表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

最後、瞳に映したのは

作者: 七薫

 近藤さんという光を失ってから、ついにこんなところまで来ちまった。

しかし大鳥さんと、俺たちの国、蝦夷共和国を作り上げようと誓い合ったからにはこの戦、負けるわけにはいかない。

 まだ俺にはやらねばならないことがある。


「我この柵にありて、退く者を斬る!」


先に散っていったやつらの分も、残ったコイツらとともに生きようと。

それが俺の勤めだと。


ドンッ



「ぐぁっ・・・・・・」


俺は、銃弾に打たれた。

誰が撃ったものかわわからない。


だが、こんなところで死ぬわけにはいかねえんだよ!!


最後の力を振り絞り、刀を片手に立ち上がった。

"ザシュッ"


「おらおら、そんなもんか!かかってきやがれぇえええ!」


視界がぼやけ、揺れる。

鮮血が、止まることなく流れ続ける。


「き、貴様何者だ!!!」


新政府軍の兵士は、その気迫に怯えていた。


「新撰組、・・・・・・・副長、土方歳三!参る!」


一歩踏み出そうとしたとき、限界がきた。

力が、入らない。



「く・・・・・・そが・・・・・・」


 なあ近藤さん、俺はあんたの役にたっていただろうか。

心を鬼にして、新撰組の前に憚る(はばかる)敵を粛清してきた。

でもあんたは、その度に悔しそうな顔をして拳握りしめてたよなぁ・・・・・・。


心の優しいあんたには、もしかしたらそれが苦だったのかもしれねえ。


でも、あんたを武士にするためだったら、俺はなんだってできたんだ。



「綺麗な、そらだな・・・・・・」


 平助も、山南さんも、総司も、近藤さんも、俺がそっちいったらきっともう来たのかって笑うんだろう・・・・・・。

最後に映ったのは、真っ青な空。

それは、試衛館にいたときとかわらないどこまでも続く空。


そっちにいったら、また一緒に盃をかわそう。


また一緒に、日の本の行く末を語り尽くそう。



よしや身は蝦夷が島辺に朽ちぬとも魂は東の君やまもらむ


土方歳三、明治2年5月11日、函館一本木関門にて戦死。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 拝読いたしました。 僕も新撰組をテーマにした作品が好きなので楽しく読ませていただきました。文字数がもっとあれば読みごたえがあって言いように感じました。 今後も面白い作品を書いてください。…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ