クロが食べたもの
クロがお腹を空かしているのに何を食べるのか見つけられなくて、クロはどんどんしょんぼりしてしまった。
『キュゥ・・・』
小さく鳴きながら、部屋の隅っこで、壁に向かって小さくなっちゃった。
あぁ~!!
可愛い~!!!
いやそうじゃなくて、本当にどうしよう~!?
「ク、クロ、何が食べたいとか、教えて!?」
『・・・』
わぁ、無言だよぅ。
どうしよう、どうしよう。このまま本当に見つけられなかったら…。
ダメだ、とにかく探さなきゃ、見つけなきゃ!!
『…ピィ』
湯気を食べ終えたシロが、こっちの様子に気付いて、困ったように私とクロの様子を交互に見つめ始めた。
「シロ、クロが何食べるのか、知らない?」
『…ピィ…(訳:ごめん、わかんない)』
「ヒントない、ヒント!?」
『ピィ(訳:私に聞かれてもなぁ)』
パリ
「・・・ん?」
『ピ?』
今、部屋の隅っこから、音がしたよね?
見ると、クロが、まだこっちに背中を向けつつ、何かをはむはむ反芻しているのが分かった。
あれ? クロが、何か食べたよ。
…なんだろう? 食べるものが見つかったのは、本当に良かったけど。
『…ピィ…(訳:クロ、何か、黒いもの、食べた)』
「……」
部屋の隅。黒いもの。それはまさか。まさかあの虫じゃないですよね? ねぇ、クロさん。
もし当たってたら相当嫌だけど、はっきりさせないのも嫌だ。
お願い、違うと言って。直接聞くのが怖いから、先にシロに聞いてみる。
「シロ、クロが食べたのは、まさか黒い虫ですか?」
びびったので敬語です。
『ピーピィ(訳:ううん、虫じゃなかった)』
それは良かった! 良かったよ!!
「じゃあ、何?」
『ピィ…(訳:…うーん…黒いもの?)』
わかんないかー、じゃあ、クロに直接聞いてみよう。
虫じゃないと分かった事だしね!!
「クロ、ご飯見つかってよかったね」
『キュウ♪』
はむはむ。
クロは一気に元気が出たみたい。
今度は何かに気付いたように、上昇し出した。
ピキリ
『ピィ(訳:あ、また黒いの食べた)』
「あれ? 何食べてるのかな?」
クロは、天井の角で、何かを食べてるんだけど。何を食べているのかさっぱり分からない。
『ピィ(訳:クロ、今度は、歪を食べた)』
「ひずみ?」
『ピィ、ピィピィピィ(訳:クロが食べた後、キレイになった)』
「キレイに? 何が?」
『ピィピィ(訳:空気)』
「空気?」
あれ? まさか龍だから、風水的な何かの、良くない何かを食べちゃうんだろうか?
だとしたらクロって、すごくない?
あれ、でもそんなの食べて、クロは大丈夫なのかな?
とはいえ、すごく嬉しそうに食べてるけど…。
『キュウ~♪(訳:お腹、いっぱい~♪)』
クロが私たちのところに降りてきました。ものすごくポワポワして幸せそうです。
一応、聞いてみよう。
「クロは、何を食べたの?」
『キュゥ? (訳:えっと…?)』
わかんないらしいです。まぁ良いかぁ…。
「クロは、お腹空いたら、自分で見つけて食べに行ってね?」
『キュッ☆ (訳:はーい!)』
わぁ、返事可愛い。
とにかく判明。
シロの食べ物:白い湯気
クロの食べ物:黒いなにか
クロちゃんの食べ物、怪しすぎです。