神様にも予定がある
『明日の午後、神社に行って神様にシロとクロの入学をお願いする!』
と約束した日の夜。
夢に、神様が登場しました。
光る頭に白い長いオヒゲの、曲がった杖持ったおじいちゃん。
おぅ、三村佳世ちゃんや。
と、神様は言いました。
夢の中で、私はびっくり!
か、神様だー!!(でもなんか、ゆるいマンガの『神様』って姿そのものなんだけど!)
ドキドキする私の前で、白金色に輝くおじいちゃん神様は言いました。
ワシな、午後はの、用事があって忙しいんじゃ。
来るなら今日の朝においで~。
えっ・・・。
そういって去って行くおじいちゃん神様。
神様の傍についてた小さな子どもみたいな人(頭の上で髪の毛くくってて、もんぺ(?)みたいな紺色の着物着てる)が、去る神様の後に続こうとしながら、
ちょっと申し訳無さそうに私を振り返ってペコっと頭を下げてこう教えてくれた。
すみません、主様、本日の午後はヒコネノミコトさまと酒盛りされるので、それで・・・。
・・・・・えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!
用事って、酒盛りなの!?
私の心の、盛大な突っ込みをものともせず、夢の中のおじいちゃん神様と子どもさんは去っていったのでした。
***
翌朝、携帯の、メール着信音に起こされる形で目が覚めました。
「・・・」
なんだか、いつもより早い時間に目が覚めちゃったみたい。
誰? こんな朝早くにメールしてくるのはぁ・・・。
シロとクロは今日はとっても早起きみたいで、
『ピィ!(あっ、起きた!)』
『キュゥ~キュゥキュゥ~(おかーさん、おはよー)』
って声をかけてきてくれる。
「・・・・おはよー・・・シロ、クロ・・・」
まだちょっとボーっとしながら、私は挨拶を返した。
あぁ、なんか、神様に『来るなら朝に来て』って言われた夢なんて見ちゃったなぁ・・・。
えー・・・そんな事言われても困るよー。
今日だって学校があるもん。
学校前に神社なんて行ってられないよ、ちょっと遠いのに・・・。
・・・別に午後でかまわないよねぇ・・・。
うん、だって、どうせ夢だしさ・・・。
うん、夢だもん。
「まだ早いし、もうちょっと寝るー・・・」
私はシロとクロにそう言って。
でも、そういえば何のメールだと気になって傍に置いてある携帯をたぐりよせて、画面を見た。
メール5件。
「? (なんで?)」
『まだ寝てたらごめんなさい(>_<) でも“今メールしてあげて”と精霊に何度も言われるから送りました。何事ですか? 西野』
(※西野さんは、『声』が聞こえる同じクラスの人。クロの腹痛騒ぎの時に一番に声をあげて助けてくれた!)
『神社には朝に来て欲しいみたいです。以上です。 高橋』
(※高橋さんは、学級委員長。超真面目さんなんだけど、なんか色々分かってる人みたい。でもあまり自分の事を話さない人だから、『めちゃくちゃ分かってるみたい』としか私も分かってない)
『フォローしてって頼まれました。どうしても楽しみにしている宴なんですって。以上です。 高橋』
た、高橋さん、2通目だ…。誰に頼まれたんだろう…。ドキドキ。
『朝にごめん、久本です。初めてメールします。メアドも言われました。メアド違ってたらどうしよう、朝にスミマセン。えーと、三村さんへ。気をつけて急いでね、ってよ。なんのこっちゃ』
久本くんだ。あれ? 本当に、どうして私のメアド知ってるんだろう。
気をつけて急いでね?
どこに?
・・・・・・・。
『おはよう。すぐに伝えてって言われたのでメールしてます。道なんだけど、大通りじゃなくて細い道を選んでくださいってことです。間に合うから安心してってことです。じゃあ学校で!』
最後の5件目(この着信音で目が覚めた)の人、私はアドレス知らない人みたい。
誰だ・・・?
『ピィ、ピピィ?(おかーさん、どうしたの?)』
『キュゥ? (どうしたの?)』
私は、シロとクロを見て、また携帯の画面を見た。
えー・・・・・・・と。
これはやっぱり、神社には朝に行ったほうが良さそうです。
・・・・・えーーーーーーー・・・・(不満ブー)
****
仕方ない! 行くと決めたなら仕方ない!
夢で神様みたのは本当だったんだね!
5通もメールあったら行くしかないよ! 朝に!! 午後じゃなくて朝に!
神様の酒宴のために!
・・・くぅ。なんで酒宴のために・・・。
なんだか割り切れない思いを抱えつつ、でも本当に朝に行くなら急がなくちゃ。
車で10分ほどかかるんだけど、今日は平日。パパも会社があるし絶対送ってもらえない。
でも自転車とか歩いていくほどの時間的余裕は無い。だって学校遅刻になっちゃうよ。
授業はしっかりでとかないと自分的にイヤ! 受験のために少しでも手はちゃんと打っときたいよ。
というわけで、今、私は、継人兄ちゃんのドアをバシバシ叩いてるところです。(鍵かかってて入れない)
「継人兄ちゃんー!! お願いがあるのー!!!」
ベシベシベシベシベシベシ!!
ついでに、蹴ってみる。
ゴッ!!
蹴ったら意外に足にダメージ受けました・・・。イタタ…。蹴るのは止めとこうっと。
私についてきたシロとクロが不思議そうにしてる。
『ピィ? ピィピィ?(おかーさん、何してるの?)』
「あのね、シロ、クロ。神社は、朝に行ったほうが良いみたいなの。
だから、私の学校に行く前に、神社に行くんだけど、時間が無いでしょ?
だから、継人兄ちゃんにバイクで送ってもらおうと思って! 起こしてるの!!」
『ピィ(うん、わかった)』
シロはうなずくと、ドアの鍵穴からスルっと扉の向こう側、継人兄ちゃんの部屋に入っていってしまった。
えっ。
『キュ~♪(わぁ、そこから入れるんだ~♪』
クロは残りつつも、鍵穴をみてワクワクしてる。
なんだかすごいなぁ、と感心してみてたら、また鍵穴からにゅっとシロが顔を出して、戻ってきた。
『ピィ、ピィピィピィ・・・(イヤだ、起きない、送らない、寝るって、言ってる・・・)』
「えー!? 継人兄ちゃん~!! お願い、起きてー!!」
バシバシバシ。とドアを叩く私。
手の平も大分痛い。
シロがまた、スルっと鍵穴から向こうに行った。そしてまたニュっと帰ってくる。
『ピィ・・・(ダメって言って、起きないよ・・・)』
「継人兄ちゃん~!! お願い、頼みは継人兄ちゃんだけなんだよー!!」
晃兄ちゃんは最近出張ばっかりで家にも居ないし!
ママは車運転しないし!
「ん?」
ふと気付くと、ドアの下の隙間から、よいしょ、よいしょ、とちっさいおっさんが姿を現した。
「あ、おはよー・・・お願いが・・・」
と私が言いかけるのを、
ちっさいおっさんは首を横にふって私の言葉を止める。
それから私の足をのぼってきて、ドアのノブにぴょんっと飛び移り、どこからか工具セットみたいなのを取り出してドアの鍵穴を触りだした。
「・・・・。何やってるの?」
またしても首を横にふるちっさいおっさん。
え、もしかして、鍵を開けてくれるんだろうか?
ちょっとワクワクと期待しちゃった私。
ちっさいおっさんは、ちょこちょことドアの鍵穴の周りを動いた後、ドアノブに座って
『ふぃ~』って言うみたいに額をぬぐい、
それから私とシロとクロを見てそれからドアを見て、うんうん満足そうに頷いた。
それからまたエイっと私の足に飛びついて廊下に滑り降りたちっさいおっさんは、またドアの下の隙間からエイエイともぐるようにドアの向こうに姿を消した。
「・・・?」
よくわかんないながら、きっとカギを開けてくれたんだろう・・・と思って私はドアノブを握った。
ガチッ!
開いてなかった。
えぇー…。
シロがするりっと私のもつドアノブに近寄ってきて、
『ピ(あ)』
と声をあげた。
『ピィ、ピィピィ~(行けないように、途中に網を張られちゃった~)』
な、なんと・・・!!
さすがちっさいおっさん、継人兄ちゃんの味方なのね!!
じゃあ、さっきちっさいおっさんが通ってきたドアの下の隙間はどうなの!?
とバッと同時ぐらいのタイミングで、ドアの下を見た私とシロ。
クロが先にそこにはいてて、
『キュゥ? (どうやってここ、抜けていったのかなぁ・・・?)』
クニっと首をかしげて不思議そうにしていました。




