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2章第7話Part.4~学者と平民~

遂に雨が降った次の日、アーシュレは父でファーマー地区の領主であるアース・ホイケに昨日の事を聞かれていた。娘のアーシュレが雨を降らせたという話が彼の耳にも入ったらしい。

雨を降らせる魔術は彼も時間がある時に個人的に研究をしていたもので、それを娘が発見したとなれば気になって仕方がなかったようだ。

アーシュレは呪文の研究をしていて、そしてたしかに呪文を唱えて魔術使用の行動を取った事は認めたが、本当に自分の魔術だったのかは分からないので、今日の夜に再び実験してみたいと答えた。今は領民たちが農作業に勤しんでいるので、それに配慮したようだ。


アーシュレは夜になるまでは研究を続けるつもりだったようだが父も学者である。知的好奇心は人一倍あり、彼女にどのように発見したのか、呪文を唱えたあとどのように雲が出てきたのかといったことを目を輝かせながら聞いてきた。

結局彼女が研究に充てようと思っていた時間は父との話で潰れてしまった。


日が落ちてアーシュレとアースは屋敷を出て近くの高台に行くことにした。高い所から魔術が成功したときに範囲を大まかに把握できればと考えての事だった。10人ほどの従者を連れて高台への道を進んでいた時


「アーシュレ様ーーーー!!!」


少年の声が響き渡った。その声の主はアーシュレが「ラ・ヤーグス」を唱えたところを丁度目撃し、集落に彼女が雨を降らせたのだと触れ回ったあの少年だ。

当然従者たちの数人はアーシュレとアースの前に立って警戒をする。少年は構わず片足をついて跪いて


「アーシュレ様の魔術のお陰でみんな助かりました!感動しました。アーシュレ様に仕えさせてください!!」


どうやら彼はアーシュレの魔術の力に感動を覚えて彼女に仕えたいらしい。慣れていなさそうな敬語を使いながらたどたどしくも力強い声で彼女に懇願する。

さすが雨の中でも集落全体に響き渡らせた声だ、前に出た従者はあまりの大声に耳を塞いだほどだった。


「あれは私の魔術かは分からないのですよ?」

「いーや!絶対アーシュレ様の魔術です!」


アーシュレは改めて彼に自分の魔術では無いかもしれないのだと教えるが、彼はアーシュレの魔術であると信じて疑っていない。その為彼も高台へ連れて行くことにした。

アーシュレは彼の真っ直ぐな信頼に少し困ったが、でもそこまで信じてもらえることにうれしくもあったと述懐している。


「ところであなたの名前は?」

「俺はホルトです!」


彼の名はホルト。将来不死身の兵卒と呼ばれるホルト・ローズその人だった。そしてアーシュレ・ホイケとホルト・ローズの主従はここから始まったと言って相違なかった。

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