おいでよ
よっこらしょ。
やあこんにちわ、今日もあえたね。
こないだ言ったこと考えてくれたかな?
おっと、食事が先か、待ってて今缶詰め開けるから。
それにしても君はいつも傷だらけだね
ちょっとは体を労わろうよ。
大体、常に一人で行動してる君がどうして怪我なんかするのさ?
私も、大概一人だけど、その点上手くやってるよ。
危ない場所には近寄らない。
なるべく他人と関わらない。
だから、怪我なんかしない。
……無口な奴だなぁ、返事位しろよ。
このベランダに君が初めて顔を出したとき
ここは二人の共有スペースにするって決まったけど
礼儀はわきまえてくれないと困るな。
うん、ニャアとはいい返事だ。
それじゃ答えを聞かせてもらえるかな?
こっちの条件はこないだ言ったとおり
缶詰は週2回、お風呂は週一回
首輪はちゃんとつける事
それだけ守ってくれれば
共有スペースを、もう少しだけ広げてあげよう
破格の条件だと思うよ? 乗って損なし。
君は、首輪が嫌いなのかな?
でもほら、君と同じ黒だから似合わないって事は無いはず。
部屋の広さが気になるのかい?
大丈夫、私の部屋何にも無いから。
君の居場所くらい簡単に作ってあげるよ。
……ねえ、君はさびしくなる時は無い?
一人で突っ張って生きてて、不意にさ
どうしようもなく不安になる事は無い?
私はあるんだ
不安で、なにもかも辛くて、耐えられなくなることが。
世界から拒絶されてる気がして
心が、くしゃくしゃになってしまうことが。
……っておい、笑うなよ。
だから、どうかな?
ここのフローリングにペタッと肉球をつけてくれれば
それで契約は成立、絶対に私は君を拒絶しないからさ。
だから頼むよ
おいでよ、私の部屋に。