おひろめ!
それにしてもなんか地味だったよなぁ。変身するんだったらもっとプリキュアの変身なり、仮面ライダーの変身なり派手にして欲しかったもんだ。まぁ変身って言ってもツノと尻尾を隠すだけだから仕方ないか。
「なぁ稚那。今の変身の八足流ってなんなんだ?ドラゴニオンなんちゃらじゃないのか??」
「八足流の事かぁ。ちょっと待てドラゴニオンなんちゃらではないドラゴニオン血術だ!」
「ごめんごめん」
やたらとそこはうるさいんだなぁ…
「魔法は種族にとって向き不向きがあるのだ。例えば魚人族だったら水属性に適性があり、さっき使った変幻の魔法は八足族が得意としているのだ。」
「って事は稚那も適性があって、変幻の魔法自体はプロフェッショナルの八足族に教わった。って感じか?」
「あぁ。そんなところだな。しかし他の種族の魔法を習得するのはなかなかに厳しい修行がいるのだぞ?あの時のタ・コダトオモイキヤイ・カの修行は辛かった…」
「八足ってそういう意味なのか。ならタコだろ。」
なんでこいつらの世界の人の名前は安直なんだ。そういや人じゃなかったか…
「しかし!?我はドラゴニオンの血筋。他の下等種族とは違って数多の魔法に適性があるのだがな!なはははー!」
あーやかまし。こんな奴が王女って魔人軍も苦労していたんだろう。
最初の目的だったツノと尻尾を隠す事をこなし、他の魔法のことや稚那のことをもっと知ろうとか思ってたけど、、、やっぱりみた通りの性格だよな。
「なあ稚那。他になんか魔法は出せないのか??あ、地形が変わらない程度の…」
開けたところにいると言っても前の、、なんだっけか。そう、半径1キロも消し飛ぶ破滅の波なんかされたらもう、だもんな。不発だったけど。
「ほおー?魔法に興味があるのだな?!ならば前は不発だったが破滅の波なんかどうだ!?」
「馬鹿か!!地形が変わらない程度って言ったろ!」
「んー?良いではないかー。つれない人間だのぉ。地形が変わるといっても1メートルほど海抜が下がるだけでだ。」
「それがダメって言ってんだろアホ馬鹿王女がっ!」
「つまらないのぉ。ブーブー」
元から注意してもこれだからな。目を離したらどうなる事やら…はぁ。先が思いやられる。
「そうだった!我はまだ貴様に本当の姿を見せておらなかったな!?」
本当の姿?あー、鱗とかさっきまでのツノとか尻尾は隠してるんだったよな。あの八足流とか言うやつで。
「まだ見てないな。でも出来るのか??」
そういや稚那この世界に来てから魔法が上手く出せないんだったよな。
「恐らくは問題ないだろう。さっきも見せた通り八足流で変幻しておるから、大丈夫なはずだ。」
「お、おぉ」
なら、大丈夫、、、なのか??
「ではでは、やってやろうではないか!」
「ちょちょちょ、一回待て!」
「なんなのださっきから止めてばっかりで。なかなかレストランで何を食べるか決まらない父親か?」
「そのちょくちょくこの世界でのありがちなことをいつ覚えてんだ。。んじゃなくて、その魔法は地形を壊さないのか??」
「壊れぬ壊れぬわ。さっきも見せただろう、八足流は安全かつ美味しいと保証されておる」
「確かに美味しいな。なら安心だ」
とは言ったものの心配すぎる…
「ではやるとするか!とはいえ、久しぶりだのぉ本来の姿に戻るのは…」
そもそも本来の姿ってどんなだろう。
「八足流変幻術、、、」
やっぱドラゴニオンって言うくらいだから竜になるのか?、、、おいっ…
「解除!!ぐおぉぉぉぉおオオオオ!!!」
稚那を中心とした眩い赤黒い光とともにあたり一帯に砂埃が舞い上がりその中に赤く鋭く光る何かと大きな影が浮かび上がってきた。
「おいおい、やっぱりか…」
俺は見上げて事態の恐ろしさを知る。あの光る赤色は恐らく目だ。時折グルルと唸り、チャポンッチャポンッと液体が垂れ落ちる音も聞こえる。ここだけ気温が暑く感じる。そして砂埃もおさまってきて影も濃くなってきた。
「おお人間よ、恐れ慄くがよい。これが我の真の姿だぁ!」
現れたのは大蛇に勝る大きな尻尾、稚那の髪の色を纏った鱗、鋭い爪と牙、稚那の着ていた服の色と同じ黒の翼。そして真っ赤な瞳。俺はまさしく竜である稚那の姿に思わず声が出なかった。
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