わんちーむ
「我の名はベンザブロック!」
なんでそうなったぁぁぁぁあ!
俺はすぐ様席を離れ、稚那に猛スピードのタックルを決めてそのまま稚那を抱え込みながら教室の外へとトライ。
教室が一段とざわめく。
「か弱い突進をいきなりしてくるでないぞ!ま、少しも痛くないがな!!」
タックルをした本人にはかなりのダメージがあったのだが、稚那からすれば抱きついて来た子供のようにしか思われていなかった。
「どーゆー自己紹介だ!?」
「だって“私は喉から“って、らーちゃんが…」
「だからって私はベンザブロックって言うやつがあるかー!!てか、なんで聞いてんだよ、耳良すぎだろ…」
意外にも稚那は反省した表情を見せる。
「すまなかった。もう一度自己紹介をしてくる」
そう言って稚那は教室へ戻りみんなの前に胸を張って立った。
「あの、上野君?上野君もそこにいないで教室に入ってもらえる??」
「いいえ、ここで聞きます」
「は、はぁ…」
俺は頑なに教室へ戻ることを拒んだ。もうなにが起こるか見当が付いているからである。その真剣な俺の姿勢に先生も許可を出した。
「じゃあ気を取り直して、自己紹介をお願いね?」
「はい、私はバファリンでs…」
俺は待ち構えていたかのように、まるでトンビが弁当を盗み取る時のように稚那をもう一度廊下へトライした。すでにコンバージョンはないが現在大希の得点は10点。
「お前、そんな言葉どこで覚えた?!」
俺は明らかにこの世界にしか存在しないものを知っている稚那に疑念を抱く。
「だってこれはらーちゃんが…」
「あいつ…」
この世界の言葉のボキャブラリーが深まるのはいいが覚える言葉がどれもこれも初めて覚えるにしてはマニアック過ぎる。例えるなら、初めて乗る車がトゥクトゥク。お気に入りの武器がトンファーくらいのマニアックさだ。
「いいか?昨日練習したことをここでやるだけだ」
「なら順番的には次はアリさんマークの…」
俺は順番的にはという発言から察し途中で軽く稚那の頭にチョップを一撃。しかしながらその単語が飛び出てくるとは思っていなかった。
「なんでさっきまで薬だったのに、いきなり引越し業者になるんだ!そもそもらみとどんな話してたんだよっ!」
昨日のあの短時間で色々とらみに教えてこまれているのを痛感した。
「ちゃんと昨日練習した自己紹介を覚えてるのか??」
「お、おうっ」
あまり頼りない返事だったが、教室がざわついて来ているのが聞こえる。このままここにあまり長居もできない。
「もうすぐチャイムもなっちゃうから早くしてくれる??」
先生も時間を気にして廊下を横目で覗いて声をかけて来た。おそらく先生も稚那のアブノーマルさに気付いてしまったのだろう。
「すいません、今すぐさせます。。。ほら昨日の練習通りにして来い。次は止めないからな?」
「分かっておる。我を誰だと思っておる」
「だから我じゃなくて私って言っただろ?」
「あ、私、、、うむ」
稚那と俺は教室へ入り、俺は元の席へ、稚那はみんなの前へと戻った。
「で、ではもう一回自己紹介お願いできる?」
「任せy…てください」
先生も今度こそはと願いつつ稚那に後を託す。
「今度こそ大丈夫なの??もう時間的にもトライしている暇はないけれど…」
「もう稚那に任せるしかない。もうなるようになるさ」
先生と一緒に俺らも一応願って見守ってはいるが、半ば諦めかけている。昨日の最後のようにいけばなんとかなるはずなんだが。今日はなんだかダメな気がする。
そして稚那のラストチャンスが始まった、
「我は上野 大希のいとこで野暮用でこの地に引っ越して来た。名は阿呆鹿 稚那だ」
「あのアホ馬鹿王女っ!」
俺はトライを出来ないと思い稚那の額めがけて消しゴムを思いっきりスローフォワード。消しゴムの軌道は反時計回りに回転しながら一直線に加速した。そして稚那はその弾丸を指だけで受け止めた。
「これから宜しく頼むぞ!」
こうして学校生活が始まるのであった。




