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シロとクロをのぞき見た

ある日。


お風呂からあがって自分の部屋に戻ろうとしてみると、いつも継人兄ちゃんの肩の上に乗っている「ちっさいおっさん」が、なぜか私の部屋の前、扉のすきまからそっと部屋の中を伺っているのを目撃。


・・・何やってるの、ちっさいおっさん・・・?


のぞきですか・・・?



***



私にジト目で見られている事に気付いた「ちっさいおっさん」。

(ちなみに、継人兄ちゃんによると「ギルバート」って名前だそうです)


はうぁっ!!


って大げさと思える身ぶりで驚いて、慌てまくった後、両手を口に当てて、うんうん、と、私に頷いて見せる。


・・・・?


そして、両手に口を当てたまま、また扉の隙間からそっと私の部屋の中を伺う。


・・・・。


そして、またチラっと私を見る。


・・・・?


そして、両手に口を当てたまま、また、うんうん、と私に頷いて見せる。




・・・。どうやら私にも覗く事をオススメしている様子です。



でも自分の部屋なんだけどな・・・。



***



オススメされたまま、自分の部屋をそっと覗くと、

あれ、シロとクロが中にいたよ。


台所でご飯食べて遊んでると思ってたけど、部屋に戻ってたんだね。



『ピィ、ピィピィピィ(WWFは何の略でしょう? クロさん?』


『キュゥ、キュゥキュウ(えっと、ダルダルフルーツです)』


『ピッピー、ピピピピィ(ブッブー。違いますね)』


『キュウ?』

クニっと首を傾げて考えるクロ。

か、可愛い。


『ピィピィ、ピィピィピィ(ヒントー、白と黒の動物がマークのところです)』


『キュッ! キュゥキュゥキュゥ!! (そっか! お友達のところだね!)』


んんん?

シロとクロは一体何の話をしてるのかしら・・・。


『ピィピィ(うん、そうです)』


『キュッキュー!(やったー、当たりだ~)』


『ピィピィ』

うんうんと、頷くシロ。

喜ぶクロ。



んんん???


シロとクロ、何やってるの・・・?



****



「可哀そうに・・・・」


すぐ傍に継人兄ちゃんがいてて、私はビクっと驚いた。


あ、ちっさいおっさん、継人兄ちゃんの肩に戻ってるー。


そして、継人兄ちゃんとちっさいおっさん二人揃って、浮かんだ涙をそっとぬぐった。


「佳世、お前さ、シロとクロ、もうちょっと構ってやれよ・・・受験の追い込みは知ってるけどさ・・・(涙)」

『グルッグー・・・(涙)』


えぇえええぇえと・・・。


「ちびっこたち、時々、お前の邪魔にならないように、学校ごっこやってるぞ・・・」

『ギルギル・・・(涙)』


え・・・・。


そして継人兄ちゃんとちっさいおっさんは、そっと扉から私の部屋の中を覗き、またうるっと涙した。


ちょっとー・・・えっとー・・・。



****



もう一度覗いてみる。


『ピピィピィピィ~(じゃあ、次は教科書の333ページ~)』

『キュッ!(はーい!)』


ぶ、分厚い教科書だね~。


『ピピピィピィピィピィ(ハギャルジャヤヤッピィィー)』

『キュキュキュウキュゥキュゥキュゥ(ハギャルジャヤヤッピィィー)』


・・・・!?


『ピィピッ、ピピルピィー(ウギャオイウオイバー)』

『キュキュッ、キュルキューウ(ウギャオイウオイバー)』


えっ、何何!? 何言ってるの!?

なに、何言ってんのかわかんない!!


「安心しろ、佳世」

うんうん、とまた涙をそっとぬぐう継人兄ちゃんとちっさいおっさん。(涙もろい?)


ホロリ、とまた涙をこぼしながら継人兄ちゃんは私に教えてくれた。

「あれは、英語の授業のマネだ」


えっ。



シロとクロは英語がわかんないらしい。

だけどマネして、意味不明な言葉を先生と生徒で練習している・・・と判明。


えーと・・・・。

シロ・・・

クロ・・・?


「ちびっこたちさぁ、学校に行きたいんだよ」

『ギルギル』


え・・・。


****


「シロー!! クロー!!」


『ピィッ!!?』

『キュゥッ!!?』


私はガバァっと小さな白い龍と黒い龍を握りつぶさない程度に両手に掴んだ。


「わーん、ごめんね、学校に行きたかったのにずっと我慢してたんだねー!! 忙しくてかまってあげなくてごめんねー!!」


『ピ、ピピピィ(お、おかーさん・・・)』

『キュゥー!(おかーさん、どうしたのー!!)』


「継人兄ちゃんとちっちゃいおっさんに聞いたよー、学校行きたいけどガマンした方が良いよねって相談したんだよね、ごめんねーガマンさせてー!!」


どうやらシロとクロは、私と一緒に高校に行くようになってから、『神様に教えてもらった自分たちの学校にも行ってみたいなぁ』ってどんどん思うようになってたんだって。


でも、私が今受験勉強で殺気すら放っているのを感じていたシロとクロは、私の邪魔をしちゃダメだよねってずっと言えずにガマンして、で、こっそり私の高校で見た授業のマネをして遊んでいたりしたらしい。


そりゃまぁ、受験は一大事なんだけどさ、今本当に!!


でも、だからってシロとクロの『学校行ってみたいなぁ』っていうのに気付かなかった自分も悲しい。


ていうか、本当になんて健気な良い子たちなの、シロとクロ!


「明日、午後から神社に行こう、シロ、クロ!! 明日、午後は空いてるんだよ。で、神様に、シロとクロを入学させて欲しいですって、お願いするね」


『ピィッ!! (ホント!? おかーさん!)』

『キュゥ~!! (わーい、嬉しいな!!)』


「うん、約束する、本当だよ!!」


扉の向こう側で、継人兄ちゃんとちっさいおっさんが、うんうん、と涙をそっと拭きながらうなずいていたのだった。


それにしても、継人兄ちゃんたち、いやに涙もろいね・・・?



でも ありがとうだよ!!

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