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シロのお弁当箱

『お弁当箱』について、皆も授業中にも色々考えてくれたみたい。


授業と授業の間の10分休憩の時に、席が近い碧ちゃんが速攻私のところにやってきた。

「ねぇねぇ、これ、どう?」


見ると、ルーズリーフの切れっぱしを折り紙代わりに、ちっちゃい箱が作ってある。


「気になって~、机の下で作ったの! ほら、浦島太郎の玉手箱のイメージで。あれ、煙がはいってたし、いけるんじゃないかな♪」


・・・いけるかなぁ?


「えーと、ありがとう」


うん、シロとクロに確認してみよう!


***


そういえば、前、シロやクロがシャーペン持とうとして、持ちあげられなかったんだ。

どうも、『モノには触れるけど、動かせない』みたい。



シロとクロの前に、碧ちゃんが作ってくれたちっちゃい『玉手箱』を置いて。

「どう? シロ、クロ、これに煙とかいれて、持って行けるかな?」

と聞いた直後にそれを思いだしたよ。


あ、やっぱりムリか。


と思ったのに、見守る私や碧ちゃん、集まってきた結意ちゃんたちの前で、

シロは

『ピ(えい)』って、その小箱を持ちあげようとした。


スルッ


「あ」

私は目を疑った。


シロは、碧ちゃんの小箱は持てなかったけど。

そのちっちゃい両手の中に、碧ちゃんの小箱そっくりな透明な箱をもってたんだ。


『ピィ~(持てたよ)』


わぁ~、その仕草、可愛いね! シロ!


そして良かった、お弁当箱!!


***


もしかして、『シロとクロのために』って作ったものだから、シロは『実物は持てなかったけど透明な箱をとりだせて、手に持つことができた』のかな??


とにかく、良かった!


「碧ちゃん、有難う! シロ、持てたみたい。なんか、コピーしたみたいに、手に透明な箱持ってるよ」


「そうなの!? やった! 授業中頑張ったかいがあるよ!!」


七海ちゃんが、「へー、すごい~」て微笑んで、碧ちゃんの小箱をちょっとつついた。


ら、

箱がペシャン☆

て壊れました。


「あ」

「あ」

「きゃぁ! ごめんね、ごめんね!」

「あ~あ、七海ちゃんが潰した~」


「えっ、ごめんね、だって、そんなに力こめてないのに、ごめんね!」


「中身をシロがとったから、とかじゃない?」

見えないはずの米倉さんが私たちの会話を聞いてて言った。


「へ?」と私。

「あぁー、納得」なんて唯意ちゃん。

「そうなの?」と碧ちゃん。

「ごめんね、ほんっとうにごめんね」とは七海ちゃん。


「か、解説を! 誰か分かる人ー!!」


見まわしたけど、『ものすごく分かる人』(高橋さんとか、西野さんとか)は教室にいなかったり、次の授業の予習かなにかしてるみたいでちょっと無理そう。


ちゃんと分かる人がいないので、米倉さんが思うところを言った。

「ウチのお婆ちゃんがね、

 仏壇とかに、りんごとかお供えするでしょ。

 ご先祖様はちゃんと食べてるんだって昔に言ってたの。

 見た目は分からないけど、『気』を食べてるんだって。

 だから、お供えした後のりんごは、『気』が抜けてておいしくないって話」


「へ~・・・」


「で、だからね、その理屈で、その箱の何かをシロが取りだしたから、箱自体は『気が抜け』て? 壊れやすくなった・・・とか? どう思う?」



どう思う、と聞かれても、

ここには今、答えをはっきりくれる、高橋学級委員長や西野さんはいないのデス。


だから

ここにいる皆で、

「うん、それで良いと思う。そう思う。そうしよう」


米倉さん案を採用して納得しました。


うんうん。


***


さて、まだまだお昼の時間には早いけど、

魔法瓶からシロに湯気をあげて実験してみると、

シロが手にした小箱はちゃんとお弁当箱として使えると分かりました。


「良かった~!! ありがとうね、碧ちゃん!」

「良かった~! じゃあクロの分も作るねっ!」

「クロって、黒い何かを食べるんでしょ・・??」

「うん、私もよく分からないけど、風水的に良くないものっぽいもの食べるみたい・・・?」


「そうだよね…。ねぇ、クロにも、その箱が使えるか実験した方がよくない?」

とは結意ちゃん。


あれれ? そう?


「シロ、その煙、今食べてくれる? で、空いた箱をクロに渡してあげて」

『ピィ(うん)』


シロは、パカっとその透明な小箱を開けた。

ほわほわ~ん、と、ちょっと透明チックな湯気をワクワクしながら食べるシロ。


シロからの小箱を手に持つのは、クロ。

『キュゥ?(???)』


なんだか、すごく不思議そうにしている。


あれ~? 箱として認識してないの、クロちゃん?


クロは首を傾げてじっと小箱を見詰めた後、

ガジッ

と、透明な小箱をかじった。


「・・・・」


・・・おや?


****


どうやら、碧ちゃんが作った小箱は、

『煙を入れた玉手箱』をイメージして作ったから、

シロには有効だけど、違うものを食べるクロには通用しない…みたい?


クロには別のが必要だねぇ、という話になり。


そして、碧ちゃんの小箱はクロがかじって穴を開けちゃった。


わぁ、せっかく作ってくれたのに。


と、ちょっと焦った私の傍で、シロの方が冷静だった。


『ピィ~、ピィ、ピィピィピィ?(おかーさんが、お弁当箱、また作ってくれるんだよね?)』


・・・・。


そっか。そだよね。私が作ればいいんだよね。

「うん」


『ピィ~♪』

私の返事に、シロはものすごく上機嫌になって、ピィピィ鳴きながら教室上空をしばらくくるくる回ってた。


「お~、よかったな~、シロ~」

あまりのはしゃぎっぷりだったから、離れたところにいた久本くん(分かる人で、ドラゴン好き)が、シロに向かって声をかけた。





そんなに嬉しいんだ、って、私はちょっと不思議に思った。


でも、クルクル回るシロの様子に、

自分が小さかった時の事とか思い出して、

それで、

おかーさんに作ってもらえるっていうのが、シロには本当にうれしいんだなって、気付き直した。


そっかぁ。


シロはしっかりものでどっちかっていうと冷静な子だけど、

やっぱりそういうの嬉しいんだなぁ。


そっかぁ。


ツンデレ? ツンデレ??? 

まぁとにかく、やっぱりすごく可愛い。



シロ、

すっごい可愛い折り紙とかで、お弁当箱作ってあげるからね。

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