れべち
「ねぇ、大希?」
「どうした??」
1時間目の授業が始まりいつもならピクリとも表情を変えないらみが少し不安げな表情で俺に話しかけてきた。
「稚那っち、授業大丈夫かしら」
「それは前から俺も思ってた」
何気に俺は稚那が読み書きができないことが判明した時から1番不安に思っていたことでもある。
「でも、喋ってるのは日本語なんだよなぁ…」
「なんでなの?」
「なんでって??」
「なんで異世界の人が日本語を喋っているのかしら」
俺は走らせていたペンを止め机でリズムを刻みながららみが疑問に思った事について呟きながら考察を始める。
「そう聞かれると何にも言えないんだよなぁ。。。俺が考えるにはアニメとかでよくみる転移時の神様か誰かの仕業で補正がされている説が有力だな」
ペンの音だけが聞こえる静かな教室に俺の声は念仏のように混じっていた。
「でも、その神様か誰かが補正しているって言ってもそんな管理人が居るとは思えないけど、それだったら文字も読めるようにしてくれてもいいのに…」
やがて俺の念仏に気づいた奴らがペンを止め始め俺の念仏だけが抽出されていった。そして俺の声だけが静かな教室に響き渡る。らみも聞いてはいるだろうがまるで他人かのような目で見ている。だがまだ俺はそのことに気付いていない。
「もう一つの説としてはシンプルに日本語じゃないと設定がめんどくさいという作者の怠けかもしれない…あ、この話はメタいからやめよう」
先生は俺がぶつぶつ何かを唱えて授業を聞いていないと断定し、チョークで俺の頭へと照準を合わせる。それに気付いたのはたまたま今回は起きていた俺の後ろの席に座る然だった。
「このままじゃ、、、」
俺が狙われているというのに後ろの然が身の危険を感知し俺の背中をポコポコと効果音がなりそうなほどに本気で殴り、気付いてもらおうとする。だが、然の殴りは本気ではあるが非常に弱すぎるのと、俺がゾーンに入っているせいで全く気づかない。
そして次の瞬間、先生が大きく振りかぶってチョークを発射する。
「おっと、、、先生何投げてくるんですか」
「あうっ!!!」
俺はヒョイっと避けた。決して弾道が悪かった訳ではない。このような結果を招いたのは他でもない。俺が躱したからである。
「くっそ、確実に仕留めたはずなのに…」
ついでに言っておくと流れ弾は然のおでこにしっかりと当たっている。あまりの痛さにつく上に頬をくっつけて眠りについてしまう。
「私の教師人生20年、ここで極め続けた“チョーク投げ“がいとも容易く避けられるとはっ…!?」
先生は自身の得意技“チョーク投げ”が難なく躱され授業そっちのけで悔やみ嘆き始める。
「な、なんだ今のかっこいいのは?!」
目の前で行われた出来事に心惹かれるのは稚那だった。
「さっきのはここ方角丘高校の伝統文化ともいえる学校教師による“チョーク投げ”よ」
「これが文化なのか!?」
「全然文化でもなんでもねぇよ。ただ謎に流行ってるだけだろ。てか勝手にただのチョーク投げをかっこよく言おうとするな」
「我もしてみたいのぉ〜。それにしても大希、よく避けられたのぉ。文化となれば皆避けることができるのかぁ…」
稚那がそう呟くとクラス全員がこう思った。
“それは大希だけだ…”
「稚那っち、大希は別格よ」
「そうなのかっ!?だとすれば他の人間のレベルが低くないか??」
この発言にやはりクラス全員黙ってはいれなかった。
“こっちもやばいぞ…”




