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2章第6話Part.9~全てを賭けて~

一度魔族たちの攻撃を退けた泉防衛部隊。30メラーほどは敵は攻め寄せてこなかったが、その後からは断続的にゴブリン部隊が攻め寄せてくる。

中央のバルトルメスもそれは見えているのだが、中央と崩れた右翼からの二正面攻撃を受けている。負ける事は無いとバルトルメスも考えているが、それには今いる全軍で戦う他無く、泉への援護には回せない。

今は泉の防衛に回した部隊に耐えきってもらうより他はなく、シルヴィたちは苦境に立たされた。


泉にはビリージライダーに蹴散らされた右翼後方の部隊が退いて来ていた。弾き飛ばされはしたものの後続部隊は来なかったようで損害は比較的軽微。近くの泉の部隊と合流し防衛に当たろうと来たようだ。


右翼の騎士たちを粗方蹴散らした魔族の部隊が泉の方へ攻め寄せてきた。ビリージなどの魔物とゴブリンが主に結界に体当たりや棍棒での攻撃を仕掛ける。

防衛部隊は結界の後ろから矢を放ち、結界を直接叩いている部隊は合流した騎士に槍を持たせて結界の後ろから魔物たちを突き刺す。この繰り返しで対処していた。


しかしある程度の損害は最初から織り込み済みのようで、ゴブリンは死体を乗り越えて更に攻撃を仕掛け続ける。すると結界に異変が起こり始める。

結界魔術をずっと使い続けていた魔術師の魔術力が切れ始めたのだ。そして体力の消費に耐え切れず倒れてしまう者が続出。結界の威力が揺らぎ始め、ゴブリンの棍棒がすり抜けて騎士の槍を捉え始めた。


そして魔術を調整して適切に結界を張っていた魔術師に異変が起こる。部隊の中では1番の魔術力と技能を持った魔術師だったが、その大きな負担に耐え切れなくなり始める。

それに気づいたシルヴィが後ろに回り交代を進言。その進言を受け入れた魔術師と交代でシルヴィが結界魔術を束ねた。

兄のシルヴァン曰く、シルヴィは実戦で結束魔術を使うのは初めてだったという。しかしそれでも1番の魔術師に引けを取らない力を見せ、一時的に結界の機能を回復させた。


しかし他の魔術師がついてこれない。他にも結束魔術を使用していた4人の魔術師も交代して術に当たったが、直ぐに耐えきれなくなり結束魔術を使用しているのはシルヴィ1人。だがシルヴィはそれでもゴブリンの突破は許さなかった。


最初は100人居た魔術師で魔術の使用ができているのはシルヴィを含めて10人。魔術のリソースが足りていない分はシルヴィが上乗せして結界を張り続けた。本来魔術の同時使用など聞いたこともできた者も誰も見たことはないそうだが、そうとしか考えられないと結論づけられている。


「シルヴィィィィィィィッ!!!」


どれほどの時間が経ったか、中央部に攻めてきていた魔族の部隊を押し返した後、援護に回らざるを得なくなっていた近衛部隊とバルトルメスの部隊少数が泉の救援に来た。

後ろからの攻撃に魔族たちは混乱、それを見計らった泉防衛部隊の指揮官ミアが騎士たちに援軍との挟撃を指示。ここでやっと結界を解くことができた。


混乱した魔族は泉防衛に回った少数の騎士でも押し返せるほどで、援軍の近衛騎士はシルヴァンを中心に士気が高く、一気に敵部隊を殲滅した。

シルヴァンは敵部隊の殲滅を確認した後、泉に部隊を進めた。

部隊の指揮官のミア・グレイティスは王カール・グレイティス一世の妹であるため、無事かどうかの確認もしてきて欲しいと指示があったからだ。

多分カール一世はシルヴァンも妹が心配だろうからと気を利かせたのだと思う。


「ミア殿下。ご無事でしたか。」

「えぇ。あなたの妹がよく守ってくれました。」

「ありがたきお言葉。してシルヴィは何処へ?」


シルヴァンは馬から降りて跪いて声を掛ける。ミアの方はというと馬上から凛々しくも優しい言葉をかける。シルヴァンは妹がしっかり務めを果たしたことを喜んだが、その妹の姿が無い。

ミアの方も挟撃部隊の指示の為陣を飛び出したので、陣中の後の事は知らないようで、相当無理をしたので陣で休んでいるのかもしれないと答えた。


シルヴァンは「ハハッ。妹の働きを褒めて参らねば。失礼いたします。」と意気揚々と陣に向かうシルヴァン。ミアもあくまで陣の防衛が任務なので、「私も改めてお礼を言いたいので。」と一緒に泉の本陣に入る。

そしてシルヴァンとミアが見たものは彼女の変わり果てた姿だった……。

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