2章第6話Part.4~ラシュリー家飛躍の切欠~
アリアが足を浸けて楽しんでいた泉もラシュリー家と王家との関係がある場所だった。こちらはシルヴィの兄であるシルヴァン・ラシュリーとカール・グレイティス一世の話である。
カール一世は側近となれる人材を探していた。当然父王であるプロヴァン一世から側近は付けられてはいたのだが、自分で探した人材を欲していた。
そしてその側近として白羽の矢が立ったのがシルヴァン・ラシュリーだった。
シルヴァンは王国主催の武術大会で優勝を果たして国一番の猛者であると評判だった。そして父のシルヴァは誇り高くも王家への忠心篤い人柄がよく知られ、更に父の気質をよく受け継いでいた彼はカール一世の信頼を得るに至り、カール一世の近衛隊長として取り立てられた。
しかし貧乏貴族と蔑まれていたラシュリー家の出世を妬ましく思う者もおり、何かにつけて彼はいびられた。
彼は貴族でも低い位の出身であったため、上流階級のたしなみやマナーがおぼつかない部分も多く、特にその辺りに触れられ「所詮は貧乏貴族。」「戦うことしか能の無い獣。」「殿下は何故このような者を重用するのか。」と面と向かって罵倒された。
しかし彼はカール一世が噂を聞きつけて尋ねられても、「そのようなことはありません。」と答えるのみで、愚痴の1つも溢さなかったと伝わっている。
彼は彼で無意味な争いは意味が無く、自身の働きで見返せば良いと考えていたようだ。とはいえ父に似て誇り高い性格のシルヴァン、憤懣はあったようで、大貴族の1人が何故かは分からないものの金の無心の手紙を送りつけてきた際に
「大貴族の豚野郎め!普段は貧乏貧乏と罵っておきながら金の無心とは最低限の矜持も無いのか!」
と大激怒し自室に置いてあった大剣を振り回し、部屋の物という物を全てズタズタに斬り裂いて、斬るものが無くなってやっと冷静になったという逸話もあるほどだ。
実際に彼の邸宅とされている家がラシュリー家が領地替えとなって引っ越した際そのまま残されたらしく、シルヴァンの部屋と伝わっている部屋は剣で斬りつけた跡が至る所に残されている。
俺の父も王都へ行った際にその家を見に行ったことがあるようで、凄まじい斬り跡だったと言っていた。
結局彼はその後、大貴族の望み通りに金を送ったそうだが、その大貴族は特に礼を言うでもなく次の日にはまた罵倒してきたそうだが……。
更新が遅れて申し訳ないです




