【コント】エーゲ海
場所∥洒脱な間取りをしたコテージ
ツッコミ(ツ)∥イタリア帰りのナイスガイ
ボケ1(ボ)∥運動音痴
ボケ2(キャ)∥朝は不機嫌
ツ「あー、寒いじゃん。北海道って、7月も結構な寒さじゃん」
ボ「だよね。でもボクを見て。とっても運動音痴でしょ?」
ツ「見ても分からないよ……」
キャ「そんなことより、風俗行かない?」
ツ「今は昼だしなあ。あと、たとえ夜だとしても、俺たち、そこまで落ちぶれてねえよな?」
キャ「さあ」
ツ「生きる楽しみないの?」
ボ「ハンバーグまだ?」
ツ「何が?」
ボ「ハンバーグ、まだ?」
ツ「俺、シェフじゃねえ」
キャ「ハンバーグ、だろ?」
ツ「じゃあ、ハンバーグなんじゃね……」
ボ「エーゲ海に行きたいよな」
ツ「えっ、まあ、行けるならな」
ボ「なんでだよ!」
ツ「は?」
キャ「エーゲ海にはな、海水しかないんだぞ」
ツ「極論すぎない?」
ボ「ハンバーグなんてねえよ!」
ツ「別にハンバーグに期待はしてないけど、岸辺の喫茶店とかにありそうじゃん!」
キャ「じゃあ、今から行く?」
ツ「そんな思いつきで行けるほどエーゲ海は甘くねえよ!」
ボ「まあまあまあ、まあまあ」
ツ「えっ、ああ。すまん、キツく言い過ぎたかな」
ボ「えっ。いや、シャウトしてただけ」
ツ「俺に向かって体を乗り出しながらか?」
キャ「ここがエーゲ海な」
ツ「ん、ああ。そういう妄想ね。嫌いじゃないぜ、その考え方」
キャ「黙れ海水!」
ツ「俺は海水だったかー」
ボ「ちょ、ちょっと待って。不意にホームシックになってきた」
ツ「妄想がガチすぎるんだろうね。北海道からなら明日、帰るって」
キャ「うおお、ここは! エーゲ海だって! 言ってるでしょうが!」
ツ「あ、うん。そうね」
ボ「そういえば、トイレの花子さんって知ってる?」
ツ「なんで今、このタイミングで学校の七不思議なんだよ!」
ボ「いいじゃん。それともベランダのアリゲーターに噛まれて亡くなったおばあさんの話する?」
ツ「悲しい実話なんて受け付けたくない!」
キャ「うっ」
ツ「どうした?」
キャ「これからの日本、先行きが不安じゃん。だからだよ」
ツ「いや、どうしたのか結局」
ボ「見えてきたぞ。あれがエーゲ海名物……サラマンダー・エスキットフェルだ」
ツ「おっ。なんか、そんな観光名所とか知ってたんだな」
ボ「いや、架空のドーナツだ」
ツ「サラマンダー・エスキットフェル、ドーナツなんかい!」
キャ「空を見上げてごらん」
ツ「いいねえ。エーゲ海の空だとして、……ふぅーっ、清々しさがとどまるところを知らねえ」
キャ「帰れ」
ツ「なんで?」
キャ「いいか小僧。世の中には、二種類の空が存在する。青い空と、薄汚れた人間たちが作り上げた腐った空だ」
ツ「は?」
キャ「いいか、よく聞け。生麦生米生卵」
ツ「ん?」
キャ「言えてた?」
ツ「ほう」
ボ「エーゲ海って、どこ?」
ツ「さあね!」
キャ「じゃあ、ボクたちで決めようよ。たとえば、……どぶ」
ツ「ドブだけはやめてあげて!」
ボ「どぶはどぶでも、乾かしても乾かしても水を流すとどぶになるどぶってど~ぶだ」
ツ「どぶだね……」
キャ「あっ、酔っ払ってきちゃった」
ツ「何が?」
キャ「エーゲ海のバーで酒を煽っていたら、ついついテキーラを飲み過ぎちゃって胃が痛くなってしまった、胃潰瘍のお姉さんよ」
ツ「分かるわけがない」
キャ「いいか小僧。テキーラをみくびるなよ。テキーラさえあれば酒はこれから三年は安泰なんだ」
ツ「もう、さっきから、そのキャラはエーゲ海に何の関係があるっていうんだ」
キャ「いいか、よく聞け。おれあなご、あなごるけつなご、けっけなご」
ツ「ま~た早口言葉か」
キャ「いや、呪いの言葉だ」
ツ「やめろ!」
ボ「おい、見ろ。エーゲ海セカンドだ」
ツ「ああ、おう。きっと、そうだね」
ボ「ずっとエーゲ海ばっかりで飽きるということを知らないのかよ!」
ツ「ダメなの?」
キャ「エーゲ海セカンド。それはエーゲ海がヒポポタマス的典型によってユンピョウに瓜二つの筋肉を得た伝説の海……」
ツ「ヒポポタマスってカバだよね?」
キャ「ユンピョウ……」
ツ「ごめんな、知らんわ」
キャ「ユンピョウ……」
ツ「悲しみ抱えすぎじゃね?」
ボ「なんだかんだ、エーゲ海に詳しくなれたな!」
ツ「どこがだよ。全て俺たちが作り上げた、ほぼ架空のエーゲ海だったろ」
キャ「でも、エッチだったでしょ?」
ツ「エッチだった場面あったっけ?」
ボ「トイレの花子さん!」
ツ「テキーラ飲んだ女じゃねえのかよ!」
キャ「くくく、所詮テキーラ飲んだ女は女の中でも最弱の女」
ツ「それ女の前で言ってみなよ。干されっぞ?」
ボ「でも、それがサザエさんだとしたら?」
ツ「サザエさんテキーラ似合わねえ!」
キャ「たったたったたた、エーゲ海!」
ボ「ドリアン!」
ツ「よし、もう帰ろう」