2章第6話Part.11~人を守る将軍に……~
俺とアリアは泉から少し離れた石碑の方へと歩みを進めていた。泉の周囲は森の木々に囲まれているが、そこを拓いたようで道になっている。石碑に近くなると円状に木々が拓かれており明らかに人為的なものだった。
その広がった部分の道の両端には青紫色の小さな花が咲き乱れていた。これも今まで通ってきた場所でも見られなかったものであり恐らく人の手が入っていると思う。
「はやぁ~きれいだねぇ。」
アリアが目を輝かせながらこの光景を見る。俺は「そうだね。」と返して一緒にその景色を見る。その中で石碑の方に目を向けてみると、どうも墓所のように見える。おそらくこの泉の戦いで命を落とした者のお墓なのだろう。
花の名前は分からないが6枚の花びらをつけた小さな花はささやかながらもほとんど緑の光景に映えている。
「これはブロテレイアの花だねぇ。」
花の名前が分からない俺にタイミングよくアリアが花の名前を教えてくれた。俺は「へぇー。」と相槌を打つ。まあ正直言ってそこまで花には興味はないので薄い反応だ。
それはアリアにも伝わってしまったようで、「あんまり興味なさそうだねぇ。」と言われてしまい、苦笑いするしかなかった。
そのブロテレイアの花の道を通り、石碑の前にまで行くとやはり墓所だった。この戦いで命を落とした者たちのお墓が立っており、そして一際大きな作りとなっているお墓がシルヴィ・ラシュリーのものだった。
【シルヴィ・ラシュリー、ここに安らかに眠る】と書かれた墓石は綺麗に手入れがされていた。
石碑にはこの戦いで命を落とした者の名と、その魂を慰める碑文が書かれていた。
俺とアリアは祈りを捧げた後、もう時間も無いので学校に戻ることにする。そして再びブロテレイアの花の道を歩いている時、前を歩いていたアリアが振り返って後ろ歩きしながら
「このブロテレイアの花言葉はね、【守護】だよぉ。ファンデンくんが将軍さんになったら、きっとみんなを守る人になると思うよぉ。」
そんなことを言って真っ直ぐな目でこちらを見つめてくる。あまりにもキラキラと純粋な目。そんな目を人に向けられた事は正直無く、俺は彼女を直視できず俺はアリアの足元の方に視線が向いた。すると彼女が踏み出す足の位置に石か何かの小さな出っ張りがあった。
「危ない!」と言うか言わないかぐらいのタイミングで身体が前に動く、出っ張りに躓いてバランスを崩して倒れそうになったアリアの左腕を俺の右手が掴んだ。何とか間に合ったようだ。
「危ないから。」
「ありがとう。早速助けられちゃったねぇ。」
アリアはえへへと笑って答える。俺は更に近くで見つめられて耐えられなくなり、彼女がバランスを取り戻したことを確認すると手を離して、「さあ帰ろう。」と誤魔化した。アリアも「うん。」と答えて俺たちは学校に帰った。




