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おうじょばくたん!


はてさてどうしたものか。廊を抜け出したはいいがこの先の事は全く考えておらんかった。さっきまでは人間を滅ぼすだのと言っていたが、ノリというものは恐ろしいものだ。


我はドラゴンの血を引いている…


ふとこのことを思い出した。しかしながらドラゴンの血を引いているからと言ってもまず信じてもらえないだろう。ツノと尻尾も実際ドラゴニオン意外にもついているものだし…そうだ、魔法だ!魔法なら実力を見せつける事ができるかも知れない!!

しかしながら魔法の出し方がいまいち分かっていない。前不意に出たがその時の感覚と詠唱をど忘れしてしまった。


「ルカンウエーブだったか?ミカンだったかな??」


ダメだ。これは思い出せる気がしない。なら翼は出せるか?

背中に意識を集め気張ってみる。


「ん〜〜!ダメだ…」


何を試しても魔法もでなければ翼も生えてこず、大きな成果は得る事ができなかった。しかしながら、さっきから魔法を出そうとすると淡く青白く光る小さい雪みたいなものが我の周りをふわついているといった事がわかった。


「どうしたものか、、、魔法も使えなくなるとは力の示しようもない…」


謎の男に後押しされ牢からは解放され、魔族たちを統べるため少し試してみたものの成功する未来が全く見えてこない。その未来に失望しつつもだんだんと正気になっていく。


「はぁ。。。ん…?!」


これからの不安と今までの疲労でため息をついたその時我に異変が起きた。


「炎…??」


我が息を吐くと勢いよく炎が口から飛び出ているのがわかった。


「はぁー!はー…うぉぉお!熱っ!」


予想通り強く息を意識して吐くとより長く大きく炎が、弱く吐いてみると火力が弱まった。勿論叫べば恐ろしいほどの炎が。しかしながら自分にもその熱は伝わるみたいだが。

そしてさっきまでの青白く光る小さな物体も無くなっていることに気付いた。


「もしかして、、、翼よ!生えろ!!、、うお!!!!熱っ!!!」


見事予想は的中。翼を出すことに成功した。成功したと同時に出した雄叫びで炎を吐いてしまい自滅する。

今になって魔法が使えるようになった。となると、魔法が使えなかったのは青白く光る何かが原因だったのかもしれない。


「魔法さえ使えれば我にも勝算が!!うぉぉぉぉお!!あっつい!!!!!どうなっとるんだこの炎は!?息をするたびに出てくるぞ!!!」


我はあまりの暑さに慌てふためいた。炎が出るようになったからと言って呼吸をする度に炎が出ると火傷しそうで仕方がない。


「誰だそこで騒いでいるのは!」


ちょうど見回りをしに警備の牛の魔族が来た。


「あちぃぃぃい!!あちぃぃいよぉぉお!!」


しかしながら騒げば騒ぐほど炎がでる。炎が出れば熱くなり騒いでしまうと言う最悪の悪循環から抜けられずその魔族の声など我には聞こえていなかったのだ。


「おいガキっ!なにしてやがる!?」


「そこのおじさん!助けてぇぇぇえ!!熱いよぉぉぉぉお!!!!」


「本当になにしてやがんだ!?」


我は炎を吐き散らかしながら見回りに来た牛の魔族に助けを求める。


「近づくなぁぁあ!熱っっっっ!!!誰か助けてくれぇぇぇえ!!」


助けを求められ追いかけられる牛の魔族が助けを求めて階段を駆け上がる。


「どうしたんだお前?」


階段を駆け上がるとそこにさっきまで一緒に居たであろう牛の魔族がいた。


「助けてぐれぇぇぇえ!!!」


「まってぐだざぁぁぁあい!!」


その魔族の目の前には目からは涙を鼻からは鼻水を垂れ流した仲間がその背後から追いかける火を吹く少女から逃げているのがわかった。その途端逃げろと脊髄が叫び出す。


「来るなぁぁあ!!!!」


ここからはダイジェストのように事は進んだ。この後、事は大きくなった。いつの間にか我が吐く炎の前には大勢の魔族がいた。最終的にその騒ぎは真族の王に知れ渡り、王直々にその騒ぎは止められた。魔族の王とはいわゆる魔王である。魔王は身分の高い魔族の中から1番魔力が強く相応しい格を持つものがなる事ができる。


「お前、名前はなんと言うんだ」


「我は、デイラール・ティナ、、、ドラゴニオンだ…」


そんな王に対しても我は低く見られぬよう強気で答えた。

我はこの王の存在は知ってはいなかった。後に知った事だが、魔王の名はガイダール・センターレ・ハル。種族としては吸血鬼族と鬼人族のハーフらしい。


「何?!ドラゴニオンだと!?」


この魔王の反応を見て取るにやはりドラゴンの言い伝えは本当だったようだ。

王はその時確信した。我に生えたツノと尻尾。そして赤く燃え盛る目の色を見て頷きざるを得なかった。


「試しに竜の吐息(ドラゴニックブレス)と唱えてみよ」


「わ、分かった…竜の吐息(ドラゴニックブレス)!」


すると目の前が一面真っ白になる。ただ見えたのは身を構えた王の姿だけであった。やがて光は消える。


「まさしくこの魔力…ふむ、お主は間違いなくドラゴンの血を引くもの。ドラゴニオンだ!」


王がこう断言した瞬間、さっきの竜の吐息(ドラゴニックブレス)に巻き込まれた魔族や周りにいた魔族たちが騒めきだす。


「まさかあの子娘がドラゴニオン!?」


「聞いた話だと貧民街出身の奴隷と聞いたぞ?」


「そんな事関係あるか。あの魔力(チカラ)を見ただろ」


「確かあの魔法はドラゴニオンにしか扱えないと言われる魔法だぞ」


騒めきだした魔族たちを一声で王が黙らせた。そしてその一声はまた騒ぎを増させるものとなった。


「皆のものよく聞け!!この小娘もといこのドラゴンの血を受け継ぎしデイラール・ティナ・ドラゴニオンを王女として迎える!!」

重要なお知らせです!

次回からはこの時間、11時半に投稿いたします!


次回もお楽しみに(╹◡╹)

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