緊急事態
お昼時間に一騒ぎしちゃった私たち。
事態がなんとか収まって、はっと気付いたときにはもうお昼時間の残りが少なくなってて、私たちは慌ててお昼ご飯をかきこむように食べた。
一緒に食べてた、唯意ちゃん以外の二人、七海ちゃんと杏ちゃんは、不思議そうに私を見て何か言いかけた。
でも、本気で時間が無かったんだ。皆でとにかく黙々と急いでお弁当を食べた。
正直、色々聞かれても困っただろうから、ほっとした。
食べてるうちに昼食時間終了のチャイムが鳴ってしまって、クラス中、バタバタしながらそれぞれ担当の掃除の場所に散らばることになったんだ。
***
「はー、それにしてもなんか、大変だった・・・」
今週の掃除場所である階段を箒で掃きながら、私はため息をついちゃってた。
通りすがりに、お昼の事を誰かに話しかけられるかなぁ、とか思ったけど、ここは職員室も近くて、サボってるとすぐ見つかっちゃう。だからだろう、誰も話しかけてこない。
まぁ、どっちかっていうと、掃除時間が終わった後、教室戻った時に色々聞かれちゃうかもなぁ。
うーん、でも今考えてもどうしようもないよね。
なんとかなるよね・・・
なるといいな・・・
ん?
それにしても、シロとクロはどこに行ったのかな?
キョロキョロ見回したけど、姿が見えない。
え、大丈夫? どこにいったの?
「シロ、クロ・・・!?」
小さい声ながら呼んでみる。
返事が無い。
えぇえ・・・どうしよう、どこに行ったの?
「シロ! クロ!」
答えがないから、ものすごく不安になる。
そうだ、急いでご飯食べて、急いで移動したから、シロとクロはついて来れなかったかもしれない!
た、大変だ!
私は大慌てで、箒をロッカーにしまいこんで、教室にかけ戻ろうとした。
『ピィ、ピィピィ!!!(あっ、おかーさん、おかーさん!!)』
「えっ!」
階段の下、掃除道具入れのロッカーがあるところで、シロの呼びかけが聞こえた。
ここにいたんだ! 良かった!
ここまで着いてこれたけど、ここでウロウロしてたのかな?
『ピィ! ピィピィピィ!!(おかーさん、クロが、クロが大変!!)』
「えっ!?」
慌ててロッカーと階段の隙間に目を凝らす。そこからシロの声がしたんだ。
シロは、地面に近い下から、スィィっと上に移動してきて、私の顔周りをウロウロした。
『ピイピピピピ!!(クロが、クロが大変!!)』
「えっ、なに、どうしたの!?」
シロはまた、スィっと地面近くに降りた。
私はシロを目で追って、やっと気付いた。
クロが、地面に、まるで、黒く長いヒモのように、落ちてた。
「えっ!? クロ、どうしたの!?」
慌ててしゃがんで、クロを見つめる。本当に、クロが地面に転がってる。
『ピィ、ピィピィ!!(おなか痛いって、動かないよ!)』
「おなかが痛い・・・?」
どうしよう、クロに触って良いんだろうか。
「クロ、クロ、大丈夫、返事できる・・・?」
クロは全然動かないし、声も全然出さない。
うわぁん、どうしよう。
私は一気に泣きそうになった。
とにかく、そっとそっと、左の手のひらの上に、クロを移動させる。
そっと優しくしたつもりだったけど、やっぱり負担になったんだろう。
『キュゥ・・・(ぅー・・・)』
クロがとっても小さくうめき声を出した。
でも、声を出してくれて、私はちょっと安心した。良かった、生きてるって、思った。
「クロ、おなか痛いの? どうしたの? シロ、どうしよう」
私は涙目でシロを見た。
すると、シロも涙目でオロオロしていた。
『ピィ、ピピピピィ、ピィイ・・・!!(わ、わからないよう、どうしよう、おかーさん、助けて!!)』
「ふぇーん」
どうしよう、どうしてあげたら良いんだろう、私は何も全然分かって無い、何も知らないんだ、こんな時に私はどうしていいのかわからないよ!
一体どうしよう!?
激しく動揺しながら、誰かに助けを求めなきゃっていうのは、思いついてた。
誰、唯意ちゃん、掃除場所、どこだろう、学級委員の高橋さんなら、分かる? でも、どこ?
教室、とにかく教室に戻ろう。
私は涙が出てくるのもそのままに、左手にクロを乗せたまま、右手でシロをつかんで、急いで教室まで走って戻った。
誰か!
教室の扉は空いていて、バタバタと駆け戻った。
教室掃除担当の人たちが、驚いて、私を見る。
その中に、助けを求められる人がいた。
「さ、さいとうくん! たすけてー!!!」
「えぇえええええええ!!! 何!? 三村さん!!」
昼休みに一芝居(?)打つことになった一人、小さい方の斉藤君が、そこに居たんだ。
斉藤君、厄日かもしれませんね?




