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第六話 「ギルドマスター」 

どうにか、出来ました…投稿。

 あの後。ギルドマスターであった青年に連れられ、和斗とランスロットは奥の部屋へと、恐らくギルドマスターの執務室と思しき部屋へと通されていた。


「まあ、適当に座ってくれ」


「…では、失礼して」


 一足先にソファへと腰掛けたギルドマスターに習う様に和斗とランスロットは向かい側のソファへと腰を下ろすと如何にもできる秘書といった感じの眼鏡を掛けた女性がテーブルに紅茶に似た飲み物が入ったカップを置く。


「あ、どうも」


「いえ」


 和斗のお礼に言葉少なげに答えると、その女性は部屋から出て行き、残されたのは和斗とランスロット、そしてオーディの三人だけとなった。


(こいつが、ここのギルドマスターか)


 年齢としては二十代後半。髪は動きやすさを重視したかのように短く切られ、体格は服の上からでもわかる程にがっしりとした筋肉が付いている。そして組んだ両の手には小さな傷を含めると無数の傷痕が残っている事から「戦士」系の派生職業である「武闘家」なのではないかと和斗は予想していた。


「さて、まずは自己紹介しておこう。俺はオーディ・ケラス。アトラのギルドマスターだ」


「俺は八雲和斗、そしてこっちが俺の仲間のランスロット」


 まず和斗が自分の名前を名乗り、和斗によって紹介されたランスロットは軽く頭を下げた。


「分かった。カズトにランスロットだな。ところで、和斗は貴族なのか?」


「いえ。確かに名前と性はありますが貴族ではありません。実はこの大陸に来たのは最近で」


「そうなのか。まあ、国が違えば文化も違うからな」


 オーディの疑問の疑問はもっともだったが、事前に答えを用意していた和斗はスムーズに答え、その事に対してオーディは特に疑問を感じた様子もなく納得し、話は次の話題へと変わる。


「さて、それじゃあ、まあ。互いに自己紹介が済んだところでだ。‥‥あの場で何があったのかを教えてもらえるか?」


「ええ。いいですよ」


 その後、和斗からの説明を始めた。それから時間にして凡そ五分とかからず説明を終えると、黙って聞いていたオーディは頷いた後、立ち上がり。


「なるほど…申し訳ないが、少し待ってくれ」


「ええ。いいですよ」


「悪いな。待ってもらっている間に茶請けもを持ってこさせよう」


「あ、お構いなく」


 そう言い残すと一旦オーディは部屋を出ていった。そしてそれから少ししてギルドの女性職員がお茶を持ってきてくれ、和斗はランスロットと一緒にオーディあ帰って来るまでの間、柑橘系に似た爽やかな風味のお茶とお茶請けとして出されたお菓子を楽しでいる事、しばし。申し訳なさげな表情を浮かべたオーディが戻ってきた。


「悪い。渡せてしまったな」


「いえ、さほど待ってないので」


 オーディはソファに座るとそのまま頭を下げてきた。


「申し訳ない」


「えっと、まあ、はい。‥‥その、謝罪は受け取りましたので、頭を上げてください」


「いや、だが…」


「頭を下げられていると、話しづらいので」


「…すまん」


 和斗の説得で、オーディはもう一度謝罪を口にした後、頭を上げた後、説明をしてくれた。

 まず今回の事は明らかに相手が悪いために和斗は無罪放免、その謝罪としてもし和斗が冒険者登録をするのであれば今後は何かと便宜を図るとの事だった。


「なるほど。それで、あいつらはどうなるんだ?」


「ああ。実は幾ら銀ランクでは以前から名前が通っていてな。いずれ金ランクへ上がるのではと言われていたんだが…」


「なかなか、上がれなかった、か?」


「ああ。そしてランクが上がらない事に対して焦りと、自身へのイラつき起こしてしまった喧嘩は駄目だ。だから、正直彼らの実力は惜しい。故に今回は剥奪までは行かないが、騒動の本人は罰金と一か月の謹慎、パーティーメンバーに関しては罰金と二週間の謹慎処分としたいんだが。どうだろうか?」


「いや、俺としてはイラつきはしたけど、実際は怪我一つしてないからな。罰金と謹慎は必要だと思うが、ランクは別に下げなくていいと思うぞ?」


「ほ、本気で言っているのか?」


「ああ。物事が上手く行かずに、人に当たるのは確かに最低だ。けどまあ今回が初めてだからな」


 和斗の言葉を聞いて、オーディは驚きの表情でただ和斗を見ていた。和斗としては、ゲーム(OOO)内で似たような事による喧嘩は何度か見慣れ、時に絡まれたりした経験があり、一度までなら許すことにしていた、もちろん、それは二度目はない事を事も差していた。


 一方、オーディとしては和斗が何らかの制裁などを言えば対応できるようにこそしていたが、逆にこうも容易く自分に殴りかかって来た相手を許す和斗にもはや驚く事しか出来なかったが、同時に納得もできた。


「なるほど。じゃあそう伝えておこう。にしても。はははっ。なるほど、あの人からの連絡が来るわけだ」


「あの人…?」


「なんだ。あの人から聞いていないのか?」


「だから、そのあの人って誰なんだ?」


 納得したとばかりに笑うオーディとは対照的に、和斗は良く分からず首を傾げていると、オーディは説明を始めた。


「和斗。お前達が泊まっていた宿は「赤鳳(せきほう)という名前の宿だろ?」


「そうだが…なんで分かったんだ?」


 和斗は自分が何処に泊まっていたのかという情報を一切あの場において口にしておらず、ましてこの場でも一言も言ってないのに対して、何故オーディがそんな事を知っているのか、まさか監視していたのか。といった不信感が表情に出ていたのか、オーディが和斗の隣の人物、ランスロットに視線を送りつつ弁明をする。


「そう不振がらなくても、監視とかは一切してないから大丈夫だ。だからお隣の騎士さんに剣を収める様に言ってくれ」


「‥ランスロット」


「‥はっ」


「…じゃあ、どうして俺達が泊っていた宿が分かったんだ?」


 和斗が声を掛けるとランスロットは剣に掛けていた手を元に戻し、オーディに和斗は先を促した。


「それは簡単さ。前ギルドマスターにして、現在は「赤鳳」の店主であるライルさんに教えて貰ったのさ」


「‥‥…そうなのか」


 唖然として、物を言えないを和斗の様子にオーディは何処かいたずら小僧の様な笑みを浮かべ、一方の和斗は宿の店主にしては隙がないように感じていたライルがまさかの前ギルドマスターだとは、流石に予想するのは、不可能だった。

 とそうこうしていると、オーディは冷めてしまっていたお茶を一息に飲み、カップを戻すと真剣な表情で口を開く。


「さて、それじゃあ今回の剣はこれで終わりにして、本題を単刀直入に言おう。和斗、そして、ランスロット。冒険者になるつもりはあるか?」

今話は戦闘はありませんが、次話では戦闘(模擬戦)を書き出そうかと考えておりますので、少しでも楽しみに待って頂けると幸いです。

相変わらずの不定期ですが、待って頂けると幸いです。

また、評価、感想、ブックマークなどを頂けると嬉しいです。では、今回はこれにて失礼します。次話にてまた、お会いしましょう。

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