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第五話 「冒険者ギルド」  

どうにか、出来上がりましたので…投稿です。

あ、一応ですが、連続投稿は偶然です(念のため)

 部屋を出た和斗とランスロットは宿の受付があるカウンターへと向かうと、丁度そこには和斗達と同じくこの宿に泊まっていたと思しき三人組が宿を出て行くのが見えた。それぞれが杖や弓、胸当てなどの防具を装備して、だ。

 そして、今しがた出て行った冒険者乏しき三人組と話していたこの宿の店主が和斗達に気が付き、声を掛けて来た。


「おっ! どうやら準備が出来たみたいだな?」


「ええ。なので、この後は冒険者ギルドで冒険者登録をするつもりです」


「てことは、兄ちゃん達、そんな格好≪なり≫でまだ冒険者じゃなかったのか?…もしかして、兄ちゃん達は」


「いえ、王族や貴族じゃないですよ」


 宿の主人が驚き、なにか勘違いをしていた様子だったので、和斗は機先を制するようにそう断言すると宿の店主は安堵したかのように息を吐いた。


「は~。そいつは良かったぜ。下手なことでこの店を潰されたら女房や子供に合わせる顔がないからな。…ところで、その防具は何処の誰に作ってもらったんだ?」


 元冒険者として和斗が身に付けている防具、その作成者が気になったのか、尋ねてきた店主に和斗は事前に考えていた言葉を返す。


「ああ。これは俺の仲間(家族)が作ってくれたんだ。」


 和斗は嘘は言っていない。実際にドロップアイテム以外の幾つかの武具は和斗と契約を結んだ、ある神が製作した事に間違いはなかったのだから。そして、和斗の返事を聞いた店主は驚きながらも納得したのか頷いた。


「ほう…これほどの装備を作れる武具職人が居るとは、世界ってのは広いもんだな…とっ、すまん、出発の邪魔をしたか?」


「いえ、大丈夫です。実は登録をした後に依頼を受けるのですが、それが終わった後、また泊まっても構いませんか?」


「……ハッハッハッハッ! ああ、全く構わねぇ。けど……無茶はするなよ?」


 店主は和斗に対して威圧の籠めて言ってきた。そして、それは冒険者登録をして、浮かれた新人冒険者が無茶をしないための釘を刺す意図もあり、新人冒険者であれば顔を青ざめさせるのだが、和斗はそれを正面から受け止めながらも顔色一つ変えなかった様子から無茶をしないと感じ取れたのか。店主は何処か安心したのか、一息吐いた。


「…どうやら、大丈夫そうだな」


「これは、他の冒険者に対しても?」


「ああ。まぁ、正確には冒険者登録をしに行く奴。新人冒険者限定だがな。…とそうだ。まだ俺の名前と宿の名前を教えてなかったな。俺はライル。そんで店の名前は「赤鳳(せきほう)」だ」


「分かりました。では」


「ああ、気を付けろよ?」


「はい」


 和斗は店主、いや「赤鳳」の店主ライルに軽く会釈をするとランスロットも頭を下げた後、和斗とランスロットは「赤鳳」を出たのだった。

 そして、和斗達が宿から出て行った後、ライルは近くを通りかかった従業員の一人に声を掛け、告げる。


「おい。すまないが、急いで冒険者ギルドのギルドマスターの所に伝言を伝えてくれ。至急だ」




 外に出て、まず和斗の眼に入ったのは石が敷き詰められ整地された石畳の地面、そしてその上を多くの人々が歩いて賑わっていたのだが、ザっと見た感じでは、その内の凡そ四割が剣や杖などを冒険者と思しき人が混じっていたのだが、その様子が和斗は何処か懐かしく感じていた。


「この辺りは、ゲームと変わらないみたいだな」


「ええ。冒険者になる者が多いためにこの世界でもアトラは「始まりの街」と呼ばれている所以ですね」


「そうなのか」


 ランスロットとそんな事を話しながらまずは街の中央にある噴水広場へと歩いて行く。広場への道中では生活雑貨や果物、野菜などを売っていたり露店を出しアクセサリーなどを売っていたりとかなりの賑わいを見て、肌で感じながら和斗達はアトラの中心部にある噴水広場へと辿り着いた。


「ここも、変わってないんだな…」


 噴水広場はOOOオーズと同様に開けた場所で、広場の中心に噴水があり、その周りでは子供たちが遊んでいたり、井戸端‥‥噴水端会議をされているご婦人の姿や、噴水の縁で何やらいちゃついているカップルと思しき姿もあった。

 そしてこの噴水広場より北にあるのが鍛冶区、東が商業区、そして和斗達が今しがた来た南が居住区。そして和斗達の目的地である冒険者ギルドは西にあり、心なしか冒険者たちの姿が多いように見受けられたが、和斗やランスロットに緊張の色は一切なく、どちらともなく冒険者ギルドがある区画へ足を踏み入れた。


「色々な物があるんだな…」


 冒険者ギルド目指して歩いているとOOOオーズには無かった施設なども幾つか存在し、気になりはしたが和斗達はそのまま歩いていると木材とレンガを組み合わせて作られた頑丈な作りであり、随所には細やかな細工も施されている建物が見えてきた。そしてその建物には剣や槍、弓や杖と武具を身に着けた者達が入って行く様子が見えたので、冒険者ギルドである事に間違いはない様子だった。


 そして、そうこうしている内に和斗達は建物の前へと辿り付き、両開きの扉を開けて建物の中へと入った。

 建物中ホール式で広く、奥には依頼を受け付けるカウンター。左側にはクエストが張られており、右側には幾つかの椅子とテーブル。そしてバーの様なカウンターがあり。その内装は和斗が知っているOOOオーズと大きな違いはなかった。そして今現在バーカウンター近くで酔った二人の男が殴り合っているのが見えた。


 そしてその殴り合っている男の後ろではおそらく喧嘩している男のパーティーメンバーと思しき、人がそれぞれ睨み合っていたが、周りの人はそのような状況には一切触れず、無視するかのように通り過ぎるのみという事から、日常的に起きるという事なのだと察している和斗に後ろから不機嫌そうな声か聞こえてきた。


「おい、新人風情が、邪魔なんだよ」


「うん? ああ、悪いな…っと」


 振り向くとそこにはローブを纏い、杖を握る魔法師と思われる女性、槍を背負っている事からを槍を振るうのに邪魔にならない最小限の防具を身に着けたこちらは引き締まり砂色の髪は逆立ている槍術師と思しき男ともう一人、和斗に声を掛けて来たのは二十代後半と思しき赤い髪の男で、腰に剣を佩き、左腕に円形の盾を装備した、僅かに苛立った様子で和斗に声を掛けて来たようで和斗は謝罪しつつ横にずれたのだが、和斗の横を通り過ぎる時赤髪の男の肩と和斗の肩が僅かに接触した。


「痛ぇな~!」


「別に痛くないだろ、そっちからぶつかったんだから」


「ああ~??」


 どこぞの不良の如くワザとそう言って来たが和斗は得にどうも思うことなく答えた。そしてその様子を見ていた冒険者達は関わり合いたくないとばかりに視線を逸らすが、カウンターの受付嬢たちが事態を把握したのか建物の奥へと消えていくのが和斗には見えた。


「おい、何処見て、やがるっ!」


 しかし「自分から眼を逸らした」それが気に食わなかったのか赤髪の男は慣れた様子で予備動作なく拳を和斗に振るったが、軌道を先読みした和斗は一歩横に移動する事で容易に回避する。


「ちぃ! 新人程度に、この俺が!」


「‥‥‥」


「あの、落ち着いたほうが‥‥」


「うるせぇ!」


 容易に躱された事に苛立った赤髪の男が仲間の魔法師風の女性の静止を振り切り更に拳を振るがその事如くを和斗は回避していく。

 だがこれは男のレベルが低いのではなく、確かに目の前の赤髪の冒険者も幾多の年月と幾つもの戦闘を乗り越えてきたのかもしれない。だが和斗もOOOオーズを初めて二年という短い時間とは言え時間に比率しない濃厚な戦闘を数多く経験しており、そこから導き出されるのは、和斗の経験と実力が目の前の冒険者より上手だった、という事実しかなかった。

 そして、赤髪の冒険者はかなりの実力者なのか、その攻撃の事如くを躱し、時に流す和斗をギルドに居た全員が驚いた表情で見ており、これ以上の注目を避けたい和斗は提案をする。


「お互いの為に、そろそろ、止めませんか?」


「…ふざけるなぁ!」


 回避しながらの和斗からの言葉を深読みし、暗に「無駄だ」という宣告されているかのように聞こえた赤髪の冒険者は激昂し、腰の剣を抜くと和斗へと振り抜く。辺りからどよめきの声と悲鳴が聞こえたような気がしたが、そんな事等一切気にせず意識を集中させたことでスローモーションと化した時間の中で、和斗は目の前の赤髪の冒険者の動きを冷静に見ていた。


(動きが単純過ぎる)


 激昂している相手の動きは読みやすい。それは動きの端々からかなりの実力を持つことが伺えたこの赤髪の冒険者であろうと、例外ではない。だが、下手に良ければ後に手を抜かれたという一方的な禍根に繋がる可能性を、和斗は否定しきれなかった。


(…仕方がないか)


 故に実力の一端を見せる事を決断し、和斗はその場からの回避ではなく、一歩前へと踏み込む。その様子を見ていた受付嬢の最悪を想定して悲鳴が上がるが、次の瞬間にそれは驚愕によるどよめきによって打ち消される。


「な‥‥に‥‥‥?」


 和斗がしたことは簡単で、振り下ろされる剣を左手で流された事によって体勢を崩したところに和斗の右の拳が鳩尾へと突き刺したのだった。


「‥…」


 そのまま和斗は二、三歩後ろに下がるとそこに赤髪の冒険者が前へと崩れ落ちるように倒れた事によって、辺りはまだ午前だというのに静けさに包まれるそんな中、フルフェイス型の兜のせいで顔は見えないがランスロットが嬉しそうに笑っている事に和斗だけは気が付いていた。


 そんな場に一人、知らせを聞き、急いだ様子でギルドの奥から二十代後半と思しき蒼色の髪と同色の瞳を持つ青年と言える整った顔立ちの男がホールに出るとギルドの出入り口付近、即ち和斗と倒れている赤髪の冒険者。そして和斗のすぐ近くに居るランスロットと赤髪の冒険者の近くに居るパーティーメンバーを一目見て、この場で何が起きたのかを理解したのか、その場でため息を吐き呟く。


「…はぁ。どうやら、遅かったみたいだね…」


 男、冒険者ギルドアトラ本部ギルドマスター、オーディ・ケラスの呟きが静まり返ったギルドホールに静かに響いたのだった。

今回の投稿は、メインの話が書けなかったので、気分転換を兼ねて書き出しました。

ですが、今後は前回と同じく不定期の投稿となります。

ですが、隙間時間で少しづつ仕上げ、投稿していきますので、楽しみに待って頂けると幸いです。

また誤字脱字、評価、感想などを頂けると本当に励みと共に嬉しいです。

では、今話はこれにて失礼します。

皆様も体調管理、手洗いうがいなどをされて、お気をつけください。では、また次話で。

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