送れるらしい
シロのお弁当箱は大丈夫。
クロはどうしよう?
考えたけど、そもそもクロが何を食べているのかイマイチ掴み切れていない事もあって、さっぱり分からない。
お昼休みになって、皆もたくさんアイデアをくれたけど、全部うまくいかない。
うーん、困ったなぁ・・・。
ちなみに、シロはちょっとそんな私たちを心配そうに見ててるんだけど、
クロは自分に関係する事だと言うのにさっぱり気にせず、斎藤君の連れる山犬・ケンタロウとじゃれ合ったりしてる。黒いモノ同士、気が合うのかな?
とにかく、本当にさっぱり分からなくて、
いつも何でも答えてくれる学級委員長・高橋さんを捕まえた。
「うーん・・・ごめんなさい、私にはよく分からないわ」
た、高橋さんにも分からない事があるのー!!? が、がーん・・・。
じゃあ、最後の頼みの綱、『精霊の声が聞こえる』という西野さんだ!
西野さんに聞いてみよう!
うん、身近に、こういう相談できる人がいて本当に良かったよね!!
すると、西野さんはちょっと戸惑ったように、こう答えてくれた。
「あの、三村さんの、お兄さん・・・『上のお兄さん』って、言ってるんだけど、『お兄さんに聞くといい』って、言ってる・・・」
「え、それって、晃兄ちゃん、だよね?」
「ちょっとまって・・・・うん、そう、『そうです』って、精霊が、言ってる」
「お兄さんに、メールしてみたら?」
と山田さん。
そこで、私はお昼休み終わるぐらいの時間に、晃兄ちゃんにメールした。
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シロとクロが明日からシロとクロの学校に行くんだけど、お弁当がいるって手紙貰った。
クロのお弁当ってどうしたら良いのか知ってたら教えて~!!
お弁当箱なにかも分かんない。
助けてー!!
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晃兄ちゃん、最近忙しいからなぁ…。
とにかく間に合うように返事がきますように。
***
・・・・・・・・困った。
返事がなーい!!
うぉおおぅ。
すでに帰宅して晩ごはんも食べてすっかり夜も更けたのに、晃兄ちゃんから返事がなーい!!
ちなみにそんな私の心配をよそに、
『ピィッピィッピィッ♪(がっこうっ~明日は学校~っ♪)』
『キュゥ~キュゥキュゥ~(がっこう~がっこう~がっこ~う~)』
超テンション高いシロとクロ。
うん、こっそり学校ごっこするぐらい、自分の学校にいきたかったんだもんね・・・。ホロリ(涙)
で、おかーさんは、キミたちに持たせるお弁当の事が頭から離れないよ・・・トホホ。
「もうっ! 晃兄ちゃんに電話してやれー!」
夜遅いし、逆に電話にだってでれるでしょ!
私は絶賛出張中の晃兄ちゃんの携帯に電話をかけた。
“あ、ごめんごめん、お弁当箱? さっき作ったからさ、メールで送る”
「・・・へ?」
晃兄ちゃんは、電話に出た瞬間、私が何も言う間もなく、先に返事をして切ってしまいました。
ど、どういう事。
晃兄ちゃん!! なんだそれ! なんだこれ! メール!?
あまりの対応っぷりに思考停止して携帯電話を見つめてたら、メールの着信音がした。
・・・晃兄ちゃんだ。
『ピィ?』
『キュッキュ~♪』
開いてみたら、晃兄ちゃんには珍しく、携帯の絵文字が入ってた。なぜか富士山。なぜ富士山?
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お弁当箱、朱音に聞いて、作って添付します。
とりあえず明日の1回分。
<富士山>←ここから、お弁当箱引っ張り出すイメージで出してご覧。
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「・・・・意味がわかんない」
私がメール画面見て固まっていると、着信があった。
「意味わかんない!」
私は開口一番、晃兄ちゃんにそう言った。
“うん、言うと思った”
と晃兄ちゃん。
うわぁ、なんか腹立つー!!
“今からやり方言うから、やってみて、ダメだったらメールして”
晃兄ちゃんはそう言って、
“富士山の絵文字のところ、あれは『扉』または『何か入っている箱』だと思って。
その奥にお弁当箱があるから、それをちょっとひっぱり出すつもりで。ちょっと手でつまんで持ってみる。じゃあね。
シロとクロ、学校がんばれって言っといて~”
切れた。
がーん・・・。晃兄ちゃん、そんなにご多忙なのですか?
一体何やってるの・・・? いや、仕事だろうけど…。
とにかく私はもう一度メール画面を見た。
「なんかねぇ、シロ、クロ」
『ピ?(?)』
『キュゥ?(なに~?)』
「ここにね、クロのお弁当箱が入ってるんだって」
『ピィ~…(へー…)』
『キュッキュー!! ♪♪♪(お弁当箱ー!!クロのー!!!っ!)』
「ここから引っ張り出すってどうすれば良いの…?
えーと」
『ピィ…(うん…)』
『キュゥ! キュッ!!(ワクワク! ワクワクワク!)』
心配そうに私の手と携帯画面を見つめるシロ。
絶賛ワクワク中のクロ。
私は、富士山の絵文字のところを指でつまんでみて、「えーと、クロのお弁当箱、えい」なんて言いながら、引っ張るような動きをした。
コロン。
「わぁ!! マジで出てきた!!!」
『ピィ(おぉお)』
『キュッキュ~♪(美味しそ~♪)』
携帯画面の富士山のアイコンのところから、丸い小さい真珠みたいなものが出てきた!!
「えっ、これがお弁当箱なの? え、お弁当そのもの・・・?」
マジマジとそれを見てから、携帯画面を見る。
・・・あれ? 『とりあえず明日の1回分』とか書いてある。
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真珠みたいなの出てきた!
これお弁当箱? それともお弁当そのもの?
箱なら食べ物どうやって入れたら良いの?
あと、これ使い捨てなの?
明後日からの分はどうしたら良いの?
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電話が鳴った。
“うん、よかった、それがお弁当『箱』。クロが食べるものがありそうなところに置いとけば良い。
明日の朝には中に食べるもの溜まるハズだからそのまま持たせてあげて。
で、1回使い捨て。強度がそんなに無いからね。
作り方また教えるから。朱音が教えに行くかもだけど・・・朱音が忙しいからなぁ。
まぁそこは安心して”
「う、うん」
“じゃ、問題解決? おやすみ。
あ、佳世、そういや今週が受験日だっけ? がんばれよ”
「いや、来週だよ」
“そっか。幸運を祈る!
・・・じゃーおやすみー”
「・・・おやすみなさい・・・」
なんだろう、この負けた感じ・・・。
いや、過去、晃兄ちゃんに勝ったことなど無い気はしてる。
(そして継人兄ちゃんには結構勝ってる気もしてる)
・・・まぁいいや。
ありがとう、晃兄ちゃん…。
仕事、ちょっと落ち着けばいいね…。
「クロ。良かったね、お弁当箱、晃兄ちゃんから貰ったよ」
『キュゥ~♪(やったー♪)』
『ピィ、ピィ♪(よかった、よかった)』
「クロの食べ物があるあたりに、これ置いといてね。明日学校に行くときに、忘れずに持っていってね」
『キュ~♪(はーい)』
『ピィ、ピィ』
と、シロにじっと見つめられて呼ばれました。
? どうした?
『ピィ、ピィピィピィ? (おかーさん、私のお弁当箱、作ってくれるんだよね?』
あ。そうだった。
そこで、小さい時に溜めてた可愛い折り紙を出してきて、シロと(ついでにクロも)絵柄を選んで、シロのお弁当箱を作ってあげました。
『ピィピィ♪』
『キュゥッ!!』
二匹ともすごく嬉しそう。
自分が小学校に行く時もこんなのだったのかな、と思ったよ。
そうだ、私は小学校行くとき、まだ行く時間にならないのに、ずっと早くからランドセル背負ってさ。
ママに「そんなにはしゃいで、行く時に疲れるわよ」って言われたけど、私は「はしゃいでないもん、普通だもん」ってそう思ったし、そう答えたんだ。
案の定、行く時間が来た時には、重いランドセルで疲れちゃったんだけどね。
今なら分かる。あれは浮かれてたんだ。ランドセルが嬉しくて、それ背負って学校にいけるってすごく楽しみだった。
「ふ~ん」
わくわくする二匹をみて、私はやっぱり幸せになったよ。
良かった、シロ、クロ、学校に行けるの、楽しみなんだね。
良かった、「おかーさん」の私、ちゃんと、シロとクロにお弁当を持たせてあげられる。
よかったぁ。
「シロ、クロ、明日は学校なんだし、今日は早く寝ちゃったら?」
『ピィー!』
『キュッ!』
よかったねぇ、シロとクロ。
うーん、学校に行くって、こんな気持ちだったんだなぁ、って、
なんか、
絶賛受験勉強中(そして来週試験)の私はなんかちょっと考えちゃった。
学校に行くの、楽しみにする気持ち、今はどこに行っちゃったんだろうな。




