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マリーとおじいちゃん

「おじいちゃーん、ただいまー。連れてきたよー」


「お帰り、マリー。思ったより早く帰ってきたのぉ。まだ朝ご飯食べ終えておらんよ」


「もう行くって言ってから3時間近くたってるんだけど……何よりもうすぐお昼だよ?! 」


「ほぇ? 」


「ちょっとしっかりして、おじいちゃん!」


「ほぇ? 」


「ほぇほぇとばかり吠えないで!」


「ほぇ」


「……ねえ。思ったこと言っていい?」


「ほぇ?」


「最近おじいちゃん変だよ」


「ほぇ? 」


「前お使い頼んだ時も大根とカブ間違えるし」


「ほぇ?」


カブの根が30cmもあったら普通間違えるとじゃろ。


「おにぎりは砂糖漬けだったし」


「ほぇ?」


砂糖と塩の容器の場所を変えたのマリーじゃろ?

砂糖舐めるの大好きマリーよ。


「魔法レンジに殻付きの栗入れて、爆発炎上させるし」


「ほぇ?」


爆発炎上はロマンじゃよ。


「髪の毛は白くなるし」


「ほぇ?」


それは生理現象じゃよ。


「しかも薄くなるし」


「ほぇ?」


それも生理現象じゃよ。


「昨日もおねしょするし」


「ほぇ?」


……生理現象。


「やっぱり、ボケが始まっているのよ」


「ほぇ?」


なぜさっきまでの理由からそう結論づけるんじゃ?!


「だってほぇほぇばっかだし」


「ほぇ?」


何のことじゃ?こんなに沢山喋っておるのに。


(発言と脳内の境界崩壊中)


「やっぱりさ」


「?」


「私、おじいちゃんは街の老人ホームに行くべきだと思」


「待てマリー! 早まるんじゃない! ちょっと待っておくれ!頼むからまだ入居手続きは書かないで! な、頼む、この通り!」


「じゃあさ、おじいちゃん指出して」


「こ、こうか?」


「そうそう。で、この赤いのに指をつけてそのままこの紙にぺたって指を押し付けて」


「赤いのをつけて、この紙にペタっ……待て待て待て待つんじゃマリー。この紙なんじゃ?」


「老人ホーム入居書類。あと判子で完成」


「ほぇ?!」


「ああ残念。あと少しだったのに」


「いつの間に用意しておったのじゃ。前マリーが用意しておった256枚の入居手続き書類は全て燃やした筈じゃ」


「安心しておじいちゃん。まだ768枚残してあったから。今破かれちゃったから残り767枚」


「ほぇ?」


「それになくなったら、また書けばいいだけだから安心して」


「まて、マリー。たとえお主が書いて、提出したとしてもワシは出て行かんぞ」


「安心しておじいちゃん。lv30の『介護士』さんに両手両足拘束して連れて行くよう頼むから」


「ほぇ?!」


「大丈夫!おじいちゃんぐらいいなくなっても村は大丈夫だから」


「曲がりなりにもワシはこの村の村長なんじゃが…………そうじゃ! 婆さん! 婆さんに無断でこの家を出るのは許されん!」


「あ、それなら前に相談して了承貰ったよ」


「ほぇ? ワシ、婆さんと顔合せたのもう2ヶ月以上前じゃぞ」


「私、昨日も会ったけど」


「ほぇ?」


「婆さん婆さん言ってるから逃げられてるんだよ」


「兎に角、ワシは行かんぞ!絶対に行かんぞ。筋肉ムキムキの看守による監視下で、牢獄に閉じ込められて、食事に制限時間を強いられて、『ラジオなんちゃら』とかいう強制運動と『オリガミ』とかいう新しい魔道具の組み立て強制労働なんてしたくないんじゃ。ワシはここでゆっくり日向ぼっこと、お茶を飲んでいたいんじゃ!」


「おお。おじいちゃんがほぇほぇ抜きでちゃんと喋ってる。それにしても偏見酷いよ」


「ほぇ?」


「あ、やっぱり駄目だ。ほら早く拇印押して」


「嫌じゃ嫌じゃ!絶対行かないんじゃ」


「もう。仕方ないな」


「諦めてくれるのか!」


「いいわ。チャンスをあげる。私と『しりとり』をして勝ったら諦めてあげる。負けたら大人しく老人ホーム行き。無駄なこと言ったら負け。いいわね」


「望むとこじゃ」


「「アッ○ェ●テ」」

(自主規制)


先手・マリー

後手・村長


マ「リンゴ」


村「ゴリラ」


マ「ラクダ」


村「ダチョウ」


マ「ウリ」


村「リンゴ」


「ちょっと待ったー!」


「ほぇ? もう負けを認めるんか?」


「負けを認めるべきはおじいちゃんでしょ! 私最初に『リンゴ』って言ったよね。何平然と『リンゴ』って言ってるの?!」


「いつ同じ言葉を使ってはいかんと言ったんじゃ?」


「常識でしょ?!」


「初耳じゃ。新しいルールじゃな」


「『しりとり』ができた頃からずっとあるルールでしょ?!一体どうやって決着付けるのよ!」


「気力勝負?」


「そんな何十日、何百日続きそうな勝負しないわよ!」


「ほぇ?」


「いい? 仕切り直しよ。同じ言葉は2回目言ったら負け。当然『ん』で終わる言葉を言ったら負け。おじいちゃんが負けたら、『介護士』の関節技で逃走不可能な状態になったところを連行してもらうわ」


「ほぇ? 前より酷くなっとるんじゃ」


「問答無用!」


「「ア○シ●ンテ」」

(自主規制)



先手・マリー

後手・村長


マ「リンゴ」


村「ゴリラ」


マ「ラクダ」


村「ダチョウ」


マ「ウリ」


村「リンゴジュース」


マ(イラっ)「スイカ」


村「カメ」


マ「メダカ」


村「カメラ」


マ「ライス」


村「スイカジュース」


マ(イラっ)「スルメ」


村「メダカの学校」


マ(怒)「馬」


村「マリー」


マ「イカ」


村「可愛いマリー」


マ「……イカダ」


村「大好きマリー」


マ「……イモリ」


村「利口なマリー」


マ「…………糸」


村「年頃なマリー」


マ「イナズマ」


村「マリーのジン君への愛」


マ「……っ、いい加減にしてよ!ジンがいる前でそんなこと言わないでよ!」


「夜よくおねしょしていた小さい頃のマリー」


「それはおじいちゃんが現在進行形でしょ?!」


「あ、マリーの負け」


「もう終わってるわよ!」


「ほぇ?」


「ってこんな事する為に来たんじゃないんだから!おじいちゃん!ジン君に用事があるんでしょ!」


「ワシの勝ちでいいのか?」


「もういいって言ってるでしょ!」


「そうか」


そう言っておもむろに取り出したステータスペーパーを、ジンの顔面にぶち当てた村長であった。

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