Episode 12
ここ数ヶ月、俺とシーラは着々とゲームの攻略を進めていた。
目的はシンプルだ。
より高性能な素材。
よりレアリティの高い素材。
そして、それらを使って、より良い装備を作る。
クオリアポイントやクオンタポイントによる補正があるとはいえ、やっぱりベースとなるアイテムの基礎性能は高いに越したことはない。
今日は、これまでに集めた素材を使って、新しい盾のクラフトに挑戦していた。
「しかし、この前できた盾の『相手のクオンタ追加効果軽減5%』とか、シーラの怨念めいた追加効果には笑ったな。あんなバフがあるとは思わなかったよ。今度は何が出るかな。」
「怨念は余計よ。」
シーラがジト目で俺を睨む。
「レアスキルっぽかったから惜しい気もするけど、対人戦でしか役に立たないんじゃね……。」
シーラが手にしたハンマーを振り下ろす。
眩い光が弾けた。
「あっ。」
光が収まると、そこには真新しい盾が浮かんでいた。
もちろん、表面には『レオ』の意匠がデカデカと刻まれている。
「おっ。今度のレオ印、結構良いんじゃない?」
「ふふん。ミルトンも、だいぶレオの良さが分かってきたようね。」
シーラが満足気に鼻を鳴らす。
「会心の出来よ。クオリアもかなり乗ったわ。」
確かに、以前の装備と比べれば、格段のステータスだ。
「うん。これなら、そろそろ次の狩場に行ってもいい頃かもな。」
「それもいいんだけどさ。ミルトン、運営からのイベント通知は見た?」
「見た見た。半年に一度やる、全プレイヤー参加オーケイのお祭りイベントだろ。出たいの?」
「うん。」
シーラは新しい盾を嬉しそうに眺める。
「私たちのレオをお披露目するには、ちょうどいい舞台じゃない?」
……私たちの、レオ。
いつの間にか、レオは共有財産になっていたようだ。
まあ、光栄といえば光栄だけど。
俺はメニューを開き、改めてイベントの開催通知を表示させる。
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クオリアオンライン運営からのお知らせ
半年に一度の全プレイヤー参加型イベント
第五回【衆目と偏愛の展覧祭】を開催します!
今回のイベントは、二部構成となっています。
■第一部 クラフト・エキシビション
期間中、イベント専用の『参加証明』を使用したアイテムをクラフトし、専用空間に展示することができます。
『参加証明』を使用してクラフトしたアイテムには、アイテム名の末尾に【衆目と偏愛の展覧祭】が追記されます。
ただし、それ以外の見た目やステータスには一切影響を与えません。
展示できるアイテムは、一人につき一個まで。
また、クラフトには使用できる素材のレアリティに上限があります。
レアリティが上限を超えた場合、クラフトは失敗します。
なお、レギュレーション違反によってクラフトが失敗した場合、使用した素材は元の状態に還元されます。
どうぞ安心して、限界までこだわったクラフトに挑戦してください!
■第二部 イベントボス討伐戦
イベント期間中、フィールドに限定モンスター【インヴァリードカザイ】が出現します。
インヴァリードカザイを規定時間内に討伐することで、第二部への参加資格を獲得できます。
第二部本戦については、現時点では非公開となっています。
ただし、インヴァリードカザイの討伐に成功したプレイヤーであれば、本戦でも十分に健闘することが可能です。
必ずご満足いただける豪華景品もご用意しております!
皆様の「衆目」を集め、「偏愛」を込めた一品を、心よりお待ちしております!
クオリアオンライン運営チーム
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テキストに目を通し、俺はシーラに視線を戻した。
「狙いは第二部ってことか?」
「そうね。もちろん第一部にも応募するけど……。」
シーラは少し考えるようにしてから言った。
「私たちのプレイスタイルだと、クオリアが最大化するのはクラフト時じゃなくて使用時なのよね。」
確かに、アイテム単体を展示して、他のプレイヤーから評価される第一部より、実際にアイテムを使って戦える第二部のほうが、俺の暗示には向いている。
「オーケイ。じゃあ、この『インヴァリードカザイ』って限定モンスターが湧くようになるまで、装備のブラッシュアップも兼ねて、ひたすら素材集めだな。」
「ええ!」
シーラが拳を握りしめる。
「最高のレオを見せつけましょう!」
こうして俺たちは、初めての公式イベントに向けて動き始めた。
まずは装備の強化。
そして、第二部への参加資格を手に入れるための、インヴァリードカザイ討伐。
そう。
俺たちのレオの、お披露目に向けて。




