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すぱーかみかいひ!


先生の投げたチョークは稚那に痛々しい音と共に直撃した。


「稚那!!」


先生の投げたチョークは、コントロールよりも球速を先行して投げたゆえに俺の時よりか幾分か速く、そして俺の席の前に居るため幾分か距離も近かった。やはりチョークを避けるには俺ほどの超人的な反射神経が必要なのだろうか。

まともに喰らった痛さか稚那の動きは硬直している。そしてすぐさまみんな稚那のところへ駆け寄った。


「大丈夫か!?、、、えっ!!??」


駆けつけてみると応答に返信はなかったものの稚那を見た瞬間皆が唖然とする。


「お前、、それを狙った?!…のか!?」


稚那を見てみるとチョークは歯と歯の間に見事に挟まっていた。


ひははっ(見たかっ)ひんえんほお(人間ども)!!」


稚那はチョークを咥えながら回らない呂律で勝ち誇る。


「私のチョーク投げ・改ホワイトミサイル・エボリューションが口で受け止められた…だと…?!」


対する先生はあまりのショックに口から血を吐き膝から崩れ落ち倒れた。

どこに執念持ってんだよ…いい歳こいたの教師のくせに。


「ペッ!このちょーくとやらはまずいのぉ。我は避けずに食べてやろうと思ったが、これは流石に食えぬわ」


「す、すげぇ〜」


チョークを吐き出し文句まで言い出す稚那に周りの人、そして思わず俺も圧巻される。


「稚那っちうますぎワロタンヌ2世だわ」


うますぎワロタンヌ2世:主にうますぎ、ワロタと思われる場面にて使われる用語である。ワロタンヌ2世とは語呂が良いため使われる。

その反射神経を見せられたみんなは稚那がただ大口を叩く厨二病ではないことを確信した。他に誰もあんな事は真似できないししようと思えなかった。


「しかしながらここに来てから少し鈍っているのぉ」


「おいっ!」


「??」


「あ、なんでもない」


稚那の“ここに来てから“の発言に思わずツッコんでしまうが俺とらみからすれば異世界から“ここに来て“と解釈することができる。だが、他の聡や天などの事情を知らない人からすれば他の地域から“ここに来て”と引越しのことと勘違いしてもらえる事に気がつきツッコミを取り止める。


「それにしても、この瞬発力があれば大希なんて余裕かもね〜」


「そうね。ここまでくると大希も厳しいんじゃないの?」


「稚那ちゃん凄すぎるです」


「稚那、すご〜い」


今まで無敗だった俺が初めて負ける日が来るのではないかと最初のチョークを喰らって倒れていた然でさえ起き上がる。


「はい、みんなちゃんと席に着いてー」


そして気力を失っていた先生も起き上がり、騒ぎ立てる生徒たちを落ち着かせる。忘れていたが今は国語の時間だった。

先生のメンタルが脆すぎるんだよ。って以前に教師としてどうかと思うけどな…


「先生分かりました。上野くん、阿呆鹿さんはとても優秀です。ですがこれだけは言わせてください。チーズフォンデュを食べたい」


「「「…」」」


「ちーずふぉんでゅ?ってのはなんだ??」


“これだけは言わせてください”の後に大事な事を言うかというかと思いきや全く関係のない自己願望を伝えられ稚那を除き生徒は反応に困る。


「チーズフォンデュを食べたことがないのですか?阿呆鹿さん!」


「あ、、、食べた事があるような、ないような〜」


「チーズフォンデュはこう、食材が黄色いベールに包まれてクリーミーに仕上がる感じが…」


先生は聞いてもいないチーズフォンデュの魅力を語り始める。


「そして、チーズフォンデュ用のフォークで食材を刺してチーズを絡める際にフォークから外れてなかなか取れなくなって結局とってもチーズが付いてしまうのもまた乙なもので…」


「先生、そろそろ授業を」


「はい。失礼しました」


よく好きな事になれば熱く語り出してしまう先生をいつも止めるのは冷酷な視線と声のトーンが持ち味のらみである。

こうして残り少ない時間で授業を続けようと先生が投げて落ちていたチョークを拾いに行っている間、俺は稚那に周りに聞こえない程度の声である気になっていた事を聞いた。


「お前って文字読めないけどこの授業出来るのか??」


文字が読めなければ国語の基本である読書も出来なくて授業どころではない。文字の読めない稚那にとってこの授業及び学校生活は意味をなしているのかがずっと気になって仕方なかったのだ。

だが、返事は意外すぎるというよりはもはや稚那らしいとも言えるものだった。


「文字なら結構読めるようになってきたぞ??」


「え?読めないんだったよな??」


稚那らしいとは言え少し人間離れ(もともと人間ではないが)した稚那に驚いた。


「確かに読めなかったがある程度法則があるのは分かったのだ。やはりどの世界でもさほど言葉というのは変わらんな」


「学習能力というよりは慣れがとてつもなく早いんだな…でも、そんな慌てなくてもこれからゆっくりでも覚えていけばいいのに、、、どうして??」


稚那は少し悩んでこう答える。


「早く皆と同じ台に、いや、上の台に立ってここでの世を楽しみたいからの」


俺は少し照れて答えた稚那に感心した。


「そのファーストステップに大希、貴様を次の授業とやらでこてんぱんにしてやるわ!」


「おう!受けて立つぜ。正々堂々勝負だ!」


2人が約束をしている間に先生はもう教卓の前に立ち授業の続きを始めようとしていた。


「「あいたっ!!」」


完全に気を抜いていた2人は先生の投げたチョークに当たり、授業の続きが始まる。


「これが“チョーク投げ・EXホワイトミサイル・イーエックスだ!!」

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