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まごでびゅー!?


「ティナお嬢様。このお召し物はいかがでしょうか??」


1人の魔族部下がドレスを持って見せた。


「んー、なんだこの無駄な装飾は。無駄遣いは嫌いだ!」


見た事は無かったが高貴な魔族が着る衣装はこんなものだとは思わなかった。なんで無駄の多い衣装だ。


「すいません別の物をすぐにお持ちいたします!」


慌ててその部下は別の衣装を探しに走って帰った。

王女として迎えられた我は王の城へと招かれた。1日目は疲れ切ったせいか、慣れない魔法を扱ったせいかほとんど覚えておらず寝てしまっていた。

それにしてもなんだこの暮らしは…前までのボロ家と違って何もかもが贅沢すぎる。


「ティナお嬢様?ここの生活はどうでございますか?」


唐突に聞いてきたのは我を王女に仕立て上げた張本人だ。勿論答えは


「気に入らん!」


この声は広い城内に響いた。これを聞いた王に仕えるたちは唖然とする。


「おい、あの魔王様にあんな口を…」


「王女と言っても貧民街出身だからなぁ」


「馬鹿!言葉を謹みなさい!!」


部下の王女への無礼な言葉を魔王は聞いていた。


「そこの者、そこに直れ、、、」


「ひぃっ!?」


王はその無礼に対してそれ相応の罰を与えようと部下の元へと歩いていく。王が部下に近づくに比例して怖気付いた部下の頭が低くなっていく。


「それが気に入らんのじゃ」


その行動は我の気に障った。


「ティナお嬢様、、、?」


「お主は何をしようとしている」


「我はティナお嬢様を侮辱したこの者に粛清を…」


魔王は跪き我に対して低くから申し上げた。


「断じて気に入らん!!」


強く心から発したその言葉は聞いた者全てを膝から崩れさせ全てのものを黙らせた。


「何か出したのか?」


どうやらこれも我から不意に出た魔法みたいだ。我は感情的になるとこうして魔法が出てしまうようだ。


「少しやり過ぎた。すまぬ」


我は皆が跪く姿をみて冷静さを取り戻して見せる。

やがて、魔法の効果が切れたのか体制を立て直した部下たちが魔王の元へと駆け寄る。


「大丈夫ですか魔王様!?」


「ああ、問題ない」


魔王は部下の力を借りつつ立ち上がった。そして部下がこう切り出した。


「流石に王女とは言え…」


流石に魔王が認めた王女だと言え魔王に歯向かうとあっては、しかも貧民街出身の者にと言うのが本心だろう。


「分かっておる。皆まで言うな」


魔王もそれを察し途中で切り上げさせ我の元へと鬼の形相で歩み寄ってきた。


「デイラール・ティナ・ドラゴニオン、、、」


流石に鬼の血を引いている魔王だけあって流石に固唾を呑んでしまった。だが、、、


「素晴らしいではないかぁ〜」


まさかの魔王は我にメロメロであった。


「「「ぇぇぇええ!!!!」」」


その姿には流石に部下たちも目をまんまるにして驚いた。


「我もこう言う孫が欲しかったのじゃ〜」


「やめろ〜気持ち悪いぞぉ!」


魔王は哀れもない顔で我の顔に頬擦りをした。きれいに整った白い髭がビシビシと刺さるのが痛い。そして何よりおっさんくさい…

流石に魔王も部下に見つめられて正気を取り戻す。


「ん゛ん゛〜。見苦しいものを見せた」


「いえいえ、滅相もない!」


部下が気を遣って言葉を並べる。


「魔王、聞きたいことがある」


「は〜い!なんでしょうお嬢様!」


冷静さを取り戻したものの直ぐに孫ができたおじいちゃんへと戻る。


「はぁ…我は人間を滅ぼしたいのだが、皆はその気なのか?」


魔王は顔を急変させ固唾をゴクリと飲む。


「無論、我らは今人間を倒さんと集まったのだ。しかしながら人間も手強い故初陣はまだ決まっておらぬのだ」


ずっと停戦というよりは終戦していたこの時代だけあって少し戦争に対しての抵抗が見られた。


「ならば我にその指揮預からせてくれぬか?」


「なんと?!お嬢様が指揮をとってくださるのですか!?」


「ただ我が牛耳るだけではない。我自身も闘う」


これには驚きもした魔王だが真剣な我の眼差しを見てゆっくりと頷いた。


「…分かった」


「お!?良いのか??」


「ああ、しかし魔法の稽古をつけてからだ。ドラゴニオンと言えまだ魔法の制御は未熟だ。すでに教えるよう頼んである」


確かに我に強大な魔力が潜んでいる事は理解したがうまくコントロールができておらぬは事実だ。さらに言えば魔法自体まだしっかりと把握していない。


「それでは稽古をつけてもらうとしよう」


と、話をしている最中に服を探していた部下がやってきた。


「ティナお嬢様!このお召し物はいかがでしょうか!!」


見た感じ新人の部下なのだろう。当然魔王は腹を立てる。


「貴様は空気というものを読めぬのか」


「ひぃっ!!」


その部下の手には黒色のドレスがあった。さっきの騒ぎの間ずっと探していたのであろう。


「貴様、それを貸せ」


我は思わず着たくもない服を手に取ってしまった。そしてひらひらとした袖、ふさふさと揺れるスカートを引きちぎった。


「何をされてるのですお嬢様!?」


「皆よ、我を見るな。着替えるのだ」


部下や魔王はゆっくりと我に背を向けた。

そうしてビリビリに破いた服を着た。我は簡易な作りの服で良い。動きやすく邪魔がないそれが1番だ。


「もう良いぞ」


服を持ってきた部下は口を開けたまま我を見上げていた。そして我はこう言った。


「良い服を持ってきたな。褒めて使わそう」

読んでくださりありがとうございます!

感想をいただけると嬉しいです(╹◡╹)


では次回はまた2日後!

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