恋愛の方程式
私は教室で一人残りながら、意味不明な宇宙の暗号を解読していた。
今日は学校が午前中で終わったから、お弁当持ちで解読している。
「えーと。3xがyだからここが連立方程式になって?でここを加減法で。あれ?わかんなくなってきた。」
一人で唸りながら、暗号と睨めっこ。
「え?これ何語?意味わかんないんだけど。」
「何してんの。英語?」
いきなり、隣のクラスの男子が入ってきた。
「え?えーと、誰だっけ?」
そいつは、なんかため息を吐いて言った。
「はあー、加藤だよ。同じ学年の名前ぐらい覚えなよ。」
なんかムカつくな。髪を綺麗に分けやがって、ちょっと引く。
「はいはい、佐藤くんね。」
私もため息混じりに言った。
「……」
「ん?」
急に黙っちゃったぞこいつ。お腹痛いのかな?えーと、なんだっけ。佐藤?伊藤?江藤?やっぱり、佐藤か。
「加藤だよ。」
何こいつ。私の心の声が聞こえるの?
「キモっ」
「はあ?」
やばい。変なところだけ声に出ちゃった。どうしようこいつプライド高そうだし。あーめんど。私、ホントついてないな。
「今日は、ホント変な奴に声をかけちゃったな。ついてねえ。」
「それは、こっちが言いたいよ。紛らわしい名前のやつに声かけられた気持ちにもなって欲しいよ。伊藤くん」
「名前を間違えられる俺の気持ちも考えろよ。」
「もっと分かりやすい名前でかっこいいやつに声かけられたかった。用が無いなら帰って江藤くん。私、勉強中なんだけど。」
「絶対、わざと間違えているな。お前。」
「は?」
意味不。なんで、わざわざ人の名前を間違える奴なんてよっぽどのバカだ。
あれ?私は……
いやいや、さすがの私もそこまでバカじゃ無いはず。
「「はぁ」」
私たちは同時にため息を吐いた。
私たちって英語で何だっけ?まあいいか。
「「なんか疲れた。」」
「「さっきから、何で真似するの。」」
うわ、またぴったり息があった。最悪。
「どうした。お前ら仲よさそうだな。」
あっ。質問しようとして呼んでた数学の先生だ。遅え。
「「No」」
また、ぴったりだった。
「そんなに仲がいいなら、佐藤。見てやれ。」
「加藤です。」
江藤くんはそう言ったが、先生は聞く耳持たず。廊下を歩いて行った。
「「ああ〜、もう嫌。」」
しばらく、沈黙が流れた。
「英語……だよな。」
「違うよ。数学。」
「……でも、なんかさっき何語って。」
「……でも、来たの数学の先生だったでしょ。」
「……うん。」
すごくぎこちない会話になった。
なぜだろう。先生に何かされたのかな。何か苦しい。
「良いよ。見てやるよ。」
顔が赤くなった遠藤くんが言った。
そんなに自分を自慢したいか。ナルシめ。自分が分かるからって偉そうに。
「良いよ。自分で出来るから。」
「じゃあ、何で残ってんだよ。」
「それは、あれだよ。えーと、家じゃあれなの。えーと、何て言うのかな。うーん。」
「じゃあ、見てやる。家で集中できない奴は赤点確定だから。」
「……うん。」
結局、見てもらうことになった。
「えっと、ここがxだからさ。ここがy?」
「違う。ここに代入すれば、計算が楽になるだろ。」
「へ?」
「だーかーらー。」
数学が全くもってわからない私は、なんども加藤に怒られた。
でも、加藤は笑っていたし、ため息をつかなかった気がする。私の独りよがりかな。
「違う。」
「え〜。」
「そこ。」
「何で?」
「だーかーらー。」
「意味不」
私の数学のノートは、私の癖字と加藤の赤い雑な字で一杯になった。
「疲れたな。……めぐみ。」
「……うん。」
「じゃあ、もうこんな時間だし……」
「出来れば、明日もお願い……出来るかな。」
もう、時計は6時を指して部活帰りのリア充どもとカラスが夕焼けに染まっている。
「お前、最初の時よりも素直になったな。加藤って呼んでるし。」
「ん?」
「可愛くなった。好きだよ。」
「……え?ええっ。マジすか。」
「付き合って下さい。」
「えーっと、そこがXだから。こっちが加藤?」
だめだ。私、完全にテンパっている。落ち着け。落ち着け。落ち着いて今の状況を整理して。
その上で、方程式を……って違う。
数学じゃねええぇ。
だめだ〜。もはや、状況の整理も出来ねええぇ。このままじゃ方程式が立てられない。
「返事は?」
「ごめんなさい。じゃない。あれ……えーと。よっ喜んで。」
やばっ、一瞬間違えるかと思った。加藤の顔が一瞬引きつってたよ。
「っしゃあああぁぁぁぁぁぁぁああああ」
「ふぎゃあ!」
びっくりした。加藤がいきなり抱きついてきた。
「大好き。」
「へにゃあ」
私もテンパっているが、加藤はもっと、変なテンションだ。
気づくとまさかのお姫様抱っこまでされていた。
さすがに重いのかすぐに降ろされたけど。
「さすが、めぐみ。半日でここまで仲が進展するとはさすがに思ってなかったけど。」
「私もまさか告られるなんちぇ。」
あれ、うまく話せない。ん?顔近っ!!キスされてる?私、学校で?私のファーストキス消えたああぁぁぁぁああ
「お前ら、下校……時間過ぎ……て」
ドアが勢いよく開いた。
「「……」」
「お取り込み……中の様なので……とにかく……早く帰……れよ。」
バタンという音がして扉は閉じられた。
まさかこのタイミングで先生が入って来るのはビビった。後で口止め金払っとこう。
「「・・・」」
「あっあのさ。週末、カラオケ行かね。」
「良いよ。私どっちも空いてるし。」
急なデートのお誘い。私、こういうの初めてなんだよね。男子と二人。
「じゃあ、土曜にしよう」
「うっ、うん」
「エヘヘへ」
「アハハハ」
空とあと色々がもう真っ赤に染まっていた。
あはは。疲れました。
ここまでのリア充を書くのは精神的に
最後までお読みいただきありがとうございます。




