みんなで初詣
家族揃って、初詣に行く事になったよ。
ちなみに、晃兄ちゃんの朱雀(?)の朱音さんは、大きな赤い鳥の姿のまま、
『では、私、先に行って道を整理させていただきますわね』
とか意味不明なことを言って、お空に飛んでいきました。
「新年だから、思いっきり体を動かしてきても良いよ~」
なんて、晃兄ちゃんは空に向かってニコニコ声をかけている。
正直、ちょっと引いた気持ちでその様子を見ていたら、
『オホホホホホホ』
って笑い声とともに、大きな赤い鳥は、ピカッ、と、その姿を大きくした。
やたらデカイ。
少なくとも、我が家よりでかい。
すでに遠くにいるのにどうしてそんなに大きく見えるの!
あっけに取られている私の横で、肩に小さいおっさんを乗っけたままの継人兄ちゃんが、
「オレさー…昔、小学校全部よりデカイサイズの朱音さん見たことあるよ…」
と、なんだかしみじみ言った。
『ギルギル』
小さいおっさんが、なんだか一緒に頷いてた。
***
なんだか異様な速さで、神社に到着しました。
絶対混んでいるはずなのに、なぜだか、私たちの進む道だけスルスル進んだりするんだよね…。
朱音さんが関わっているのに間違いないよね。
あ、ちなみに、勿論、シロとクロも一緒です。
二匹揃って、ワクワクしています。
はぐれないように気をつけてね…って、気をつけてあげるのは『おかーさん』の私だよね。
でも、さすがに神社はたくさんの人ごみです。
いつの間にか、晃兄ちゃんの傍に、今度は赤い着物着た朱音さんが居たりする。
うーん、すごく気になる!!
「ねぇねぇ、パパ、ママ、継人兄ちゃん・・・」
たまらず私は少し先を行く二人には気付かれない音量で聞いてみた。
「朱音さんって、誰にでも見えてるの?」
「知らない」
3人揃って、笑顔で答えが返ってきました。
うん、さすが、私の家族…。細かい事、キニシナイ。
***
うーん、シロとクロも、色んな人に見えてるのかなぁ。
「あ、龍よ、ちっちゃいわね~」
とか、実は小さくコソっとそこらで言われている気がする。
気のせい? 気にしすぎ?
っていうか、皆が実は見えているの? わかんない~!!
・・・とか考えていたら、
「よぉ~」
「よぉ~!」
継人兄ちゃん、お友達に遭遇。
あ。マジで、お友達にもちっさいおっさん乗ってる。
おっさん会議が始まりました。
***
お友達とおしゃべりしてる継人兄ちゃんとは、別行動になりました。
私たちは神社の本殿について、パンパン、とお参り。
龍や朱雀やちっさいおっさんが本当にいるなら、神様だって本当にいるんだよね。
気合を入れてお参りしたよ!!
受験生ですから!!
『ピ』
ん? どうしたの、シロ?
『キュ~』
え・・・?
シロとクロ、両方とも、フラフラ~っと本殿の中に泳いでいったよ。
えっ、大丈夫なのかな・・・? 大丈夫だよね・・・?
びっくりしてドキドキ見守ってたら、
『ピッピー(おやつ貰った~)』
『キュ~(撫でてもらった~)』
二匹とも嬉しそうにかえって来ました。
うわぁ、ドキドキする・・・。
***
「シロとクロ、神様に会ってきたの・・・?」
『ピィピィ(うん、多分)』
『キュゥ、キュゥキュゥ~(“学校にまだ行ってないんか~”って、言われたよ)』
・・・へ? 学校?
・・・誰の? 私の? でも高校行ってるし・・・。
キョトーン、としている私のすぐ傍で、
「晃様と今年もずっと一緒にいれますようにっ」
「あはは、いつも一緒にいるじゃないか、朱音」
とか言ってるバカップルが居ました。
よくわかんないけど、晃兄ちゃんは大丈夫なんでしょうか。
***
もし朱音さんが皆に見えてなかったら、晃兄ちゃん、相当変な人になっちゃってる気が…。
「朱音さんが、皆に見えていますように…」
追加でそっと、神様にお願いしてみました。。。
トントン
ん? 誰かが私の肩をたたいたよ。
叩かれた右側を振り返ってみると、こんな神社に、スーツをビシっと着て、サングラスかけてるオニイサンが私のすぐ傍に居ました。
「こちら、神様からお渡しモノです」
へ?
受け取ったのは、筆で書いたような、縦書きの手紙。
か、神様からお手紙・・・!!
達筆すぎて読めないのか!?
いや、どう見たって、『入学のしおり』とか書いてあるー!!!?