第2話 寛大の意味知ってる?
「わ〜勘弁してください!!」
俺は勢いよく飛び上がった
あれ?ここは………
見渡すと教室でクラスのみんなが一斉にこちらを見たあとクスクスと笑っていた
あ〜よかった!!どうやら現実に帰ってきたようだ………あんな夢見させられるくらいなら数学やってた方が10倍マシだよな……
「何を勘弁するか……私に教えてくれない
か…………なぁ……ま・え・だ♡」
はい、前言撤回
やっぱり不良に絡まれてた方が数百倍マシでした!!
「あ……近藤先生おはよーです……」
「うん♡おはよ前田佑月君………で??
何を勘弁してほしいんだ……ぁ⁇」
そこらへんの下っ端の不良なんかよりよっぽど怖い……
この言葉遣いに♡を出して可愛くしているがうちの担任の近藤燈先生の異名はゴリラ先生だ……
見た目は黒髪で普通の美人さんなのだが、重いものを片手で平気に持ったり……校内で揉め事になってる生徒達を数分、別室に連れて行き"わからせたり"、怒ると……ものすごく怖いのでそのあだ名が付けられた。
一説によると元ヤンだとかなんとか…
「はぁ〜君は数学以外の全教科学年トップ
クラスなのになんで数学ではこうなっち
ゃうの⁇」
クラス中に俺の個人情報を流された……
「いやぁ………人間はなんでも完璧にこな
せる生き物じゃないっすからね〜俺は数
学なんてこの世から無くなればいいと思
ってるほど嫌いです!!」
「そっか♪そっか♪開き直れば私の授業で居
眠りしていいと本気で前田は思っている
んだな……」
俺はこの先生が担当だから数学で寝るのはリスクがあると思ったけど、後ろの席だったし、バレないように教科書立てたりした……
俺の計画は完璧だったはずなのに……
なんで叫んでしまったんだ俺は〜!!
夢で不良どもに絡まれなければ………
「あ!ちなみに、今日声をかけたのは初め
てだけどこれまでに5回、居眠りしていた
の……知ってるゾ♡」
ハハハ、バレてら〜
どうやら完璧に誤魔化せていたと思ってたのは俺だけのようだった
「ま、私は心優しいからな……本来なら成
績を下げると言いたいが……寛大な心で
許してあげよう……」
「先生……ありがとう……俺…先生が担任
で…本当によかっ……」
先生……俺は信じていたよ……ゴリラなんて言ってごめんね♪
「反省文原稿用紙20枚………そうだな〜
来週の授業までに持ってこイ……遅れは
許さない……」
「……嘘ですよね?先生〜!!」
嘘だよな先生⁉︎来週の授業までってあと5日しかないんですけど……
何が寛大な心だ!誰か『寛大』って言葉の意味を教えてやってくれ!!
大体反省文20枚って何書くんだよ!!居眠りしていてすみませんを20枚書き続けてやろうか……
いや、俺の学園生活が不穏になるだけなのでやめておこう…
「あの〜近藤先生?佑月への罰、もう少し軽くてもいいんじゃないですか……」
そう言って先生に話しかけてきたのは俺の友達である九条勇人だった。
高校入学当初に仲良くなり、勉強を教え合ったりスポーツでいつも勝負したりしている
あとイケメンでモテる……はい以上!!
やっぱり持つべきものは親友だよな!!
イケメンでモテまくってて滅べばいいと思ったりもしたんだが……すまなかったな
「なるほどいい友情関係だ……なら半分に
分けて10枚を九条が担当してやれば問題
はあるまい」
「ごめんなさい先生!僕が間違っていまし
た……」
俺らの友情どこいった!
勇人が付き合ってる彼女"たち"に5股かけてることバラしてやる……
「と言うわけだ…20枚しかないから1日4枚
書けば間に合うな……遅れたら……私が
一ヶ月マンツーマンで数学の特別授業を
してやる……君の家でね♡……フフッ君
にとってはご褒美かな?」
ご褒美な訳あるか……
このゴリラ、俺の家を破壊する気らしい
ハラスメントとかで訴えられないかな…
もう……俺の家の平穏を守るために……家族にこのモンスターを合わせないために……書くしかないか……
「はい!はい!わかりましたよ!書けばい
いんでしょ書けば!!」
「なんだ!随分とやる気だなあと5枚追加す
るか?」
「は?頭おかしいのかこのゴリラ」
パシッ
………というわけで教科書で頭をおもいっきり叩かれた……イテェ
今は学校終わりの下校中だ
勇人はサッカー部に所属しているので帰りはいつも俺1人になっている………
………そう1人で帰っている
寂しいよ〜!!俺も彼女ほしい!
勇人は何股もかけている◯ズだけど彼女いない人生よりかは楽しいんだろうな!!
………一応俺も何度か告白されたことはあるんだよ……
でも告白してくる子みんな可愛いし、
クラスの陽キャって人種だから当然罰ゲームの類かと思って全部断った。
今思えば罰ゲームでも付き合っておけばよかったよ〜!!
あの時断ってきた自分の愚行を佑月は後悔していた……
まぁ彼女はいずれ作る(佑月の願望)として
今日はこのあと暇なんだよな、どうしよう……
いや、まぁ悪魔から渡された原稿用紙があるから厳密には暇ではないんだが……
流石に帰ってすぐ原稿用紙と睨めっこはしたくないな……
あ、そうだ!!
デパートにでも行くか……買いたいものもあるしな
デパート寄るついでに妹にプリンでも買って行ってあげよう!アイツの大好物だし……
とりあえず妹に連絡しとくか……
この前連絡せずに帰りが遅くなった時、泣きながら抱きついてきて……その後、めちゃくちゃ怒られたからな…
俺は妹に◯インでメッセージを送る
よし!これで大丈夫だな!
ブーブー
スマホが鳴った。なんだろう…電話?
相手は……
『前田黒羽』
今さっき連絡したばかりの俺の妹だった
なんか怖いネ……