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「あっ、また失敗したぁ。あ!一緒に遊ぼうよー。てか、教えて!!」
「ちょっと待て!俺が先だ!また勝負しようぜっ!!」
「えー、僕もやりたいのに。」
「ごめん、今日は予定があるんだ。」
「「「えー!!次は絶対だよー!」」」
「おぅ!」
一時期はやったお姫様ごっこは、すぐ飽きられた。男の子にすこぶる人気のなかった遊びではあったが、最終的に天使姫が王子様と結ばれましたとなったため、もう、面白味がなくなったというのもあるだろう。ちなみに、よねばぁ遊びは徐々に広がりつつある。最近では、よねばぁが、魔女設定になっているらしい。
そして、最近流行り始めたのは、お手玉、折り紙、紙飛行機だ。
「ただいま。」
「奥にいらっしゃるわよ。父さんが相手してるけど、私もいる?」
「母さんのがいる。」
「それ、あの人の前で言わないでよ。また拗ねるから。」
「こんちには。お待たせしました。」
「なに、大丈夫だよ。ただ早速、本題にうつっていいかね?」
「もちろんです。」
今日は、お手玉、折り紙、紙飛行機を商品化したい言ってきた商人との打ち合わせだ。
「ひとつ、質問させてくれ。この3つは子供が考えた遊びで、お手玉は古着と古豆。折り紙と紙飛行機は古紙を使って遊んでる。わざわざ、商品にして売る必要があるのか?それに、なぜ家にわざわざ来たんだ?何も言わずに商品にもできたろ?」
「「父さんが至極真っ当なことを言っている!」」
「うるせぇ、お前ら静かにしてろ。」
「ははは、素敵な家族ですな。まず、ひとつめだが、確かにいらない素材で遊べるなら、元手がかからなくていい。でも、それが綺麗な布でできてたら?綺麗な紙で作れたら?子供は特別が好きだ。それに、庶民だけでなく上流階級といわれてる人も興味をもつかもしれない。」
「確かに、綺麗なものはみんな好きだな。」
「そうだろう?それに、挨拶に来たのは、きっと、この商品はみんな真似しやすく、私どものように商品化に目をつける人も出てくる。そのなかで、考えた君に許可をもらったという一言で、どれだけの信頼が得られるか。この商売は信頼が一番だ。お礼ももちろん準備しているよ。」
「お礼と言われても困る。ただ、雨の日が続いて家の中でできる遊びって考えただけなのに。」
続く雨にやることがなく、イライラしはじめた友達や妹にと前世の記憶を頼った。そして、今回は一応母さんにも相談した。すると、頭を撫でられ協力してくれた。みんなも楽しそうに遊んでくれた。それだけで満足だったのだ。前回とは全く違う達成感があったのだ。
「だとしても、代価は求めるべきよ?あなたの発想は素晴らしいんだから。それを認められたんだから。」
「あら?あなた素敵な考えをお持ちなのね?」
「あー、すみませんね。うちの娘なんですが、妻が亡くなってから商売に口出すようになってしまって。」
「素敵な娘さんですわ。ちょっとお話したいわね。あ、父さんはお礼とか責任問題とかしっかり聞いておいて。」
「俺もちゃんとはなしききたい!」
「もちろんよ。あなたの話だもの。ちなみに、この人たちは悪い人ではないわよ。ちゃんと前もって調べといたから。安心してふんだくりなさい。」
俺と同じくらいの女の子とてを繋ぎ、通りすぎるときに、くれたアドバイス。
「「「「聞こえてるって。」」」」
そこにいた母さん意外の声が揃ったのも、無理はない。
そのあと、無事契約。なぜか、商人の娘と母さんは意気投合。後日女子会に招き入れるということになったらしい。
「んー、あのこは母さんににているな。」
「絶対近寄らないことにするよ。」
その誓いはすぐに破られたけどね。