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お調子者には天罰をっ!  作者: 蒼空 玲
第1話 笑い者のマリオネット
4/11

めでたしめでたしでは終わらない


…。


「ちょっと」


まだだ。


「ちょっと、聞こえていますよね?」


もう少し…。


「…」


よし、いまっ…!


「いい加減にしてください‼️」


「あっ、ちょっ!ヘッドフォン‼️…て、ああ⁈」


しまった!ヘッドフォンを取られてしまったから、思わずよそ見しちまったじゃねぇか!


「あ〜ぁ、やられちまった」


PCディスプレイの前に大きく乗った「YOU ARE DEAD」の文字をみて、俺は嘆息しちまった。まぁ、1試合くらい別にいいんだけどさ。


「…一体何をしているのですか」


「何って、ネトゲ」


ちなみに最近流行りのサバイバル系FPSです。


「そんなことを聞いているのではありません」


目の前の女性、サラはそう言って睨んできた。


「わかってるって、冗談さ。そんなに睨むなよ」


そんな顔しているとシワが増えるぞ。とは思っても口にはしないさ。他人を無闇に怒らせる趣味はない。


「…今、何か失礼なことを考えましたよね?」


「…イヤマサカ。それよりも何でここにいるのさ?何か俺に用事か?」


何でわかんの?ここはもう無理やり話題を変えて、逃げるしかない。


サラはしばらく睨んできていたがやがて諦めたようにため息をつき、かけているメガネをクイっとあげた。おまけにかっちりとしたバンツルックのスーツと、丁寧にまとめたロングヘアのおかげで、その姿はまさに秘書風美女と言った感じだ。


仕事内容もメタトロンの秘書らしいからピッタリだ。そして、彼女の業務にはこのマンションに住むメタトロンの関係者の管理も含まれている。その中にはもちろん俺も含まれているのだが、ここに住んだ最初の頃に挨拶したきりだ。

まぁ、管理と言っても四六時中監視されている訳ではなく、何か困ったことがあったら言ってくださいね、くらいのものだから普段から会う必要もない。今まで困ったこともなかったから、それきりだった。


「まぁ、いいです。それよりも何ですか、その格好は?」


そう言って、今度は俺のことを上から下までしっかりと眺めてくる。


「何って何がさ?」


「あなたね…。自分の姿を鏡で見てください。その伸び放題の髭と髪!生活感むきだしのジャージ姿!おまけにこの汚い室内!」


痛い痛い!そんなに怒鳴るなよ、耳がキリキリする!!

サラの指差す室内には大量の漫画やゲームソフト、ペットボトルにお菓子が大量に散乱してちょっと…いやかなりか、酷い有様だ。思春期の男子もびっくりかもしれないな。女性には耐え難いのかもしれない。


「あなたがメタトロン様の温情で何をしようが勝手ですが、自分の身の回りくらいは自分で管理してください!!」


言い切った後疲れたサラは、肩でゼェゼェと息をしている。俺はというと、勢いに押されて、思わず耳を塞いで体が仰け反ってしまっている。


「わ、悪かったよ。部屋は今から片付ける。それでいいだろ?」


とりあえず、こいつを落ち着けないと。なだめながらも、早速部屋を片付け始める。あぁ、ゴミも結構散らかっちまってるな。


メタトロンに再々転生されてから3ヶ月、俺はそれはもう欲望のままに生きていた。ネトゲだけでももう何本購入したのか、自分でも覚えきれないくらいになってしまった。だって金、あるんだもの。


そうやって欲しいものは欲しいだけ買いまくって、好きなようにしていたら相当自堕落な生活になってしまった。自覚はあったんだよ。まぁ行動しない自分が結局は悪いんだけどさ。


しかし、そんなに怒鳴ることもないだろうに。お前は母ちゃんかっての。


「…アァ?」


だから何でわかんの?!女怖い‼︎






………


結局あの後、サラをなだめるために必死で片付ける羽目になった。もう決めた。女性に対しては絶対、失礼なことを考えるのもやめよう。


「で、結局何しに来たの?まさか様子を見に来ただけじゃないだろ?」


今はリビングでサラに紅茶を出してやっている。こういうのも結構いいやつを買っているから、なかなかいい香りがする。別にゲームばっかり買っていたわけじゃないんだぜ?

おかげでサラの機嫌も良くなって来た。


「ええ、もちろんです。私もまさか豚小屋を尋ねるとは思ってもいなかったので、本題に入る前に時間を取られてしまいました」


はは、冗談きついぜ。これ以上皮肉を言われる前に、さっさと本題聞いておかえり願おう。


「で、その本題ってのは?」


「さぁ?」


さぁ?じゃねぇよ?何で本人が知らないわけ?


「いえ、用件があるのは私ではないのです。」


「どういうことだ?」


「この後メタトロン様がこちらにいらっしゃいます。私はそれを伝えに来たのです。ですので詳しいことは私も知らないのですよ」


サラの顔は怒ってるわけでもなく、至って真剣だ。てことは、ついに来たか。


あいつが俺に何かさせようとしていることは、薄々感じていた。じゃなければ、こんなに俺に恵んでくれる意味がない。例え、この3度目の転生そのものは好意だとしてもだ。


「いつ来るんだ?」


「お忙しい方ですので、まだ時間的に余裕はありますがとりあえず…」


俺も真剣に聞き返す。ふざける雰囲気じゃないからな。


「その汚い髭とボサボサの髪を何とかしてください。あ服装も」


…そういえば部屋の片付けに夢中で忘れてたわ。


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