表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】小悪魔騎士に殺された王妃は、新婚初夜で結構です  作者: ましろゆきな
第一章:再会と拒絶の「初夜」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/12

第二話:新婚初夜の真相

 それは、宮廷の最も厳かで冷たい儀式だった。


 豪華絢爛な寝室の空気は、祝福ではなく、凍り付いた期待と耐え難いほどの重圧で満たされていた。


 国王アークライトは、リゼッタを愛しているのではなく、賢い王として「王妃という役割」をもつ彼女を愛していた。彼の口づけは、情熱ではなく、王家の義務を承認する印だった。


 彼は結婚初夜という儀礼を終えると、「古の習わし」に従い、聖水を汲むために、静かに寝室を後にした。


 その扉が閉じられた瞬間、リゼッタの心は、王妃の使命を果たす前の孤独な諦念に包まれた。


 そして、その静寂は、死の予感を伴うものとなる。


 カインは、闇そのものから生まれた。


 いつ部屋に入ってきたのか、それとも潜んでいたのか検討もつかない。闇しかないはずの場所から生まれでたようにするりと姿を現した。


 白銀の髪は月の光すら拒み、闇に浮かぶ血のような赤い瞳だけが、リゼッタの視線を強引に引き留めた。どこにいようともすぐわかる異質な騎士は音もなくそこに立つ。


 彼の姿は、熱を帯びるはずの寝室で、最も冷たい美しさを放っていた。


 彼は、一言も発しない。感情の機微を理解しない悪魔の執行者として、ただ「役割」を果たすためだけに存在していた。


 その細くしなやかな腕に握られた研ぎ澄まされた短剣は、リゼッタが王の子を宿す「可能性」という未来を、根絶やしにするための道具だった。


 ああ、私の命の価値は、ただ世継ぎを生む器、だったのか。


 諦念が、恐怖を凌駕した。


 短剣が閃光を放った瞬間、それは王妃の夜着を切り裂き、リゼッタの胸の中心、孤独な心臓を正確に貫いた。


 焼け付くような痛みとともに熱い血が噴き出し、冷たい肌をしとどなく濡らす。傷口から血液とともに体中の熱が失われていき、意識が遠のいていく。ぼやけていく視界の中、リゼッタの目に焼き付いたのは、彼女をただ見つめ続ける白い騎士の無感動な赤い瞳だけだった。


「これで、王妃の義務から……解放される」


 それは、リゼッタが最期に抱いた、激しくも哀しい願いだった。そして、その願いは、カインの手によって一度は叶えられることとなった。


 そして。その直後に「死に戻り」という形で、裏切られることとなるのだ。


 血に染まった夜が明ける。そして、殺した者がいる場所で、二度目の人生が始まるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ