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お昼の波乱

お昼休み。


私は、学級委員長の高橋さんに話しかけてみたかったんだけど、お昼を食べてるグループが違う。

高橋さんたちは、超真面目な人たちのグループなんだよね。で、隣のクラスで食べてるみたい。


まぁ、気になるけど、同じクラスにいるからまた話もできるよね。


私もいつも通り、いつものグループでお昼を食べちゃおう。

基本的に5人グループなんだけど、時々入ってくる人もいたりするし、委員会の都合とかで抜ける人もいる。

今日は、私を含めて4人。


さて、シロにも湯気をあげなくっちゃ。


家からわざわざ持ってきた魔法瓶のお茶を取り出すと、皆が目を輝かせて欲しがったから、お昼メンバー皆に分けてあげた。

お昼時間は、クラスにお茶が入ったヤカンが1つ配られるんだけど、それはちょっとぬるいんだよね。


『ピィピィ?(おかーさん、食べて良い?)』

シロが尋ねてきたので、こそっと小さく、返事する。

「良いよ」


うーん、皆がいるときの会話が不便…。

家にいるみたいに、自由にシロとクロとも話ができたら良いのになぁ。


シロは、喜んで、私たち4人のコップから立ち上がってるお茶の湯気をピィピィ食べてる。

でも、皆、多分絶対、気付いてないんだよね…自分のコップの周りを、白い小さな龍がウロウロしてるって事に。

だって、誰も目で追わず、シロが湯気を食べ始めてるののにも気付かずコップを持ち上げてお茶を飲んだりもするし。


やっぱり、見えてる人と見えてない人がいる。

見えてる人は少ないんだろうか?


うーん。まぁ、いいや。


クロはどうしてるかな?

キョロっと周りを見回すと・・・。


タッタッタッタッタ・・・。

『ワォウ』


「!?」

私はビクッと驚いた。


廊下から、大きな生き物がタッタッタって走ってきたんだよ!?

犬ー!? 犬ー!? オオカミー!!?? なにー!!???


ハッハッハッハ・・・。


私が見えてるのに気付いて、生き物は私の傍で足をピタって止めた。

傍で私を見上げてる!!


うわぁ、どうしよう!?


「佳世ちゃん? どうしたの?」


「え、あ、えっと、えっと…」

一緒に食べてる友達に声をかけられて、どう説明して良いのか分からない。

言いたいけど、どう言えば良いの?

言っちゃって良いの!? 皆見えてるかわからないけど、ここに大きい犬みたいなのがいるよ、って?


返事に困ってる私の視界の隅に、チロっと、黒いヒモみたいなものが目の端に入った。


え…クロ?


皆が見ている前だって忘れてしまって、私はクロを見るべく、その大きな生き物がいる傍を見た。


クロが、その生き物の顔周りにフラフラ~っと泳いで…。

『キュゥ~』


バクゥ!!


「ぎゃあ!!! クロ!!!」


クロが、大きな生き物に食べられたー!!!!



***



皆がいて。

皆にはシロやクロたちが見えなくて。

だから、見えてるけど見えないつもりで動かないと「変な人」になっちゃうから、気をつけなきゃ。

なんてのはもう頭から吹っ飛んじゃって。


私は思いっきり、その大きな生き物の頭をぐっと掴んで、口をガァっと開けようとしてた。

「クロ!! クロ!! 出しなさいよ!!!」


大きな生き物は口を閉じてて、その口の中にクロが居るんだよ!!!


『ピィ!!! ピィ!!! (クロッ!!! クロッ!!)』

シロも私の傍に来て騒いでる。


「シロ、ちょっと離れて! シロまで食べられちゃう!!」

私はシロにそう言いながら、右手をグっと握った。


「クロを出せー!!!!!」

右のグーで大きなのを殴っ・・・!!


『ワフッ!?』

「わぁ、待った待った待ったー!!!!! ケンタロウー!!!」

「佳世ちゃん、ダメー!!!」

「!?」


私の行動に、大きな犬っぽいのが目を白黒させ。

その犬っぽいのを、『小さい方の斉藤くん』(同学年に斉藤くんが二人いる)が後ろから飛びついきてて、私から遠ざけて庇い。

一緒に食べてたうちの、一番席の遠いところにいた唯意ゆいちゃんが、机を乗り越えるように私の肩と腕を掴んでた。


・・・・・!?


シーン、と静まり返った教室で、みんなの目線は私と、私を止めるために派手に動いた斉藤君、私を掴んでる唯意ちゃん、に、注がれてた。


・・・・・・。


『ピィ!(クロ!)』

シロが呼んだ。


斉藤君が、犬っぽいのに抱きつきながらも、犬っぽいののアゴをちょっと掴んでゆっくりあけてくれる。

あけながら、私の様子をものすごく恐々伺ってる。


犬っぽいのの口が動いて、スキマから、黒い小さな龍が…。


「クロ!!」


『キュゥキュゥ~♪(暗くて暖かくて面白かった~♪)』


「・・・・・・!?」

『・・・・・・!?』

私とシロが、クロのその様子に硬直する。ど、どういう事っ!?


「ご、ごめん・・・ごめん、そんなに怒らないで・・・」

ものすごく小さくなりながら、小さい方の斉藤君が、おずおず私の様子を伺ってる。


「佳世ちゃん、落ち着いて、落ち着いて」

私の肩と腕を掴んでる唯意ちゃんの声で、私ははっと我にかえった。


ざわざわと、教室で囁かれる声が耳に入ってきて、私は、自分が『やらかしちゃった』事に気がついた。


見えない人からみて、私って、絶対、『変な人』になってるよ!!

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