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第四話 「出発」 

どうにか、出来ましたので、…投稿です。

 宿の食堂へと移動した和斗とランスロットは、宿の人にお願いし朝食を頼んだ後、日の光が差しこむ窓際のテーブルへと移動し、座る。


「では、召喚された際に私が得た知識をお教えします」


「頼む」


「では、まず私たちがいるこの大陸とこの街、アトラについてお教えします」


 宜しいですね、と眼で聞いてきたランスロットに和斗が頷き、ランスロットが説明を始めた。


「今現在、私達がいる街であるアトラ。それは五つの大陸を舞台にした私達の世界である「オキュペイション・オリジン・オンライン」ではプレイヤー達が最初に降り立つ場所から、「始まりの街」とも呼ばれる街でした」


「ああ、今でも覚えている」


 初めてOOOオーズにログインし、アトラに降り立った時の感動を和斗は今でも鮮明に覚えていた。まるで現実と思えるほどに作り込まれ再現された世界。その世界に降り立ったという感動は、同時にOOOオーズにログインした多くのプレイヤーがこう感じさせただろう。この世界は自由、だと。

 そんな幼い少年の様な表情を浮かべる和斗をランスロットは微笑ましそうな表情で見た後、続きを話し始めた。


「では確認の意味を込めて説明します。まずアトラは幾つかの区画に別れており、アトラは街の北側が鍛冶師達が軒を連ね武具を作り売る鍛冶区。東は冒険者に必要なアイテムなどを販売する商業区、南は街の住人が暮らす居住区。現在の私たちは居住区に居ます。そして最後の西は冒険者の登録、ランクアップ等、クエスト受注、発注等の冒険者関連を司る冒険者ギルドが存在しています」


「冒険者ギルト、か」


 和斗がそう呟いていると、宿の人が朝食を運んで来てくれ、テーブルへと並べる。メニューとしてはサラダとパン。そして恐らく燻製肉の入ったスープだった。そして料理を置いてくれたガタイの良い男性にランスロットは頭を下げた。


「昨晩は、ご迷惑をおかけしました。店主」


「‥‥ご迷惑をおかけしました」


 ランスロットにならい、和斗も頭を頭を下げると宿の店主は快活そうに笑った。


「ハッハッハッハ!、な~に、困ってた時は助け合いさ。そら、頭を上げてくれ。むずがゆくて仕方がねぇ」


「ですが、ご迷惑を掛けたの、事実ですので…」


 頭を上げて困惑気味にそう答えるランスロットだが、店主は気にしてないとばかりに手を振った。


「そんなことなら気にするな。それにアンタらはちゃんと金を払っている。ならちゃんと対応しなきゃ店の名折れだ。それにまあ、もし諍いや面倒ごとを起こしてというなら、元冒険者としてのそれなりに対応させてもらうだけさ!」


 そう言う店主は服の上から見てもガタイはよく引き締まり、腕もよく見れば所々筋肉によって隆起していた。


「アンタ、元冒険者なのですか?」


「ああ。一時は名前も売れていた。といっても受けた依頼で右腕を一度砕かれちまって、引退したんだよ‥‥。それにして昨日の騎士がこんな美人だとはな!‥‥っと、冷めないうちに食べてくれよな!」


 何処か懐かしそうにそう言ったかと思うと興味深そうにランスロットを見た事に対して和斗がジト目を送ると店主はそう言ってハッハッハ!と笑い声をあげながら店主は嵐の様に去って行った。

 そしてその後、手を合わせ、店主が並べた朝食を食べながら和斗はランスロットがこの世界に召喚した際に得たこの世界の事を教えてもらいながら和斗は頭の中で教えてもらった情報を整理する。


 まず一つ。この世界にはOOOオーズと同じく各大陸に複数の国が存在するのだが、数が多いため今は割愛するが、このグラン大陸も合計四つ、いや五つの国によって統治されている。


 一つはグラン大陸北部を領土とし、人間至上主義を掲げエルフやウンディーネなどを異種族と呼び大陸で唯一奴隷の所有、売買を行えるボレアス帝国。大陸東部を領土としエルフ、獣人達が暮らす自然豊かなエストフォレスト王国。大陸南部を領土とし、ウンディーネ達を主として、観光やリゾート地、また海運業などの交易を主とするユークメーア皇国。そして、大陸西部の山岳火山地帯を領土とし、様々な武器を生み出すドワーフ達の国であるオエステオロス王国。

 そして大陸中央、即ちアトラを中心に独立自治区として統治しているのが冒険者ギルド、という事らしい。

 と情報を整理し終えた和斗は、咀嚼していたパンを飲み込むとランスロットへと話しかける。


「つまり、今俺達がいるのは冒険者ギルトが統治している場所に居る訳だな?」


「はい。幸いにも大陸中央部は比較的弱いモンスターしかいませんので、その辺りも不幸中の幸いでした」


「確かにな‥」


 ランスロットの言葉に同意しながら和斗はスープを飲む。

 始まりの街であるアトラがあるグラン大陸中央部は他の大陸に比べるとモンスターは弱く、それ以外の大陸の場合、和斗は死んでいた可能性が高く、今更ながら自分の幸運に感謝した。そして、そこからは二人は無言で料理の三分の二を食べ終えた時、和斗は今後の方針を決めた。


「ランスロット。これを食べ終わって準備を整えた後、冒険者ギルドに行くぞ」


「…分かりました。契約者マスター


 和斗の宣言に、ランスロットは何も言わず、しかし和斗の決断を支持するかのように返事を返した。

 それから少しして、店主が並べた朝食を食べ終わり、最後に手を合わせると和斗は立ち上がり、和斗と同じく手を合わせた後ランスロットも立ち上がりると二人は準備の為に部屋へと戻ったのだった。


 部屋に戻ると、和斗はベットの近くに置かれていた濡羽色のコート「夜の擁守」を身に着け、腰のキャリングケースから鍵が描かれたカードを取り出し、魔力を流し込む。するとと和斗の前に渦の様なモノが生じ、和斗はそこに手を突っ込み、一本の剣を取り出しキャリングケースとは反対に身に着ける。その様子を既に鎧を身に着けていたランスロットが見て、微笑む。


「やはり、貴方にはその恰好が似合います」


「そうか?」


「ええ」


 今の和斗は、「夜の抱守」を身に着けた事により髪の色も含めると全身真っ黒なのだが、それの姿を見慣れたランスロットにとっては真っ黒ではない和斗の方が、寧ろ違和感があったのかも知れなかったが、寧ろ自然な表情で微笑まれた事で和斗は気恥ずかしくなってしまったのは、ランスロットが知る由も無かった。


「よし、それじゃあ。行くぞ」


「はい」


 和斗の号令にランスロットは答えた。

次の話は少しづつ進めていますが、そろそろ他の話も進めなければ不味いので、また出来次第投稿します。

最後にですが、評価、感想、また誤字脱字の報告を頂けると嬉しいです。

では、失礼します。また次話で。

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