ひるやすみ
「ご飯の時間なのかぁぁあ!?やったぁぁあ!!」
「恥ずかしいからやめろ!子供か!!」
計4時間の授業が終わり昼休みへと入る。
昼休みは何をする時間なのかと尋ねた稚那に昼食を取る時間なのだと答えるとこの騒ぎである。この騒ぎに周りは優しいものでただにこやかに微笑んでくれるだけだ。
「子供ではないっ!それよりも飯だっ飯っ!」
稚那がそう言いながら指差すのは俺の机の横に吊るした布袋。
「そっちはジャージ入れ。こっちが弁当な」
弁当と言いながら出したレジ袋だが、弁当と言ってもコンビニで買ってきたが故に弁当と言い難いものだ。
「と言っても冷えてるけどから口に合うかは分らねぇけど」
どうせどんなものでも食えるものを出せばなんでも美味だというのだろうと言う本音を隠しつつ袋から弁当を取り出す。
「この普通のやつと冷めたカツド〜ン」
取り出したのはよくありがちな梅干しが上に乗ったご飯、唐揚げとエビフライ、傍に私もいるよと言わんばかりのポテトサラダ、更に拙者のことも忘れないでと言わんばかりの漬物というメンバー構成のごく普通の弁当と特に説明もする気にもならないカツ丼だ。
「よくこんなごく普通の弁当をコンビニで見つけたわね」
些かな紹介で済まされるカツ丼を尻目に稚那はそんなごく普通の弁当に目を光らせている。
「こっちが食いたいのか?」
「おう!でもどうやって食べるのだ?」
どうやって食べ物にありつけるものかと容器の周りのラップを指でカリカリと模索し悶えている。
「貸してみろよ」
「おぉ〜、食べれるようになるのだな!?ジュルリ…」
そう言って俺は爪を立ててラップを引き裂き蓋を開ける。段階を踏んで食べられるようになっていく弁当と稚那のよだれが比例している。
「なんだか癒されるわね」
他人行儀に2人の何とも言えない和む光景にらみは気を張ってられなくなる。
「稚那、大丈夫なのです?」
「んむ?」
早く食べようと手で唐揚げを鷲掴みしようとしていた稚那に弁当を持って来て隣に椅子を置く東 天。
「大丈夫とは?」
「いや、だって頭強く打って…」
「そんなの我にとっては痛みにもならんわっ!」
稚那は高笑いして自分の頭をパンパン叩いて無事である事を見せる。それを見て安心する天。だがその一方でいつ稚那がボロを出すか物案じる俺は鬼のような目で凝視してる。
「大希、そんなにひどい目つきで睨まなくても大丈夫よ」
と言いつつも稚那が心配で幼児を見守るような目で見つめるらみ。
「お前のその目つきには寒気が走るけど…らみの言う通りあんま心配しすぎるのもよくないよな」
「そうよ。稚那っちを伸び伸びさせるのも大事よ」
いつまでも頭をパンパン叩く稚那に光を見つけた蛾のように東 然もよろよろと弁当と椅子を引きずって集り始める。
「ましてや天然シスターズと一緒なら勘付くこともそうそうないな」
「特に天ちゃんはちょろいから大丈夫ね」
2人はNeo体育前の出来事を思い出し2度頷く。本人もすっかり忘れて何も疑わずに稚那と接している。
「私たちも早くご飯を食べちゃわないと」
「そうだな。いざとなったらこの距離だし、俺も推しのためにログインしとかないと…」
稚那の席が俺の前になったことに感謝して各々やりたい事を始め出す。
そう言いながらも気になって稚那を横目でちらちらと見る2人の姿はまさに子連れの夫婦そのものだ。
俺は携帯を取り出して朝コンビニでアプリを開きはしたがロードの長さと朝の忙しさゆえにログインが出来なかったアプリをカツ丼の蓋と共に開く。
「早く推しのために毎日ログイ〜ン〜」
ルンルンと俺の推しキャラ確定ガチャのチケット目指して毎日ログインを果たそうとしていた。そのチケットを手に入れるにはこの月中毎日ログインしなければならない。推しを当てるには1日の怠慢も許されないのだ。
しかし、惨劇は突然に起きる。
「おい、嘘だろぉ?!」
アプリを起動するとロード中の画面から動かなくなる。コンビニでロード中の画面のまま閉じたからかパーセンテージもグルグル回るはずの青い光も微動だにしない。
まぁ問題はないさこういうのはこうやって1回リセットしよう。
俺は一旦タブを指で払い、ゲームを再起動させる。すると問題なくパーセンテージがスムーズに動き出した。
「あー焦ったぜ…」
俺は一安心し一息ついた後、冷めたカツ丼を食らった。そして寒気が走った。
「め、メンテナンス…」




