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第三話 「異世界」 

1日、掛かりましたが、どうにか改稿が出来ましたので、、投稿……です。

 ランスロットの威圧が効いたのか、心なしか気圧されたかのように見えた赤狼達だったが。


「アオオ~~~~ンン!!!!!」


 リーダー格の遠吠えによる鼓舞で戦意を取り戻したのか、それとも相手は二人で数で有利だと判断したのかは不明だが、赤狼達は、和斗、いやこの場で明確に敵意を向けて来たランスロットへと突撃を開始した。


「‥‥愚かな」


 距離を詰めて来る赤狼に対して僅かに目を伏せた後、ランスロットは手直な距離に迫った赤狼へと瞬時に距離を詰め、一撃でその胴体を絶ち切る。返す刃で背後より飛び掛かって来た赤狼の首を切断され、残された体は崩れる様にして地へと倒れる。目の前で起きている明確な命のやり取り。そして相手がモンスターと言えども分かる明確な「死」。


(やっぱり、これはゲームじゃない。…現実だ)


 だが何故自分がヤクモと同じ力を振るえるのか、何故ゲーム内での存在であるランスロットを召喚するこができ、和斗の事を覚えているのか等、気になる事があるが、明確に分かったのは、この世界はゲームではなく、紛れもない現実だという事だった。

 それから時間にして凡そ三分後、最後まで残りランスロット相手に善戦したリーダー格であった二つの尾を持つ赤狼が倒されたのを確認した後、安心した事で緊張の糸が緩んだのだろう。胃からせりあがってきた酸っぱい物を嘔吐し、ムカムカした感覚がなくなったかと思い体を起こそうとしたが


「あ、れ?」


 気が付けばそのまま横に倒れてしまっている事に和斗は気が付き。


「か、和斗っ!?」


 その様子が見えたのか、慌てた様子で駆け寄ってくるランスロットをぼやけた視界で見たのを最後に和斗はまるで引き込まれるかの様に意識を失った。





(これは‥…あの時の‥‥)


 和斗の目の前、いや第三者の視点から見ているその光景は、何処かの家で行われる葬式の風景で、その風景を和斗はよく知っていた。何故ならそれは和斗を可愛がってくれた祖母の葬式だったからだ。そして最前列に座る家族・親族の中で涙を流す自分自身を見つけ、ある事を思い出した。


(そうだ。俺はあの時‥‥)


 それを、和斗がOOOオーズで不遇と言われる召喚術師関係の職業を目指したのか、そのわけを思い出しかけた時、眩い光を感じた事で和斗は急激に意識が覚醒していくのを感じ、

 目覚めて目を開いた先には、木製の天井があった。


「…ここは‥‥?」


「ここは湖精の森から南にある、アトラ町の宿の一室です。契約者マスター


 和斗の口から零れた問いに答えた人物へと視線を向ける。

 その人物は椅子に座っており、その眼元は僅かに腫れていた。恐らく和斗が目覚めるまでの看病をしてくれていた、甲冑を脱ぎ、動きやすい白と黒のワンピースを身に着けた美女がいた。


「‥…ランスロット、なのか?」


「はい」


 思わずといった感じの言葉に、ランスロットは気真面目に答えるが、和斗は正直それどころではなく、正直に言ってランスロットに見惚れていた。


(綺麗だ‥‥)


 清楚な印象を与える白と黒のワンピースを身に纏うランスロットは、OOOオーズで時折、街を過ごすのに着替えてもらうなどして私服に関して幾分か見慣れていた和斗でもその破壊力はすさまじいものだった。


「どうかしましたか?」


「あ、い、いや。何でもない‥…ところでベットで寝てるって事は、ランスロットがここまで運んでくれたのか?」


 視線をベットに向けた後、ランスロットに問うとランスロットは首肯した。


「はい。あの後。気を失われた契約者マスターを抱え、急ぎアトラまでお連れし、宿を取ったという訳です。あ、もちろん宿代に関しては問題ありません。幸いギルドに赤狼の討伐依頼がありましたので、その依頼を受け尻尾を提示した事によって得た正当な報酬です」


(…有能すぎる!)


 和斗が思わずそう思った。何せ自分が気絶している間にランスロットは和斗の身の回りのことを全て対応して、処理していた。その動きはまるで有能な秘書が如きものだった。


「そ、そうか。その、すまないな。迷惑をかけて…」


「いえ、契約者を守るのが私の役目ですから。お気になさらないでください」


「でもな…」


「でしたら。今度、私のいう事を一つだけお聞きください」


 そして、そんなランスロットに対して和斗は謝るが、ランスロットは特に気にした様子もなくそう言い切ったが、それを聞いてもされっぱなしというのは和斗が嫌うという理解していたのだろう、そう言って来た。


「分かった。けど見捨てて行けとかそう言ったのはお断りだからな」


「ええ。‥‥それはよく理解しております」


 和斗のランスロットのその言葉を聞き、聞こうか迷っていたことを聞いてみることにした。


「ランスロット。お前は何処まで覚えている?」


「‥‥申し訳ありません。私が覚えていますのは契約者マスターがあの世界より旅立たれたのを確認し私自身も眠りに就きましたので、それ以上のことは。ですが、召還された際にこの世界の事はある程度理解しました、そしてあの世界では私は人が作りし存在だったこともです。」


「…すまない」


 和斗がなかなかこの世界がゲームなのか、はたまた異世界なのかをランスロットに尋ねなかったのは、自分は作られた存在だという事を認識させてしまう可能性があったからで、そしてその最悪の予想は的中してしまったが、ランスロットの顔には笑みがあった。


「気に病まないでください、契約者マスター。作られなければそもそも私は貴方という人に出会うことすら出来なかったのですから」


「ランスロット…」


 目尻に僅かに涙を浮かべるランスロットに対して上手い言葉を見つけられなかった和斗は

 ランスロットをそっと抱き寄せた。それから少しして落ち着いた後、互いにベットに座り和斗はランスロットから説明を受けていた。


「じゃあ、やっぱりここは」


「はい、契約者(マスター)も既にお気づきかと思いますが、ここは貴方が住んでいた世界《地球》でも私達と過ごしたあの仮想世界とは別の世界です。そしてこの世界は契約者マスターが遊ばれていた私達の世界と違う部分はありますので、似たようなの世界といえます」


 地球ではなく、ましてOOOオーズの中でもなく異世界。ある程度予想は出来てはいたが、そう言われてもそう簡単に咀嚼し、飲み込める内容ではなかったが、和斗は既に覚悟は出来ていたのでその事実を胸に刻み込み、ある事を尋ねる。


  「ランスロット、答えてくれ。俺は、あの世界で、死んだのか?」


 和斗が思い出すのは、自身に突っ込んできていた自動車だ。目を瞑っていたので良く分からなかったが、それでも確認できるのであれば確認しておきたい事だった。


「いえ。契約者マスターは死んでいません。どうやら事故に遭う直前にこの世界へ転移させられたようです」


「…転移」


「そしてこれより先は私の推測交じりの話になりますが‥‥」


「構わない。話してくれ」


 申し訳なさげにそう言ってくるランスロットに和斗はそう言うとランスロットは頷き、話し始めた。


「分かりました。恐らく契約者(マスター)が事故に遭う寸前に、何者かはこの世界に契約者マスター召喚よぶことには成功しました。ですが問題があります。それは」


「例え呼び出せたとしても、強いとは限らず。そして最悪の場合。もし座標がズレたりなんかしてモンスターがいるこの世界で生身で召喚された場合、か」


「はい。そこでもしもの保険としてこう考えたのかもしれません。人にはそれぞれ空想であろうとも一度は想像する武器防具があるはず。ならばそれを持たせれば死ぬことは無いだろう、と」


「まあ、武器なんかがあれば死ぬ確率は確かに下がるだろうな‥‥ということは。まさか?」


「はい。恐らく契約者マスターが召喚される際に契約を交わしていた私達、そして装備などが召喚されたのは契約者マスターの自己像、即ち「ヤクモ」に引っ張られてのではないか、と思われます」


「・・・・・・・・」


 ランスロットの推測混じりの話を聞きながら、顎に手を当てながらその可能性は確かにあり得ると和斗は感じていたその時、右隣からくぅ~、とお腹が鳴った。


「・・・・」


「・・・・・」


音が聞こえ和斗は思わず隣に座るランスロットに視線を向けるとランスロットは呆気に取られていた様子だったがすぐに羞恥心から顔を真っ赤にして顔を背けてしまった。そこで今更ながら思い出した。まだ朝食を食べていなかったという事に。


「あ~、…取り敢えず朝ご飯を食べに行くか」


「‥‥はい」


 気になる事はあったが、取り敢えず今は栄養補給と何よりこの気まずい空気を払拭する為に和斗とランスロットは連れ立って宿の食堂へと向かったのだった。


次の話の投稿はまだ、未定ですが合間を縫って改稿作業を進めて投稿していきたいと思います。

ですので、気長にお待ち頂けると幸いです。

また評価、感想、誤字脱字報告などを頂けると励みになります。

どうか、宜しくお願いします。

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