かいほう!
然は朝のホームルームには出席していたはずだ。然は朝早くから学校に来ていて現に俺も朝来て俺の後ろの席で眠っている然を見ている。
「そうかお前寝てたのか」
「あー」
「あり得るです」
然が寝ていたということに一同少しも否定する事なく納得する。
「で、この子だれ〜」
この学校に来てからすっかり大人しくなってしまった稚那が答える。
「わが…私の名は阿呆鹿 稚那です」
どうやら言葉遣いの規制が稚那にとって枷になってしまっているのだろう。それを気の毒に思ったのからみが俺にしか聞こえない声で耳打ちする。
「標準語、難しそうね」
俺だって困っていることくらい分かっている。
「でも…」
「気持ちも分かるけど自己紹介の時完全に稚那ちゃんの口調だったし、もういいんじゃない?」
俺らがボソボソ会話していると然が稚那に人差し指を向けて言った。
「何か隠してる。隠し事だめ」
「か、隠し事などしておら…いないです」
然は稚那の不自然さに気づいき指摘すると、動揺が隠しきれず慣れない言葉遣いが露骨につんのめる。
「然、友達になりたい。だから隠し事だめ」
「…」
稚那は俺の方を見つめる。そんな目で見られてしまうと承諾をだしざるを得ない。
「好きにしろよ」
「!?」
俺から許可が下りたことに驚いたのだろう。そして喜んでいるようにも見えた。
然も抜けてるところはあるけど、こういう大事な事に気づかせてくれることが多い。稚那が異世界から来たことを悟られないように頑張っていたが、それと同時に結果として稚那を束縛していた事になってしまっていた。
俺らが悟られないようにフォローを頑張ってやるか…
「我が名は阿呆鹿 稚那だ。よろしくな」
「我は東 然。よろしく」
「「いぇ〜い」」
何故だか稚那と然は息ぴったりでハイタッチをした。おそらく直感的に気が合ったのだろう。
「わ、私は東 天。よろしくです!」
「うむ〜、なんだか気が強いふりして実は弱そうなのがみて分かるのぉ」
「うっ、、、いきなり初対面に対して厳しいのです…」
言葉の規制をなくしたからか、稚那はいつものように人間を下に見て、というよりは面白くからかっている。
稚那はこの自然体の方がみんなも絡みやすいのかもな。
「天、残念だったな〜俺だったら稚那ちゃんからいい評価もらえちゃうよ」
「間抜 聡が私に勝てるわけないです」
「まぁ見てなって〜」
そう言って聡が稚那の前に立ち前にならって自己紹介を始める。
「俺は聡。これからよろしくね〜」
審査員の稚那は自信ありげの聡を目を細めて審査する。そして気になる審査結果は…
「なんか気に入らん。見ていて腹が立ってくるぞ…」
「ひどい…」
「聡、残念です」
稚那による診査結果はその自信を一瞬で打ち砕くものだった。そして稚那は言ってやったと言わんばかりに満足そうな顔をしている。
ま、まぁ聡はいいやつではあるけど抜けてるところがあるからたまにイラッと来るんだよな。それを一瞬で見抜くとは…恐ろしい子!
「稚那っち楽しそうね」
「ああ、俺らが思っていたよりも心配いらなかったみたいだな。それに稚那は学校が似合ってるかもな」
稚那はふと俺の方を見てこう言ってくれた。
「ここは意外にも楽しいな」




