホルトは圧倒的重量で武器を圧し折るが、彼はその十分の一程度の重量で行っている。

力量で言えばホルトの圧倒的上を行っている。


「は、破剣公……。」


彼の異名【破剣公】はホルトが初めて発したものだとされている。この2人を筆頭とした奮戦で魔族軍団の正面からの攻撃は停滞し、総大将であるカール一世が自身の近衛隊長のシルヴァン・ラシュリーを動かし右翼からの攻撃を押し返す。


崩壊しかけた戦線を立て直し、そして攻勢の失敗で士気が下がったであろう魔族軍団に反撃を仕掛ける。

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