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晃兄ちゃんに尋ねてみた

初詣で、神様から『入学のしおり』と書いてある手紙を貰いました。



 一.それが必要な者は、学校へ行くことができる。


 一.春に学校に通い出す事ができる。


 一.秋でも通い出す事が出来る。


 一.希望すれば、夏や冬からでも通い出す事が出来る。




…つまり、いつからでも通い出せるってことですね?



***



家に帰ってから、シロとクロに聞いてみたよ。

「シロ、クロ、学校に行きたい?」


『ピィピィ(学校?)』

とシロ。


そりゃそうだよね、生まれたばかりだもの、知らないよね。

そもそも私も、龍に学校があるなんて考えもしなかったよ。


『キュゥ?(それ、おかーさんも、行くの?)』

とクロ。

クニっと、首を傾げてる。可愛い。クロは癒し系だね。


「シロとクロの学校だから、私は行かないかな~」


『ピィ、ピィピィピィ??(それ、どういうところ? 何しに行くところ?)』


「うーん…勉強じゃないかと思うけど、どういう勉強かは知らないんだよ…」


『・・・』

『・・・』

「・・・・・・・」


話題にするには情報不足、ということだけ分かりました。



***


シロとクロの学校の事で、「あっ」と思ったのは、晃兄ちゃんの事。

晃兄ちゃんの傍には、朱雀の朱音さんがいる。

シロとクロに学校があるなら、きっと、朱音さんにも学校があるはずだよね。


よーし、晃兄ちゃんに突撃だ!


「晃兄ちゃん、晃兄ちゃん!」


「うん? 何?」

晃兄ちゃんは、自室でパソコンしているところでした。


ちなみに、晃兄ちゃんや家族は、私が初詣で神様から『入学のしおり』を貰ったのを知っている。

渡された時、朱音さんがそれに気付いたからだ。

晃兄ちゃんと二人の世界に入っていると思っていたのに気付いていたのは、朱音さんが朱雀だからなのかも。

とはいえ、朱雀がどういう生き物なのかよく知らないけど。


というわけで、単刀直入に質問をする私。

「シロとクロの行く学校って、どんなところか、知ってる?」


「あー、ごめん、知らないな」

少し済まなさそうに言う晃兄ちゃん。


「朱音さんの学校は、どんなとこなの?」


「行って無いと思うよ」


「えっ、なんで?」


ちなみに、今、この家に朱音さんの姿は無い。

新年始まったところで、いろんなところの上空を飛び回ってるみたい。

仕事というより、遊びっぽいけど。


「うーん、朱音ってたぶん、もう何千年単位で生きてるよ。学校があって行ってたとしても、随分昔の事になるんじゃないかな。少なくとも俺が会ってから、朱音の口から学校について聞いた事が無い」


まさかの朱音さん、推定年齢、ウン千歳とは…。


「呼ぼうか? すぐ来てくれるよ」


う、うん…。

でもその前に、晃兄ちゃんと朱音さんがどういう経緯で出会って今に至ってるのかも気になる…。


***


脱線。

晃兄ちゃんと朱音さんのお話。


我が家は、晃兄ちゃんが小学校に上がるタイミングで、田舎から、ちょっと都会の今の地域に引っ越してきた。


子ども心に田舎を懐かしがってたのか、晃兄ちゃんは原っぱとかがかなり好きだったみたい。

あえて草ぼうぼうの道とか、好きだったそうだ。


小学校二年生の秋、相変わらず草ぼうぼうの河川敷をあえて帰宅ルートに選んで遊びながら帰っていた晃兄ちゃんは、一人の女の子と出会った。


「それが朱音」

と、今はもう社会人4年目突入の晃兄ちゃんは、なんだか懐かしそうに話して聞かせてくれている。


「どうも、俺に一目惚れしてたらしくてさ。

 朱音は、建物より、原っぱとかの上空が好きらしくて、で、俺に気付いた。

 ずっと上空から見てたけど、あの日に、大決心をして、人の姿をとって俺に会いにきた、と言ってる。可愛いよね」


「へー」

と、私。


「朱音が可愛いから集まってくる人も何人かいて、結構大勢で遊んだなぁ、あの頃」


「ふぅん」

しかしここで疑問がある。

小学校二年生から朱音さんは現れていて、友達たちとも一緒に遊んだと言うのに、どうして私は知らなかったの!


「いや、あの頃、佳世はまだ生まれてないよ。

 継人とは一緒に遊んでたけどね。継人が3歳の時だから、もう覚えていないかもしれないけど」


「でも!」

私は反論した。

「私、生まれてから一度も会った事無いよ!? なんで?」


「んー…実は、継人が朱音的な存在を羨ましがってさ。

 『僕もー!!』って泣くようになったから、姿を隠してもらうことになった。

 で、佳世にも、会わせない事にした。

 佳世も羨ましがりそうだしね」


な、なんか悔しい!!


「あと、基本的に、朱雀の姿の方が普通の状態なんだよ。

 だから、基本的に、家の上空にいたりしてたんだけど、朱雀の姿は、普通人には見えないらしいよ」


「え、そうなの?」


「そうみたいだけどね」

でも、今、家族全員見えるんだよなぁ…、と、晃兄ちゃんはそこは不思議そうに呟いた。

「あまり小さな子の傍に自分が居ると影響が出るかもしれない、力が相当強いから、と、昔に朱音が言ってたんだよなぁ。結局、俺と一緒によくいるし、基本的に家の上空にいたりするから、家族全員影響を受けて見えるようになったのかもしれないな」


あれ?

私は浮かんだ疑問を確認してみた。

「ひょっとして、昨年にシロとクロがいきなり生まれてきたのも、朱音さんの影響?」


晃兄ちゃんは真顔で頷いた。

「可能性は結構、ある。ついでに、今まで佳世が見えてなかったのに、見えるようになったのも、影響のせいかもしれない」


マジかー。


でも、あれ?

そうしたら、この周辺のご近所さんたちとかも、きっとそういう影響あるよね?



まぁ、そこまでは私があれこれ考えなくても、別に良いかぁ。

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