こい!
「あの魔法をかけられてから我の胸の高鳴りが止まらんのだ」
「それは重症ね〜。それが大希のかけた呪いと言いたいのね?」
私は本気で心配している稚那に笑いを堪え話を掘り下げていく。
「あれは呪いの類だ。あの行為に魔力を感知できなかった…うっ、また呪いがっ!」
先程のことを思い出すやいなや鼓動が早くなり顔が赤くなる。
本気で勘違い、いや、まだ稚那っちは“アレ“を知らないだけね。
「呪いと魔法ってどう違うの?」
「簡単に言えば悪いのが呪い、良いのが魔法っていうイメージだな。詳しく言うと呪いは魔法と違って基本魔力を使わない。だから呪いの種類は少ないのだがどれも強力だ」
「じゃあ稚那っちは呪いを使えるのかしら?」
「もちろん使えるぞ?何故なら我はドラゴンの血をひいているからな!」
そのドラゴンの血をひいていると言うのがどう関係しているのかは理解できないが、恐らくドラゴンという種族が向こうの世界では格式が高いのだろう。もしくは稚那が見栄を張っているだけか…
「しかしながらどの呪いも禁止されているがのぉ」
「それほど恐ろしいってことなのね?」
「うむ。魔力を消費せずに相手に永続の効果を与える恐ろしいものなのだ」
「まぁ呪いって言うくらいだからね」
これに関しては私にも恐ろしさは分かる。呪術、呪怨、呪縛といった悪い響きでしかない。かと言って私は呪いだとか怪奇現象などは信じていないが今回の稚那にかけられた呪いの正体は無論何か分かっている。
完全に稚那っち、、、“恋”ね…
「なんなんだ!?ドラゴンには呪いの耐性があると魔王から聞いておったのに全く効果がひかんぞ…」
「稚那っち?大希のところへ行って帰ってきてくれる?」
「なんでだ?」
「呪いを解除する方法が見つかるかもしれないわ」
「本当かっ!?なら善は急げだー!!」
稚那は私の言葉を鵜呑みにして台所へと駆け出した。するとひと騒ぎあってすぐに帰ってきた。何故だか難しい顔をしている。まるでアポなしロケでアポを取った時のような顔だ。
「どうだった?」
「…」
「…」
2人は息を呑み沈黙があった。本当に取材交渉を取った後のようだ。結果は…
「呪いの効果が強まる一方だぁ〜!」
「予想通りね」
「そして大希に呪いを解けと言ったのだが知らぬ存ぜぬと言いやがる!」
「だって本人は呪いをかけたつもりはないもの」
「ん?」
稚那は私の失言に違和感を感じる。
「その口ぶり、この呪いについて何か知っているのか!?」
「さ、さぁね…」
「さてはらーちゃん知っているのだな!?早く教えてくれ!死ぬかもしれないっ!」
しらを切ってみるものの死にたくないと呪いを恐れ必死な顔の稚那は私を押し倒し馬乗りで言及する。もう、逃げ場はない。私は大希みたいに炎に焦されるのはごめんだし…
「分かった分かったわ。話すから退いてくれるかしら」
稚那はヒョイッと退いた。
「やはり知っていたのだな?」
「知っていたと言うよりもただの勘違いなのよ」
「勘違い…だと?」
「そう、稚那っちがかかっているのは呪いなんかじゃないの」
「どうりで呪い耐性があるはずの我に呪いが効いたのだな」
「稚那っち呪いに耐性あったの?」
「うむ。基本的な呪いなど我には効かん!」
「なら最初から呪いじゃないって分からないの?」
稚那が呪いにかからない体質だと言うのなら最初から呪いではなく何らかの魔法だと考えるはずだ。
そういえば魔力を感じれなかったから魔法ではないのは分かっていたのよね。だからといって自分に効果がない呪いって決めつけたのは分からないわ。
「だって、、、」
「だって?」
「呪いなどかけられた事も見た事もないんだもの…」
「なるほど、そう言うことね…」
「恥ずかしながら…」
そう言って稚那は頭をかきながら照れる。
褒めたつもりはないのだけれど…
「でも、呪いでも魔法でもないのならなんなのだ?」
「それは“恋“よ!」
「恋??」




